バンニングとは、コンテナに貨物を積み込む作業を指す用語で、「バン詰め」と略して呼ぶこともあります。バンニング作業は、物流工程において貨物の安全性や品質保持、コスト削減などに大きく影響する繊細で重要な作業です。
本記事では、バンニングとは何か、工程や作業時の注意点を詳しく解説します。バンニングにおける課題も紹介しますので、ぜひご参考ください。
目次
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1バンニングとは?
バンニングとは、海上輸送において、コンテナ内に貨物を積み込む作業のことです。
貨物をコンテナに積み込むことを意味する英単語「van」から、コンテナへの荷積み作業を「Vanning(バンニング)」と呼ぶようになりました。海外では「stuffing」や「loading」と表現されることもあります。
輸出時の海上運賃はコンテナ単位で決まります。つまり1つのコンテナに、より多くの貨物を積み込む方が運賃を抑えられることから、バンニング作業の品質や効率がコストを左右するといっても過言ではありません。
また、バンニング作業の際は、国際的な法規や規格に従う必要があります。効率的かつルールを遵守したバンニングを行うには、以下のようなスキル・知識が必要です。
- コンテナや貨物の種類やサイズの把握
- 物流機器の操作
- 物流関連の法規や規格の理解
デバンニングとは?
デバンニングとはバンニングの逆の手順で、コンテナから貨物を取り出す作業のことです。
輸入用のコンテナから貨物を積み下ろし、自社倉庫や保税地域に積み下ろします。貨物の状態や数量を確認しながら作業をするため、負荷の大きい工程です。
さらに輸入時のデバンニングは原則、2時間以内に行うことが一般的なルールで、これを超えると待機料金が発生します。そのため、人員を確保して迅速に作業を行う必要があります。また、輸入先でデバンニングしやすいように、バンニングの時点で荷物の配置を工夫することも大切です。
2バンニングから輸出までの工程
自社で行う作業はバンニングが主で、他の工程は専門業者に依頼するケースがほとんどです。コンテナに荷物を積み込んでから輸出するまでには、以下のような工程があります。
バンニングの工程 | 作業内容 |
---|---|
1. コンテナを手配する | 輸出用のコンテナを船会社に手配する |
2. ドレー業者に配送を依頼する | バンニング作業現場まで、 輸送専門業者にコンテナを運んでもらう |
3. 貨物の搬入を行う | バンニング作業を行う |
4. コンテナを封印する | コンテナに封をする |
5. コンテナターミナルから輸出する | コンテナを港湾まで運んでもらい輸出する |
最初に、荷物を積み込むコンテナを手配し、バンニング作業を行う現場まで運んでもらう必要があります。コンテナは船会社に手配し、以下の事項を確認します。
- 種類・サイズ・数
- 受け取り場所
- 納入先
コンテナの輸送は、ドレー業者に依頼します。コンテナを指定の場所まで届けてもらい次第、バンニング作業に入ります。貨物を搬入する前に、コンテナ本体に破損個所がないかどうか、必ず確認しましょう。
バンニングが終わったらコンテナの蓋を閉め、施錠します。盗難防止のためコンテナに番号とバーコードが印字されたシールを貼り付けます。その後、再度ドレー業者に依頼してコンテナを港湾まで運び、船会社にコンテナを受け渡すと、輸出手続きは完了です。
3バンニングで使われるコンテナ
バンニングに使うコンテナには、主に以下の5種類があります。
- ドライコンテナ
- オープントップコンテナ
- リーファーコンテナ
- タンクコンテナ
- フラットラックコンテナ
ドライコンテナ
ドライコンテナは、汎用性が高く特殊な条件がないケースで使用するコンテナです。天井・底・側面があり、前後の扉から貨物を出し入れ可能で、衣類・家具・電化製品などさまざまな商品の輸出に利用されます。
オープントップコンテナ
オープントップコンテナは、上蓋部分が開閉するコンテナです。上蓋部分が布製や金属製のカバーで覆われており、クレーンなどで貨物を上から積み込めます。ドライコンテナに入らない高さがあるものや、重量物を積み込めるため、建設機械や項番などを輸送する際に最適です。
リーファーコンテナ
リーファーコンテナは、低温状態で品質を保持できるコンテナです。冷凍機を内蔵しており、コンテナ内部はマイナス25~25℃まで温度調整できるため、温度に弱い生鮮食品や薬品、精密機械の輸送に利用できます。
タンクコンテナ
タンクコンテナは、液体を運搬するタンクが内蔵されたコンテナです。タンクを頑丈な鋼製フレームで補強しており、化学薬品や調味料、酒などの運搬に適しています。
フラットラックコンテナ
フラットラックコンテナは、天井と側面がない平台型のコンテナで、横方向や上から貨物を出し入れ可能です。オープントップコンテナでは対応できない大型の貨物や、木材などの重量物を輸送する際に最適です。
