物流センターとは、商品の入荷から発送までに必要なバックヤード業務を担うための施設のことです。保管だけでなく、流通加工なども含めたさまざまな作業を行う役割があります。
外部要因によって商品の需要が大きく変動することがあるため、さまざまな角度から需要予測を立てることで物流波動にも柔軟に対応することができます。
本記事では、物流倉庫との違いをはじめ、物流センターの役割や種類について紹介します。
目次
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1物流センターとは
物流センターとは、商品の入荷から発送までのバックヤード業務を一貫して担う「モノの流れ」を支える施設のことです。
保管以外の高度な作業も行う役割をもち、具体的には以下の9つが挙げられます。
- 入荷
- 保管
- 在庫管理
- ピッキング
- 流通加工
- 検品
- 梱包
- 仕分け
- 発送
物流倉庫との違い
物流センターと物流倉庫との違いは以下の通りです。
施設名 | 意味 | 機能 |
---|---|---|
物流センター | 生産・販売する際の「モノの流れ」を支える物流拠点の総称 | 商品の入荷から発送までを含めた全期間において、流通加工や検品、梱包などの作業を全て含めて行う |
物流倉庫 | 商品を保管しておく倉庫 | 商品の入荷後、出荷指示がくるまでの期間において正しい品質管理のもと保管する
※入荷・保管・ピッキング・出荷などの工程が存在(検品を行うケースもあり) |
物流倉庫は商品の保管を目的とし、品質を担保するための温度や湿度管理、在庫管理などに特化した機能が整っています。保管に重点をおいているため、保管スペースが多い傾向です。
一方で物流センターは、流通加工や発送前の梱包など、保管以外の作業を行うための機能が整っています。効率的に作業を行うことに重点をおいているため、仕分けスペースが広い特徴があります。
2物流センターの種類
役割や機能に応じて物流センターの呼び方が異なります。以下では、主に7つの物流センターとそれぞれの特徴を紹介します。
物流センターの種類 | 特徴 |
---|---|
DC (ディストリビューションセンター) |
・在庫型物流センター ・入荷した商品を一度保管し、消費者や店舗からの注文にもとづいて出荷する |
TC (トランスファーセンター) |
・通過型物流センター ・入荷した商品を保管せずに発送する |
PDC (プロセスディストリビューションセンター) |
・流通加工・在庫型物流センター ・高度な流通加工の施設と保管機能を保持する |
PC (プロセスセンター) |
・流通加工専門の物流センター ・小売店や商店の希望に合わせて商品を加工する |
FC (フルフィルメントセンター) |
・EC通販の注文~受取までに発生する業務全般を担う物流センター ・受注から発送までを一括して行う |
デポ | ・配送専門の小型物流センター ・迅速に頻度の高い配送を行う |
配送センター | ・トラックによる配送拠点 ・決まった地域やエリア内を対象とする |
DC(ディストリビューションセンター)
DC(ディストリビューションセンター)とは、在庫型物流センターのことです。入荷した商品を一度保管し、消費者や店舗からの注文や出荷指示に従って出荷作業を行い、商品を発送します。 保管するスペースや棚、トラックに商品を積み込む設備などがあり、在庫管理や仕分けに特化している点が特徴です。
TC(トランスファーセンター)
TC(トランスファーセンター)とは、通過型物流センターのことで、入荷した商品を保管せずに発送することが特徴です。 在庫を抱えず、商品の仕分け・積み替え・発送メインのため、DCほど大規模なスペースは必要なく、在庫管理や保管コストがかからないメリットがあります。
PDC(プロセスディストリビューションセンター)
PDC(プロセスディストリビューションセンター)とは、高度な流通加工の施設と保管機能を合わせた物流センターです。繊細な品質管理が求められる生鮮食品や、組み立てが必要な家具などを扱う場合に適しています。 物流センターと加工ラインが一体化しているため、商品の鮮度や品質を維持しつつ、物流業務を進めることが可能です。
PC(プロセスセンター)
PC(プロセスセンター)とは、流通加工を専門に行う物流センターで、最終納品先(小売店・商店)の希望に合わせて商品を加工します。 例えば、スーパーマーケットに並ぶ生鮮食品の加工などが挙げられます。加工商品の大量生産と、厳しい温度管理や衛生管理を行う品質維持を両立できることが特徴です。
FC(フルフィルメントセンター)
FC(フルフィルメントセンター)とは、EC通販における受注から発送までを一括して行う物流センターです。一般的な物流業務である入荷・保管・在庫管理・発送だけでなく、受注や決済業務・カスタマーサポート・返品や交換対応・顧客データ管理などを一貫して行います。
