BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、企業の業務プロセスの一部を、専門性の高い企業に委託することを指します。アウトソーシングの形態のひとつではあるものの、委託先は通常よりも広い裁量をもち、企画・設計から関わることができます。
本記事では、BPOの概要やメリット・デメリット、成功させるポイントを解説します。自社業務の効率化にお悩みの際は、BPOを検討してみてはいかがでしょうか。
目次
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1BPOとは
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、自社業務の一部を企画・設計から一括でアウトソーシングすることを指します。
対象となる業務プロセスを専門性の高い企業に委託することで、自社の従業員は基幹業務(コア業務)に集中することができるため、生産性を高められることが大きな利点です。
2BPOと類似する4つの用語
BPOと類似する用語とその違いを、次の表にまとめました。それぞれの用語の特徴を理解しておきましょう。
用語 | 特徴 | BPOとの違い |
---|---|---|
アウトソーシング | 主に単一業務や一時的な業務など、 自社業務の一部を切り出して委託する |
委託する業務範囲 |
BPR | 業務・組織・戦略の再構築を行う | 業務改善の規模 |
ITO | IT分野に特化している | 対応する業務内容 |
業務委託 | 意思決定権が委託側にある | 意思決定権の所在 |
アウトソーシングとの違い
BPOはアウトソーシングの一種ですが、委託先に任せる業務の範囲が異なります。
アウトソーシングは、単一業務や一時的な業務など、自社業務の一部を切り出して外部委託をすることをいいます。一方、BPOは業務プロセスを丸ごと委託するため、より広範囲の業務委託が可能です。
さらに、BPOで外部委託する業務は、長期的・継続的に行われるケースがほとんどです。人事や総務など、企業の部門で請け負う業務をすべて委託できる場合もあります。
BPRとの違い
BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)は、企業の仕組みや習慣を再構築する、業務改革に近い取り組みのことをいいます。業務プロセスや部門単位ではなく、組織全体の取り組みになるため、BPOの上位概念となります。
BPOの目的は、外部のリソースを活用してビジネスプロセスや業務の効率化・適性化を図る取り組みです。根本的に業務の必要性から見直す場合は、BPOよりもBPRが適しています。
ITOとの違い
ITO(インフォメーション・テクノロジー・アウトソーシング)は、IT分野に特化した外部委託のことをいいます。ITのノウハウや専門人材が不足している場合に、ITOによって高度な専門性や最新のIT技術を駆使した業務に対応できます。
ITOで委託する範囲は、BPOのようにシステム設計から開発までを請け負うケースから、サーバー運用保守・ヘルプデスクなど単一業務のみを委託するケースまでさまざまです。
業務委託との違い
業務委託とBPOは、業務に関する意思決定権の所在が異なります。業務委託の意思決定権は委託側にありますが、BPOは委託先の企業に決定権があります。
業務委託に該当する業務は、マニュアルに沿った単純作業が多い傾向にあります。
また、業務委託は単一業務の終了までを委託するため、業務の完了とともに契約が終了します。BPOは業務プロセスをすべて委託するため、契約期間が長期化しやすい点も異なります。
3BPOの対象になる業務例
BPOの対象となる主な業務例は、次の6つです。
これらの業務は、企業運営には欠かせませんが、直接的な利益にはつながらない「非コア業務」といいます。BPOを導入して、非コア業務を外部にアウトソーシングすることで、業務の効率化やコスト削減を図れるでしょう。
4BPOを導入する3つのメリット
BPOを導入するメリットは、次の3点です。
- コア業務へリソースを集約できる
- 業務効率・品質を向上できる
- 教育コストを削減できる
コア業務へリソースを集約できる
