中国越境ECとは、電子商取引(EC)において国内から中国へ商品を販売するビジネスモデルのことです。中国のEC市場規模は世界1位に位置するため、中国への越境ECに参入する事業者も増加しています。
中国越境ECを始める前に、まずは中国EC市場の特徴や規制などを把握しておくことが重要です。本記事では、中国における越境ECの特徴や始める際の注意点を解説します。
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目次
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1中国越境ECとは
越境ECとは、インターネットを活用して国内から海外へ商品を販売するEC(電子商取引)のことで、その中でも中国越境ECは、中国に向けてEC事業を行うビジネスモデルを指します。
世界的にEC市場が拡大している中でも、中国は最も規模の大きな市場であることから、中国ECモールへの出店や自社ECの中国越境化など、中国市場への参入が活発になっています。
2中国越境ECに参入する方法
中国越境ECに参入する主な方法は、以下の3つが挙げられます。
- 中国の越境ECモールに出店する
- 中国越境EC用の自社ECを立ち上げる
- 越境ECの代行業者に委託する
中国の越境ECモールに出店する
1つ目は、中国で展開している越境ECモールに出店することです。
条件を満たす法人であれば、参入の難易度は最も低くなります。出店するモールによっては、中国法人を作らず日本法人として中国の越境EC市場に参入が可能です。また、自社ブランドの知名度が低くても集客しやすいのがECモールに出店する最大のメリットです。
一方で、ECモールのルールに従う必要があるため、独自性を出しにくい傾向があります。また、出店には初期費用や維持費用がかかるため、コストにも気を付けなくてはなりません。
中国越境EC用の自社ECを立ち上げる
2つ目は、イチから自社ECサイトを構築する方法です。ECモールに出店するよりも自由度が高く、ブランド公式としての信頼性や独自性を確立できることがメリットです。
一方で、中国におけるECサイトに関する規制や法律の理解をはじめ、必要な機能やサービス内容の判断、さらに集客も自社で行う必要があります。
越境ECの代行業者に委託する
3つ目は、越境ECを得意とする代行業者に委託することです。
中国越境ECへの参入には、日本と異なる商習慣や規制の違いへの対応が必要になるため、ゼロから知識を習得するよりも、越境ECのプロにお願いすることで、安心して参入することができます。
ただし委託できる内容は代行業者によって異なるため、中国の法律や商習慣に詳しいことを前提に、実績が豊富で、梱包やカスタマーサービスなど必要な業務を委託できる業者を選ぶことが重要です。
3中国越境ECを始める際の注意点
中国越境ECを始める際は、以下の5点に気を付けましょう。
- ポジティブリストの確認
- 中国電子商取引法の遵守
- 日本とは異なる税金の仕組み
- 配送トラブル
- 中国語への対応
ポジティブリストの確認
ポジティブリストとは、中国越境ECで優遇措置を受けることができる商品一覧のことで、ポジティブリストに掲載されている商品は一般貿易よりも税率が優遇される「電商総合税」の対象となります。
リストに掲載されていない商品は一般貿易に該当し、関税が発生するため、自社商品のジャンルが掲載されているかの事前確認が必要です。なお、ポジティブリストは定期的に改定され、品目の追加や変更が行われるため、改定時の確認も必要です。
中国電子商取引法の遵守
中国では、EC取引の秩序を保ち発展を続けるために「中国電子商取引法」という法律を定めています。中国電子商取引法で特に気を付けたいのは、以下の3点です。
- 営業許可証の取得と納税が求められる
- 事業者に厳しい責任が課される
- 中国語での商品説明を記載する必要がある
ECサイトをはじめとしたインターネット販売を行う事業者や個人は、必ず営業許可証を取得しなければなりません。利益に応じた納税義務があり、脱税に対しては厳しい罰則が科されます。
また、事業者に対して顧客の安全や商品の信頼性に対する厳しい責任を課している点も特徴です。責任を果たさない場合、罰則はもちろん、EC市場から追い出されるケースもあります。
中国電子商取引法には他にも多くの規則が記載されているので、詳しく確認したい場合は日本語訳をチェックできる以下のページが参考になります。
(参考:JETRO|中華人民共和国電子商取引法)
日本とは異なる税金の仕組み
中国と日本では、税金の仕組みが以下のように異なります。
種類 | 概要 |
---|---|
関税 | 輸入品に対してかかる税金 |
増値税 | 日本の消費税に相当する税金 |