広範囲の業務を外部委託することで、消費者に対して安定した品質のサービスを提供することができます。
デポ
デポ とは、配送を専門とし、地域ごとに配置された小型の物流拠点のことです。多くの在庫を持たず、迅速に頻度の高い配送を行うことを目的としており、配送コストの削減やリードタイム の短縮に繋がります。
配送センター
配送センター とは、トラックによる配送拠点の施設です。商品の荷受けや一時保管、仕分けを行い、発送・配送を行います。配送センターは、特定の地域やエリア内に特化していることが一般的です。
3物流センターの立地による分類
立地により、物流センターの特徴が下記のように異なります。
立地 | 特徴 |
---|---|
生産立地型 | 商品の生産地や仕入先に近い場所に存在する |
消費立地型 | 商品の消費地や配送先に近い場所に存在する |
生産立地型
生産立地型とは、商品の生産地や仕入先に近い場所にある物流センターです。仕入先の近くに物流センターを配置することで、仕入コストを抑えられる特徴があります。 仕入先数が配送先数よりも多い場合に有効で、アパレルや建築部材などに適しています。
消費立地型
消費立地型は、商品の消費地や配送先に近い場所にある物流センターです。配送時間が限られている生鮮食品など、仕入先数よりも配送先数が多い場合に適しています。 消費者との距離が近いため、顧客ニーズを反映させ、きめ細やかなサービスが提供できるメリットがあります。
4物流センターの業務内容
物流センターでは、主に以下のような作業が発生します(上述のように、物流センターの種類によって作業内容は異なります)。
- 入荷と入荷検品・検収
- 保管・在庫管理
- ピッキング
- 流通加工
- 出荷検品
- 梱包
- 仕分け
- 発送
入荷と入荷検品・検収
入荷とは、仕入先から届いた商品を受け入れることです。入荷と同時に、商品の品番や数量に間違いがないか、入荷伝票と納品書と付け合わせる検収、商品の品質をチェックする検品を行う場合もあります。入荷検品・検収の精度が低いと、在庫数のズレが生じたり、発送遅延が発生する原因になるため、大変重要な作業です。
保管・在庫管理
商品は出荷までの間、物流センター内で一時保管します。
保管の際は、商品の品質管理と在庫管理がポイントです。例えば、冷凍冷蔵など温度管理が必要な生鮮食品の保管や、アパレル・雑貨などSKUの多い複雑な在庫管理、健康食品・化粧品など賞味期限・消費期限のある在庫管理などが該当します。
商品の保管場所を決めるロケーション管理を取り入れると、在庫管理の精度向上や手間の削減に繋がります。
ピッキング
ピッキングとは、出荷指示(ピッキングリスト)に基づいて商品を正確に集めることで、注文ごとにピッキングするシングルピッキングと、複数の注文に対して商品の種類ごとにまとめてピッキングするトータルピッキング
があります。
シングルピッキングは摘み取り方式やオーダーピッキングとも呼ばれ、トータルピッキングは種まき方式や総量ピッキングとも呼ばれます。ピッキング方法は、商材、購入点数(単品注文が多いか)などをもとに選定するのが一般的です。
流通加工
流通加工とは、生産から消費者に届くまでの過程で商品が加工される作業全般のことです。大きく分けると生産加工と販促加工に分類され、例えば、野菜のカット・箱詰め・アセンブリ(組み立て)などの生産加工、ラベリング・アソートなどの販促加工が該当します。流通加工は商品の付加価値を高めることで、購買意欲の促進や顧客満足度の向上に繋がります。
出荷検品
梱包前に再度検品を行います。ピッキングした商品の種類や数量が正しいかどうか、品質に問題はないかのチェックを行います。
梱包
梱包
とは、輸送中に商品が破損しないようにする作業のことです。商品に適した外装箱や緩衝材を使い、梱包を行います。梱包資材や梱包状態によって顧客満足度を左右するといっても過言ではない重要な作業です。
ギフト商品においては、ラッピングだけでなく熨斗やメッセージカードなど、用途によってカスタマイズできる柔軟な対応力が求められます。
仕分け
仕分けとは、梱包と送り状の貼り付けが終わり、発送できるようになった状態の商品を、配送業者別や配送エリア別に分類することです。仕分けは正確かつ効率的に行うことが重要です。
発送
仕分けた商品を、配送業者または自社の配送部門に引き渡し、納品先へ送り出します。上述のピッキングからスタートした一連の出荷作業の最終ステップです。
5物流センターの運営を外部委託するメリットとデメリット
ここからは、自社で物流センターの運営を運営するのではなく、外部委託する際のメリットとデメリットを紹介します。
メリット | デメリット |
---|---|
・初期投資を抑制できる ・物流の品質が向上する ・コア業務へ注力できる |
・委託費用が発生する ・ノウハウの蓄積が難しい ・リスク管理が必要になる |
