カゴ落ちとは、ECサイトにおいて商品をカートに入れたまま、購入せずに離脱してしまうことをいいます。売上への影響もあるため、カゴ落ち対策は欠かせません。
本記事では、カゴ落ちの理由や防止するための対策を紹介します。カゴ落ち率の計算方法や対策に効果的なツールについてもご参考ください。
目次
ECの受注担当者・顧客対応担当者が抱える
お悩み “あるある”5選と解決策
1カゴ落ちとは?
カゴ落ちとは、カートに入れたまま商品を購入せずに、ECサイトを離脱することをいいます。後日購入したり、他のECサイトと比較するため、一度カートに入れた状態にしておく購入者も少なくありません。
カゴ落ちの回数が増えると、購入率が下がり売上の低下にもつながります。
カゴ落ちを最小限に抑えるためには、原因を探り発生を防止する「カゴ落ち対策」が重要です。
カゴ落ち対策の重要性
カゴ落ちは購入機会の損失であり、売上の低下に直結します。ただし、購入の一歩手前まで進んでいることから、購入意欲は高いと推測されます。
そのため、スムーズに購入できるような対策をすることで、購入率を高めることも可能です。そのために、まずは原因を探り、適切なカゴ落ち対策が重要です。
カゴ落ちが発生する割合
株式会社イー・エージェンシーの調査によると、カゴ落ちによる機会損失ユーザー数は全体の68.2%でした。カゴ落ちによる機会損失額は、売上の約2.5倍ということがわかっています。
カゴ落ち率は一般的に全体の7割と言われ、どのECサイトでも向き合う必要がある課題です。ECサイトによってカゴ落ちの原因はさまざまのため、原因に合わせた対策を進めましょう。
(引用:ECのミカタ|調査:カゴ落ちは最大70%・売上の2.5倍にも)
2カゴ落ちが発生する理由
カゴ落ちが発生する理由はさまざまで、「後日購入するため」「他のECサイト・他の商品と比較するため」といった、購入を前提としたものもありますが、カゴ落ちする理由のほとんどはサイトやサービスの利便性です。
「すぐに欲しかったが到着予定日が遅い」「ECサイトが分かり難く不便」など、購入までの不満やストレスを感じてしまうと、カゴ落ちが発生しやすくなります。
<カゴ落ちする理由>
- 購入までに手間がかかる
- 商品到着まで時間がかかる
- 決済時まで合計金額がわからない
- 利用したい決済方法に対応していない
- 配送方法の選択肢が少ない
- 返品のルールがわからない
- 入力時にエラーが起きた
- サイトが重く動作が遅かった
- セキュリティに不安がある
- 情報収集のためにカートに入れていた
上記の中から、特に重要視されている3つについて説明します。
購入までのステップに手間・時間がかかる
たとえば、初回購入で会員登録が必須となると、登録の手間によって購入意欲が下がり、そのままカゴ落ちするケースがあります。入力項目が多かったり、購入フォームの使い勝手が悪い場合も、カゴ落ちする可能性を高める要因になります。
決済手段の選択肢が少ない
ECサイトでは、クレジットカード決済や代引き決済など、複数の決済方法を選択できるのが一般的ですが、選択肢が少なく、普段利用している決済手段に対応していない場合は、カゴ落ちが発生しやすい傾向にあります。
SBペイメントサービスの調査によると、普段利用している決済手段を使えない場合、約6割が他のECサイトで同じ商品を購入すると答えています。
顧客が他のサイトに流出してしまうため、カゴ落ち対策として決済手段の充実が必要です。
(引用:SBペイメントサービス|調査結果:ECサイトで希望の決済手段がない場合の離脱率は?)
セキュリティに不安がある
ECサイトの決済には、個人情報やクレジットカード情報などの登録が必要ですが、セキュリティに不安があると購入を断念するケースがあります。
個人情報やクレジットカード情報などの流出を懸念している顧客は多く、払拭できない場合にカゴ落ちが発生しやすくなります。
<セキュリティに不安を覚えるケース>
- ショップの運営者情報を明記していない
- 個人情報の取り扱い方を明記していない
- ログイン時の2段階認証に対応していない
- ECサイトがSSL化されていない
ECの受注担当者・顧客対応担当者が抱える
お悩み “あるある”5選と解決策
3カゴ落ち対策の具体的な施策
カゴ落ち対策として実施したい具体的な施策は、以下の12点が挙げられます。
- 購入までのステップを減らす
- 会員登録なしで購入できるようにする
- ページの表示スピードや操作性を改善する
- 決済前に合計金額を確認できるようにする
- 幅広い決済方法に対応する
- 配送方法の選択肢を増やす
- 商品の到着日を明記する
- 送料を明確に表示する
- 返品・交換のルールを記載する
- ショップの信頼性・サイトの安全性を伝える
- 疑問や不安を解消する「よくある質問」を充実する
- カゴ落ちメールで購入を促す
1. 購入までのステップを減らす
購入手続き画面に、お届け先や支払情報などのアカウント情報を自動で読み込めるようにすると、入力の手間が少なくなるうえ、購入ごとの入力が不要になるため、リピーターへの利便性向上にも効果的です。
2. 会員登録なしで購入できるようにする
会員登録を必須にしないことで購入のハードルを下げられるため、カゴ落ちを防ぐことができます。入力フォームの簡略化にも繋がるため、入力におけるストレスの削減も可能です。
3. ページの表示スピードや操作性を改善する
表示スピードの改善には、余分なソースコードや改行の削除、画像容量の圧縮などが効果的です。操作性を改善するためには、購入ボタンの配置や入力フォームの見やすさなどを顧客目線で見直しましょう。