BPOを導入することで、非コア業務のリソースを削減し、利益につながるコア業務に集中することができます。人材・コスト・時間など、あらゆるリソースを効率的に使うことができるため、業務の効率化や生産性の向上が可能です。
また、業務委託とは異なり、業務プロセスを一括で委託できることも利点です。委託先企業が現場の指揮も代行するため、細かな指示出しも不要です。
業務効率・品質を向上できる
BPOを導入することで、非コア業務の効率や品質の向上が可能です。特に、自社にノウハウの蓄積がないケースだと、効率よく業務を遂行するのは難しくなるため、実績豊富な企業に委託することによって業務効率の改善が見込めます。
また、従業員の教育やマネジメントなども委託できると、業務の品質向上も可能です。トラブル発生時の対処もスムーズになるため、顧客満足度や信頼性の向上にもつながります。
教育コストを削減できる
BPOを導入することで、従業員の教育コストを削減できます。
業務プロセスを委託するため、自社で従業員を教育する必要がなくなり、雇用のコスト削減も可能です。
BPOは、業務が不要になった場合のリスクヘッジにも効果を発揮します。従業員を教育する場合は、必要に応じて人員の再配置を検討しなければいけませんが、BPOなら従業員の雇用・解雇の必要もありません。新たな業務の追加や撤退の判断も迅速に行うことができます。
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5BPOの導入で注意したい3つのデメリット
BPO導入時に考慮すべきデメリットは、次の3点です。
- 費用対効果の検討が必要になる
- 情報漏えいのリスクが伴う
- 業務ノウハウの蓄積が困難になる
費用対効果の検討が必要になる
委託にかかる費用に対して求める効果が想定より低いと、BPO導入による改善効果が望めません。費用対効果を向上させるためには、次のようなコストを考慮しながら導入を検討することが必要です。
- 初期費用
- 準備コスト
- ランニングコスト
BPOを導入する際は、要件定義・マニュアル作成などの初期投資や、運用にかかるランニングコストが必要です。そのため、費用対効果を検証し、戦略的な判断をすることが重要です。
情報漏えいのリスクが伴う
機密情報や個人情報を取り扱う業務プロセスを委託する場合は、情報漏えいのリスクが伴います。委託先のセキュリティ体制を確認し、安心して情報提供ができる環境が整っているのか慎重に判断しましょう。
リスク管理のために、どのような情報を誰が取り扱うのかといったルールをを事前に決めておくことも重要です。
業務ノウハウの蓄積が困難になる
業務プロセスを外部委託するため、ノウハウの蓄積が困難になります。将来的な内製化を考えている場合は、体制の再構築に労力やコストが必要になるため、BPOの委託先と積極的なコミュニケーションをとり、情報を共有してもらうようにするとよいでしょう。
6BPOを成功させる4つのポイント
BPOの導入を成功させるポイントは、主に次の4つです。
単に導入するだけでは失敗するリスクも伴いますので、4つのポイントを押さえながら、慎重に検討を進めましょう。
- コア業務と非コア業務を分類する
- 現状の課題と業務要件を整理する
- 導入後の成果を定期的にモニタリングする
- BPOで得られた知見を自社の業務改善に生かす
コア業務と非コア業務を分類する
BPOで委託する業務範囲は、基本的に自社の利益に直結しない非コア業務を対象とします。そのため、事前に業務プロセスを細分化してコア業務と非コア業務を切り分けましょう。
業務を切り分ける過程で、不要だった作業や独自のルールを見つけることもできるかもしれません。BPOを委託する過程で、工程ごとに必要な作業を見極め、適した業務プロセスを再設計することも、業務の効率化や生産性の向上に効果的です。
現状の課題と業務要件を整理する
業務プロセスの細分化が完了したら、現状の課題を整理して、業務要件を決めましょう。委託先によって得意ジャンルや対応範囲が異なるため、自社の要件に適した企業を選定します。
単に業務を委託するだけでは、コスト削減や業務効率化、品質向上は見込めません。委託したい業務とBPOによる費用対効果を明確にしましょう。
