PDC(プロセスディストリビューションセンター)は物流センターの種類のひとつで、高度な流通加工ができる施設のことです。商品の組み立てや設置、加工などの作業を行うことで、商品の付加価値を高め、あらゆる顧客のニーズに応えることができます。
本記事では、PDC(プロセスディストリビューションセンター)のメリット・デメリットや作業工程を解説します。PDC以外のセンターについても紹介しますので、ご参考ください。
目次
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1PDC(プロセスディストリビューションセンター) とは
PDCは、Process Distribution Center(プロセスディストリビューションセンター)の略称です。日本語では「流通加工・在庫型センター」の意味で、商品加工と倉庫の機能を持つ物流センターを指します。
PDCで扱うのは、繊細な品質管理が求められる生鮮食品や、組み立てが必要な家具などです。厳しい温度管理や防塵の設備、生産ラインが設置され、商品を最適な環境で保管し、加工しています。
DC(ディストリビューションセンター)のような保管だけの物流センターとは異なり、加工ラインと一体化しているため、商品の鮮度や品質を維持しやすいといったメリットがあります。一方、保管と加工ラインを両方備える分、初期投資や維持費がかかるデメリットもあります。
2PDC以外の物流センター
PDC以外の物流センターは、主に以下の6種類が挙げられます。
- DC (ディストリビューションセンター)
- PC (プロセスセンター)
- TC (トランスファーセンター)
- FC (フルフィルメントセンター)
- 配送センター
- デポ
DC (ディストリビューションセンター)
DC (ディストリビューションセンター)は、「在庫型センター」と呼ばれる物流センターで、従来の物流倉庫に近い役割で商品を保管し、注文に従って出荷する役割を担っています。
従来の倉庫と異なるのは、商品を出荷しやすいよう効率化されている点です。センター内のレイアウトもピッキングや積み込みに適した構造になっています。
DCは大量の商品を保管できるため、仕入れ値を抑えつつ大量出荷にも備えられます。需要予測が難しい商品や長期的な需要が見込まれる商品は、DCが適しています。
PC (プロセスセンター)
PC (プロセスセンター)は、物流センターの中でも流通加工を専門に行う施設で「流通加工型センター」とも呼ばれます。
PDCと同様、店舗や納品先の要望やニーズに応じて加工を施し、商品への付加価値をつける役割を担っていますが、保管(在庫型センター)に関する部分はPDCと異なります。カスタマイズやパッケージ変更などの加工に向いており、一括集中による生産の効率化が実現できます。
TC (トランスファーセンター)
TC (トランスファーセンター)は、在庫を保管せず商品の仕分けや積み替え、出荷を行う物流センターです。商品を保管しないため、「通過型物流センター」とも呼ばれます。
在庫管理や保管のコストをかけずに配送効率や品質向上が可能なメリットがある一方で、急な注文増加などの変動に対応できないデメリットもあります。そのため、TCで扱う商品は需要予測が容易で安定供給される商品や、大量輸送される商品が適しています。
FC (フルフィルメントセンター)
FC (フルフィルメントセンター)は、EC通販業務の受注から発送までを総合的に担うセンターです。入荷や検品、出荷などの基本的な物流業務はもちろん、受注業務や返品・クレーム対応まで代行します。
EC通販まわりの業務を丸ごと委託できるため、サービス品質の向上を図りつつ、ビジネス拡大に集中できます。
配送センター
配送センターは、決められたエリアに商品を配送するための拠点で、店舗やエンドユーザーに直接商品を届ける役割を担います。配送先を特定の地域に絞ることで配送時間を減らし、より早く、正確に商品を届けます。
デポ
デポとは、上述の配送センターより小型の配送拠点です。配送数が多いエリアに設置し、商品を一時保管してから配送します。お届けにかかる時間を短縮することを目的とし、配送ニーズに応じて柔軟に対応できるという特徴があります。
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3PDCにおける物流業務の流れ
PDCの物流業務には、6つの工程があります。
工程 | 内容 |
---|---|
1. 入荷 | 仕入先から届いた商品を受け入れる 主な作業は「商品の受け取り」と「検品・検収」がある |
2. 保管 | 商品の品質や在庫管理(ロケーション管理)を行う |
3. 加工 | 鮮魚や精肉の加工、部品の組み立てや設置、 包装やラベルの変更など、高度な流通加工を行う |
4. ピッキング | 出荷指示があった商品を保管場所から取り出す |
5. 検品・梱包 | 破損や汚れがないかチェックして梱包する |
6. 出荷 | 配送先や内容物などの情報を記載した伝票で、仕分けして出荷する |
仕入先から届いた商品は、入荷予定リストを見ながら正確に届いているかどうかチェックします。