物流センターの運営を外部委託するメリット
物流センターの運営を外部委託するメリットは主に以下の3つです。
- 初期投資を抑制できる
- 物流の品質が向上する
- コア業務へ注力できる
初期投資を抑制できる
自社で物流センターを借りる、新たに建てるとなると、莫大な時間と費用が発生します。また、運営を管理する人材の採用や育成に関わる時間と費用も必要です。
外部委託することで、物流センターの運用にかかるコストを変動費化(実際に発生した業務のみに費用が発生)できるため、初期費用を大幅に抑えられることがメリットです。
物流の品質が向上する
物流センターの運営やオペレーションを専門家に任せられるため、物流品質の向上が期待できます。センター内のオペレーションやマテハン、システム、梱包資材など、物流における専門家のノウハウと環境を活用できるためです。
物流品質の向上により、顧客満足度の向上にも繋がります。
コア業務へ注力できる
物流業務を外部委託することで、その分のリソースを販促や商品企画など売上アップに直結するコア業務へ集中させることができます。今まで物流業務に割いていた人員の配置転換も可能です。
物流センターの運営を外部委託するデメリット
物流センターの運営を外部委託するデメリットは主に以下の3つです。
- 委託費用が発生する
- ノウハウの蓄積が難しい
- リスク管理が必要になる
委託費用が発生する
外部委託には、初期費用や継続的に発生する利用料など、少なからずコストが発生します。委託先や委託する業務内容によって費用の大小や内訳はさまざまのため、必ず複数の委託先に見積もりを依頼して確認するようにしましょう。
ノウハウの蓄積が難しい
物流センターの運営ノウハウは委託先の資産のため、社内に蓄積することが難しいことは理解しておきましょう。
ただし、今後も運営を一括して外部委託していく方針にする場合は、ノウハウの蓄積は不要となり、しっかり本業のコア業務に専念することで、売上アップにも繋がります。
リスク管理が必要になる
外部委託の場合は、リスク管理も必要です。委託前にトラブルが発生した際の責任の所在を明確にしておくとともに、リスク管理体制を整えることが大切です。
例えば、委託先のミスで誤出荷が起きた場合は個人情報漏洩のトラブルに繋がります。委託先のセキュリティシステムや実績を確認し、信頼性を見極めた上で依頼することや、リスクアセスメントを実施することで、トラブルを防ぐこともできるでしょう。
6物流センターの運営を外部委託する際のポイント
物流センターの運営を外部委託する際の主なポイントを4つ紹介します。
- 委託する業務を明確にする
- 立地を確認する
- 実績を確認する
- 実際に現地見学をする
委託する業務を明確にする
最初に行うことは、現在の運営状況と外部委託の検討に至った経緯や課題を整理し、実態を把握することです。現状の整理をしたあとに、課題の洗い出しを行います。
物流センターの業務は多岐にわたるため、委託する業務内容によって費用も異なります。そのため、委託する業務を明確にした後は、優先度もつけておくと良いでしょう。
立地を確認する
首都圏エリアなど、都心に近い物流センターは利便性が良く魅力的ですが、委託費用は高くなる傾向があります。郊外の物流センターの場合は、幹線道路に近い立地だと費用を抑えながらも利便性を確保できる可能性も考えられます。立地はコストや利便性に関わるため、重要なポイントです。
実績を確認する
自社で取り扱う商品と類似した商品に関する知見や実績がある物流センターに委託できると安心です。
例えば、食品の場合は、衛生管理や安全性について理解していることが望ましいと考えられます。
委託先の導入実績やサービス内容を確認し、自社で取り扱う商品を適切に管理してもらえるかどうかを判断することがポイントです。
実際に現地見学をする
写真やパンフレットなどでは伝わらないことが多々あるため、必ず委託先の物流センターを見に行きましょう。センターの内部や設備がどのようになっているのか、商品がどのように扱われているのかを、自分の目で確認することがポイントです。
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7まとめ:物流センターの運営を外部委託してコア業務に注力しよう
物流センターとは、商品の入荷から発送までに必要なバックヤード業務を担うための施設のことで、その機能や役割によって様々な種類があることがわかりました。物流センターの運営を外部委託することで、売上アップに直結するコア業務に集中できることが最大のメリットです。
当社では、EC通販の注文から受取までに発生するバックヤード業務全般をまるごとお任せいただけます。外部委託を検討されている方は、お気軽にご相談ください。
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