4バンニング作業の課題
輸出工程において重要なバンニング作業ですが、以下のように対策すべき課題もあります。
- 作業に時間がかかる
- 荷物の破損リスクがある
- スタッフへの負担が大きい
作業に時間がかかる
バンニング作業を細分化すると、以下のような工程になります。
- 荷物の積み込み
- 確認
- 内容の記録・報告
工程をすべて含めると工数が多くなり、作業時間も長期化しやすい傾向にあります。同時にスタッフの疲労やミスも増えるため、効率が低下しやすくなります。
バンニングの作業時間を短縮したい場合は、現場の作業環境を整えましょう。例えば、作業現場における照明や換気の改善、マテハン機器の導入など、作業用具を整備することで安全かつ快適に作業を進められます。
荷物の破損リスクがある
バンニング作業中に荷物が破損すると、商品の品質を疑われたり、企業の信用低下に繋がるリスクがあります。また、損害賠償や再発防止対策も必要なため、単純な工数が増えることも難点です。
荷物の破損リスクを避けるためには、作業記録を取ることが効果的です。荷物の状態や数量を事前に確認し、破損した場合は写真や動画で証拠を残しましょう。責任の所在がわかりやすくなるほか、迅速な原因究明に役立ちます。
スタッフへの負担が大きい
バンニング作業は屋外で行われるケースが多く、作業環境が過酷です。夏場のコンテナ内の温度は50℃以上、冬場は氷点下になるケースもあるため、スタッフへの負担は計り知れません。
バンニングの作業負荷を減らすには、自動化や機械化が有効です。積み込みをロボットに任せたり、バーコードやRFIDなどを使用すれば作業量やミスを軽減できるでしょう。
5バンニング作業の注意点
バンニング作業を行う際の注意点は、以下の5つが挙げられます。
- 荷物を固定し荷崩れを防ぐ
- バランスを考えて荷物を配置する
- 輸出先でのデバンニングに配慮する
- 作業環境を整える
- 作業記録を残す
荷物を固定し荷崩れを防ぐ
船舶での輸送中、思わぬ揺れによって荷物が破損する可能性があるため、バンニングの際は荷物をしっかりと固定し荷崩れを防ぐ必要があります。
固定方法は、ワイヤー・ベルトで荷物をコンテナに固定する「ラッシング」や、端材・角材で荷物が載ったパレットを固定する「ショアリング」などがあります。また、コンテナ内に隙間ができないように、クッション材や詰め物をすることも効果的です。
バランスを考えて荷物を配置する
コンテナはクレーンで積み下ろしを行う都合上、バランスが悪いとコンテナが傾いたり転倒する可能性があるため、バンニングの際はバランスを考えて荷物を配置しましょう。
具体的には、以下の点に注意が必要です。
- 貨物を均等に分配する
- 重い荷物は底、軽い荷物は上に積む
- コンテナの積載率・重量制限を守る
積載率とは、コンテナの容積に対して貨物が占める割合のことです。一般的には、80%以下になるようにします。
輸出先でのデバンニングに配慮する
輸出先によっては、デバンニングに時間制限が設けられているケースがあります。
その場合は、あらかじめ積み下ろしやすいように荷物を配置するなど、バンニング作業時に配慮が重要です。具体的には、以下のポイントに注意が必要です。
- コンテナに破損や汚れがないかチェックする
- 荷物ごとに内容物や数量、目的地などを明記する
- 積み下ろしがしやすい順番で配置する
作業環境を整える
バンニングに限らず、物流業界全体が人手不足な現状では、スタッフ1人あたりの作業負担も大きくなります。スタッフへの負担増加は作業効率が落ちるだけでなく、ミスや事故にも繋がり、健康やモチベーションへの影響も無視できません。
例えば、照明や換気など、作業現場の環境を改善してスタッフのモチベーションを高めたり、機械化や自動化をすることでミスの防止や効率化にも繋がるでしょう。
作業記録を残す
バンニング作業記録を残しておくことで、スタッフを守ることにも繋がります。例えば、荷物に破損が見つかっても、残した記録の以下情報から原因の特定が可能です。
- 作業内容
- 作業時間
- 作業現場
- 作業の担当スタッフ
適宜情報を記録しておくことで、トラブルが発生した際にもスタッフに非がない(バンニング中に発生した破損ではない)ことを証明できるでしょう。
6まとめ:課題を把握してバンニングの作業環境を整えよう
バンニングは海上コンテナに貨物を積み込む作業のことで、ただ単に積み込むだけでなく、後工程のデバンニング作業への配慮も必要なため、技術や経験が要求されます。
繊細で過酷になりがちなバンニング作業では、スタッフへの負担軽減やモチベーションアップのためにも、作業環境には十分に注意を払いましょう。
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