その後、決められたスペースに保管し、在庫管理システムや台帳に記録します。
PDCに注文(出荷指示)が入ると、指定された数の商品に加工が施され、ピッキング・検品・梱包を経て商品を出荷します。
4PDCのメリット
PDCを利用するメリットは、以下の3つです。
- 高度な流通加工ができる
- スピーディーに商品を加工できる
- 品質や安全性が向上する
高度な流通加工ができる
PDCで商品の組み立て・加工を行うことで、商品の付加価値を高めることができます。また、食品や化粧品などの品質管理やラベル貼りを事前に済ませておくことで、店頭側の負担を軽減できる点もメリットです。
さらに、PDCではニーズに応じたカスタマイズやオーダーメイドも可能です。これにより、顧客にとって魅力的な商品を提供できるとともに、他店との差別化も図ることができます。
スピーディーに商品を加工できる
PDCは倉庫と工場が一体化したようなセンターのため、商品の移動に関する時間やコストを削減できます。
工場で加工してから倉庫に移動する工程や、その逆の工程を省けるなど、よりスピーディーな商品加工・配送が可能です。さらに、高度な加工機器や自動化設備を導入すれば、加工スピード・精度の向上も見込めます。
また、PDCで在庫管理システムやRFID(無線周波識別)を利用すれば、在庫状況や位置情報をリアルタイムで把握できます。加工した商品をデータ上で管理し、適切な環境に保管しておけば、在庫ロスの抑制も可能です。
品質や安全性が向上する
PDCでは商品の加工・保管に適した環境があるため、品質や安全性の管理が可能です。たとえば生鮮食品の場合は、リアルタイムで温度や湿度を調整することで鮮度を保つことができます。
また、化粧品の場合は、無菌かつ清潔な空間で製造・検査しているため、衛生面の強化が可能です。加えて、PDCではHACCP(危害分析重要管理点)やISO9001(品質マネジメントシステム)などの国際的な基準に沿って、品質管理や安全管理を行うケースもあります。
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5PDCのデメリット
PDCのデメリットは、以下の4つです。
- 設備や人件費への投資が必要
- 保管スペースの確保が困難
- 在庫ロスや廃棄リスクによる損失
- 規制への対応が必要
設備や人件費への投資が必要
PDCは、加工ラインと在庫保管の設備を同時に保有している関係上、初期投資や維持管理にかかるメンテナンス費が高額になります。導入する設備には、温度管理設備や防塵設備、流通加工機器や自動化設備などが挙げられます。
また、専門的な技術や知識を持ったスタッフの雇用・教育にもコストがかかります。PDCの規模が大きくなるほどコストも嵩むため、規模は慎重に決めましょう。
保管スペースの確保が困難
PDCでは、保管スペースと加工スペースが同じエリアにあるため、保管スペースをどの程度確保できるのかは注意しておきましょう。大型商品や温度管理が必要な商品は保管場所に制約があるため、必要な在庫数を保管できない可能性もあります。
保管スペースを有効活用する方法として、立体保管やパレット積み重ねが有効ですが、商品の取り出しや移動に時間がかかるほか、損傷などのリスクもあるため、注意が必要です。
在庫ロスや廃棄リスクによる損失
PDCでは、在庫管理や保管現場の管理にミスが生じると、在庫ロスや廃棄などの損失が発生します。たとえば、生鮮食品なら鮮度の低下や腐敗、機械の故障や破損といったものが挙げられます。
在庫ロスは、廃棄処分などのコスト発生や、機会損失による顧客からのクレームや信頼低下の影響があります。このようなリスクを避けるためには、以下のような対策が効果的です。
- 需要予測の精度を高める
- 在庫管理システムを導入する
- 仕入れ量や発注頻度を最適化する
- 品質管理や鮮度管理を徹底する
規制への対応が必要
PDCで流通加工を行うには、法規制や基準に対応し、安全性を証明する必要があります。商材が食品や医薬品の場合は、食品衛生法や医薬品医療機器等法に基づき、衛生管理や品質管理が必須です。
また、危険物などの場合は、火災や事故を防ぐために安全管理や事故防止が求められます。こうした法律や規則に違反すると、罰則や損害賠償などの責任が発生するため、管理には十分注意しましょう。
6まとめ:PDCの利点を把握して高品質な商品を提供しよう
PDCは、商品の保管から流通加工、出荷までを一貫して行うセンターで、商品の付加価値を高め、顧客のあらゆるニーズに応えることができることがわかりました。
EC通販事業を中心に拡大を続ける物流業界では、スピーディーに商品を加工して発送できるPDCの重要性は高まると予想されます。PDCを効果的に活用し、顧客満足度の向上につなげましょう。
当社では、全国の主要拠点に物流センターを構え、流通加工にも対応した物流サービスを提供しております。物流アウトソーシングをご検討の際には、お気軽にお問い合わせください。
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