消費税 | 特定の嗜好品や贅沢品に対して出荷時または輸入時にかかる税金 |
行郵税 | 海外で購入したものや個人輸入品にかかる税金 |
また、「日本から中国に直送する場合」と「中国の保税区にある倉庫で管理する場合」でも、発生する税や税率が異なるため、正しい理解が必要です。
配送トラブル
中国は日本と比べて、配送遅延や配送時破損などのトラブルが発生しやすい傾向があります。トラブル時の対応内容は配送業者によって異なるため、サービス内容や実績を確認し、配送業者の品質を確認しましょう。
特に配送が集中する旧正月には遅延が起きやすい傾向があるため、遅延の可能性を事前にECサイト上で告知したり、破損時の対応を明記するなどの対策が必要です。
中国語への対応
中国市場へ参入するうえで、中国語の対応は避けられません。規制や法律、最新情報などは中国語で書かれているケースが多いため、確認や申請には中国語が必須になります。
また、顧客からの問い合わせや業者とのやりとりなど、中国語を理解できないと円滑なやり取りができず、思わぬトラブルを招く恐れもあります。
4中国越境ECを成功させるためのポイント
中国越境ECを成功させるためには、主に以下5つのポイントが重要です。
- 中国越境ECにおける適性
- モバイル決済の導入
- チャット対応の充実
- 自社に適した物流形態の採用
- 物流品質の向上
中国越境ECにおける適性
ポジティブリストに掲載されている商品を基本とし、ニーズに適した商品を展開することがポイントです。日本で売れている商品でも中国で売れるとは限りません。中国のニーズを探り、中国で売れ筋の商品を販売できると、売上アップも期待できます。
また、後述するキャッシュレス決済の普及に合わせたモバイル決済の導入や、チャットによる顧客対応など、「中国の商習慣との適性」も検討が必要です。
モバイル決済の導入
中国はキャッシュレス決済が主流で、主にモバイル決済の使用率が高い傾向にあるため、導入は必須といえるでしょう。
ほかにも、日本やアメリカで利用できるキャッシュレス決済サービスが中国では使えない、中国独自の決済サービスがあるなど、導入する決済手段の選定には注意が必要です。
チャット対応の充実
中国ではチャットによる顧客対応が主流のため、中国で知名度の高いチャットボットやAIなどによる対応を充実させることもポイントです。
顧客からの問い合わせに迅速に対応でき、疑問や不安を顧客自身で解決できるようになることで、顧客の購買意欲や満足度のアップが期待できます。
自社に適した物流形態の採用
中国越境ECを運営する際の物流形態は、主に以下の2種類です。
- 保税区モデル
- 直送モデル
物流形態 | 保税区モデル | 直送モデル |
---|---|---|
発送方法 | 保税区と呼ばれる地域で商品を管理し、保税区から顧客に商品を発送する方法 | 倉庫を利用せず、中国国外から中国へ直送する方法 |
事業者タイプ | 配送のスピードを重視したい事業者 | 中国越境ECに初めて参入する事業者 |
ポイント | 安定して出荷できる商品がある場合は在庫リスクを抑えることができるが、そうでない場合は、在庫リスクの懸念がある | 在庫リスクはないが行郵税が発生するプラットフォームの場合、商品によって13%・20%・50%のいずれかが課税される |
保税区モデル
保税区モデルは、中国にある保税区と呼ばれる地域で商品を管理し、保税区から顧客に商品を発送します。中国国内から発送してスピーディーに商品を届けられるため、配送スピードを重視したい事業者に適しています。
ただし、倉庫に商品を保管するため、在庫リスクには注意が必要です。安定した出荷を見込める商品であれば、在庫リスクを抑えることは可能です。
直送モデル
直送モデルは、中国国外から中国へ直送する物流モデルで、倉庫を利用せず在庫リスクがないため、中国越境ECに初めて参入する事業者に適しています。
行郵税が発生するプラットフォームの場合は、商品によって13%・20%・50%のいずれかが課税されるため、税負担には注意が必要です。
物流品質の向上
中国では、日本と比較すると配送サービスの品質やスピード感が低い傾向にあるため、物流品質を向上できると、他のECサイトとの差別化につながります。
商品の破損が起きないような工夫をしたり、配送システムを構築して1日でも早く届けられる環境を整備できると、顧客満足度や売上アップも期待できます。
5まとめ:中国越境ECの仕組みを理解して適切な運用を
中国越境ECは市場規模が大きく年々成長を続けているため、参入する事業者も増加傾向です。変化しやすい中国ニーズを正確に把握し、機能やサービスを展開することが成功のカギとなります。
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