導入後の成果を定期的にモニタリングする
BPOは業務プロセスを一括で委託する関係上、業務工程が不透明になりやすいため、定期的なモニタリングが必要です。委託先との定期的な情報共有の場を設けることで効果を把握し、導入による成果が出たのかどうかを判断する基準をつくることで、進捗をモニタリングしましょう。
BPOは導入後すぐに成果が出るとは限らないため、中長期的に運用する必要があります。成果をモニタリングしたうえで、必要に応じて改善を図れる体制を整えましょう。
BPOで得られた知見を自社の業務改善に生かす
BPOの委託先企業と密にコミュニケーションをとることで、専門的なノウハウや知見を得られる可能性もあります。委託する業務プロセスに精通した企業と密に情報共有をすることで、業務改善に関する新たな発見があるかもしれません。
更なる改善に役立つヒントが得られる体制が構築できるように、意識して取り組みましょう。
7BPOサービスを選ぶ5つの基準
自社のニーズに適したBPOの委託先企業の選定ができるように、次の5つのポイントを参考にしてみてください。
- 専門性が高い
- 対応実績が豊富である
- セキュリティ体制が整っている
- コストが適正である
- コミュニケーションが円滑にとれる
専門性が高い
BPOの委託先企業には専門領域・得意領域があるため、自社のニーズに適したサービスを提供している企業を選定することが重要です。
たとえば、コールセンター業務の場合は、見込み顧客や休眠顧客にアプローチするアウトバウンドが得意なのか、受電に対応するインバウンドが得意なのかによって、選択肢が分かれます。
BPOは、自社の非コア業務を専門性の高い企業に委託することが前提です。委託先の規模や費用面だけではなく、得意とする業務領域にも注目しましょう。
対応実績が豊富である
自社と類似したBPO導入実績があり、成功事例が豊富な企業に委託できるかどうかもポイントです。過去の事例から、委託先企業が対応可能な業務内容やボリューム、品質などを確認したうえで、自社の課題解決が期待できるかを判断しましょう。
事例が一般公開されていない場合は、委託先へ聞いてみるのも1つの方法です。
セキュリティ体制が整っている
BPOの業務内容によっては、自社の機密情報や個人情報を提供する可能性もあるため、セキュリティ管理がしっかりと行き届いた企業に委託することが重要です。ISMS認証やプライバシーマークなどを取得し、一定の情報セキュリティ基準を満たしているかを確認しましょう。
信用を失うリスクが高まる情報漏えいを防ぐため、契約書内に情報の取り扱いの内容を含めたり、違反した場合の取り決めたりするなど、セキュリティに関する対策は万全に行いましょう。
コストが適正である
BPOのコストを検討する際は、委託費用と業務効率・品質のバランスがとれているかを総合的に判断しましょう。
最適な予算配分を行うためには、自社の課題に対して委託先のサービスが過剰でないか、長期的な運用を見越した提案であるかの見極めが重要です。
BPOは通常の業務委託とは異なり、委託期間が長期化する傾向にあります。BPOの導入に伴い発生するコストと改善効果を検証しながら、見積で提示された費用が適正かどうかを判断しましょう。
コミュニケーションが円滑にとれる
BPOでは業務を委託するだけではなく、仕事上のパートナーとして、円滑なコミュニケーションをとることができる企業を選ぶことがポイントです。
業務プロセスをアウトソーシングするBPOでは、業務の実態が不透明になるケースが少なくありません。状況を把握できるように、定期的な進捗確認や業務報告を実施してもらうだけでなく、必要な改善提案をしてもらえる企業を選びましょう。
8まとめ:BPOを活用して業務効率化を実現しよう
BPOとは、自社の業務プロセスの一部を外部企業に委託する手法のことです。通常のアウトソーシングよりも委託先の裁量が大きいため、専門性の高い企業を選ぶことがポイントです。
BPOを導入することで、業務の効率化や品質の向上などの効果が見込めます。専門性が高く、自社と類似した対応実績が豊富な企業に委託できるとより高い改善効果が期待できます。
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