また、サイトの不具合やエラーがきっかけでカゴ落ちが起きるケースもあるため、予期せぬ不具合が起きないシステム環境の整備も必要です。
4. 決済前に合計金額を確認できるようにする
決済前に合計金額を把握できるようにすると、予想外の金額でカゴ落ちするリスクを減らすことができます。合計金額には、商品代金だけではなく、送料や手数料をすべて含むトータルの金額を表示しましょう。
5. 幅広い決済方法に対応する
広く普及しているクレジットカードをはじめ、決済の選択肢を増やすことが大切です。キャリア決済や後払い決済、コンビニ決済などは、クレジットカードを持たない人や、商品が届いてから支払いをしたい人にも重宝されます。
6. 配送方法の選択肢を増やす
お届け希望日やお届け先の住所指定などの選択肢を充実させることも、カゴ落ち防止の効果が期待できます。コンビニや宅配ロッカーを受け取り場所に設定したり、置き配を指定するなど、商品受け取り側の利便性を高めることも可能です。
7. 商品の到着日を明記する
商品の到着日が把握できない場合にカゴ落ちするケースも少なくありません。手元に商品がいつ届くのか明らかになるだけで、カゴ落ちのリスクを抑えることができます。
8. 送料を明確に表示する
商品をカートに入れ、購入を進めた段階でないと送料がわからないECサイトの場合は、送料が理由でカゴ落ちするケースも少なくありません。
事前に商品ページで送料や手数料を表示させておくことが重要ですが、(可能な範囲で)送料や手数料を無料にできると、さらに購入率を高めることができるでしょう。
「〇〇円以上の購入で送料無料」といったサービスも検討しましょう。
9. 返品・交換のルールを記載する
商品を手に取ることができないECサイトでは、返品や交換のルールも影響します。思っていたものと違う、サイズが合わない、などの商品が届いたときの対応内容や条件が明記されていると、顧客側は安心して商品を購入できます。商品ページに注意書きを掲載したり、ポリシーへのリンクを記載するなど、顧客の目に触れやすい工夫をしましょう。
10. ショップの信頼性・サイトの安全性を伝える
運営者情報や個人情報の取り扱いなどを明記するだけでなく、セキュリティ対策は必須です。データ通信を暗号化するSSL証明書を取得したり、ログイン時や購入時に2段階認証や3Dセキュアを導入するなど、顧客の安全に最大限配慮しましょう。
11. 疑問や不安を解消する「よくある質問」を充実する
よくある質問に、顧客が気になることに対する適切な回答があると、疑問や不安を自己解決し、購入を止める理由を解消できます。普段から寄せられる問い合わせ内容を確認し、質問や意見が多い内容から「よくある質問」ページに追加掲載しましょう。
12. カゴ落ちメールで購入を促す
カートに商品を入れたままの顧客に対してリマインドを行うカゴ落ちメールは、メールアドレスがわかっている場合に限りますが、カゴ落ち対策に有効な方法です。
効果的な送信タイミングは商材や価格によって異なりますが、初回リマインドはカート投入から2~3時間後が良いといわれています。送信回数は3~4回で、それ以上送ってしまうと逆効果だとされています。また、カゴ落ち商品があっても、その後に別商品の購入がある場合は、リマインドが不要なケースもあるため細かな設計が必要です。
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4カゴ落ち対策に効果的なツール
カゴ落ち対策では、サイト改善の他にツールの活用も効果的です。カゴ落ち防止に便利なツールとして、以下の3つを紹介します。
- Web接客ツール
- 購入フォーム改善ツール
- MAツール
Web接客ツール
Web接客ツールとは、チャットやAIによってサイト上で自動接客できるツールです。
購入する際に不安や疑問があった場合、質問を入力するとツールが自動で回答してくれるため、購入に関する不安をすばやく解決できます。
ポップアップによる顧客へのアクションやユーザー情報の収集などの機能もあり、顧客満足度や分析精度の向上にも効果的です。
購入フォーム改善ツール
購入フォーム改善ツールとは、購入時に必要な入力フォームの利便性を改善するツールで、EFOツールとも呼ばれます。
入力項目を最適化したり、必須入力を強調するなどの機能があり、入力の手間やストレスの軽減によってカゴ落ちを防止できます。郵便番号による住所自動入力やフリガナの自動入力など、ツールによって機能は異なるため、必要な機能を備えたツールを選びましょう。
MAツール
MAツールはマーケティングを自動化できるツールで、カゴ落ちメールやフォーム改善ツールなど幅広い機能を備えています。
見込み顧客の管理やアクセス解析などさまざまな機能を備えているため、カゴ落ち対策以外にも営業や顧客管理などを統合管理したい場合に役立ちます。
ツールによって効率化できる作業が異なるため、カゴ落ち対策を含めた必要な機能を備えたツールを選択しましょう。
5まとめ:カゴ落ち対策でECの売上をアップしよう
カゴ落ちは販売機会の損失であり、売上に直結するため、原因に合わせた対策が必要です。
購入する際の手間や決済手段の選択肢、サイトのセキュリティによってカゴ落ちの原因となるため、対策は重要です。
その他にも返品ポリシーの明記など、快適かつ安全なECサイトに改善することが、カゴ落ち防止に効果的です。カゴ落ちメールやWeb接客ツールも有効なため、必要に応じて活用しましょう。
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