スマートロジスティクスとは別名スマート物流とも呼ばれ、先端技術を活用することで
物流や
倉庫管理を効率化する取り組みです。
物流業界が直面している人手不足や負担増などの課題の解決策として、スマートロジスティクスの導入が徐々に広がりをみせています。
本記事ではスマートロジスティクスについて、導入事例や期待できる効果などを解説します。倉庫オペレーションについて課題をお持ちの際は、ぜひご参考ください。
目次
物流業界の2024年問題で、
EC通販事業者がすべき3つの対策とは?
1スマートロジスティクスとは
これまで物流は人の手を介するのが一般的でしたが、最新技術の登場により自動化や効率化を実現できるようになりました。
IoTとは「Internet of Things」の略称で、センサーやカメラを活用し、さまざまなモノをインターネットに接続する技術を指します。
AIは人工知能のことで、コンピューターが人間の代わりに判断や分析などを行う技術です。
例えば無線タグやセンサーを用いた配送状況の把握、AIロボットによる倉庫業務の効率化などが注目され、物流業界でスマートロジスティクスの実現が図られています。
2スマートロジスティクスの種類
スマートロジスティクスの種類は、大きく分けて以下の2つに分けられます。
- 輸送IoT
- 倉庫IoT
保管や流通加工などさまざまな業務を行うため、多くのコストや作業を担うスタッフが必要になります。これらを効率化することで、保管費・荷役費・人件費などのコストを削減し、少ない人員で業務を回すことが可能になります。
輸送IoT
輸送IoTとは、配送をネットワークで管理する技術です。資材や商品などを配送する際に、現在位置や移動状況などを把握できるため、配送の効率化やトラブル回避などに役立ちます。
輸送IoTで活用されている主な技術は、以下のようなものがあります。
GPSトラッカー
GPSトラッカーとは、衛星測位機能で位置情報を取得できる端末です。 離れた場所からでも位置情報を把握することができるため、商品の移動状況の把握に役立てることが可能です。ドライバーの行動把握も可能になり、正確な勤怠管理が実現できる便利な技術といえます。
TMS(輸配送管理システム)
TMSは輸配送管理システムと呼ばれ、配車計画や配送の進捗管理を行うことができます。 輸送先や納期などのデータから配車数や配送ルートを算出できるため、物流の効率化に効果的です。
倉庫IoT
倉庫IoTとは、倉庫管理や倉庫業務の効率化をネットワークで実現する技術です。倉庫で行われる検品や仕分けなどをネットワークで管理することによって、倉庫業務を効率化しつつ、ヒューマンエラーを防ぐことができます。
倉庫IoTで代表的な技術は、以下のようなものがあります。
RFID
RFIDとは、商品に取り付けたタグからデータを読み取る技術です。非接触でデータを一括で読み取ることができるため、検品・仕分け・棚卸などをスピーディーに実施できます。
WMS(倉庫管理システム)
WMSとは、商品の入荷や出荷などを統合管理できるシステムです。システムに各種データを取り込むことで、在庫管理を自動化できます。入荷・出荷管理や棚卸管理、帳票・ラベル発行などの機能もあり、倉庫業務の効率化が可能です。
物流業界の2024年問題で、
EC通販事業者がすべき3つの対策とは?
3スマートロジスティクスが重要視されている理由
スマートロジスティクスが近年重要視されている背景には、主に4つの理由があります。
- 人手不足が深刻化している
- 小口発送の増加に伴い、輸送効率が下がっている
- 燃料費の高騰でコストが増えている
- ECの需要が増えている
人手不足が深刻化している
トラックドライバーの人手不足は年々深刻化しており、主な原因は、低賃金・長時間労働と考えられています。労働環境を改善して人手不足解消を目指しているものの、少子高齢化の影響による労働力不足もあり、根強い課題となっています。
限られた人材で物流を止めないために、スマートロジスティクスによる配送業務や倉庫業務の効率化は、物流の省人化を実現できる方法のひとつとして注目されています。
小口発送の増加に伴い、輸送効率が下がっている
近年、ネットショッピングの普及や、各企業のECシフト化に伴い、小口発送が増加しています。これによりドライバーの負担が増え、労働環境の悪化やヒューマンエラーの増加などが起きるケースがあります。
スマートロジスティクスの中でも、輸送IoTは小口発送増加への対策に効果的です。配車や配送経路を管理することで、あらゆる配送シーンに対応しやすくなります。
燃料費の高騰でコストが増えている
物流コストの中でも運送費には、燃料費が含まれています。燃料に使用される原油価格は、現在の世界情勢や急激な円安などによって、高騰しています。物流コストが増えると利益を圧迫するため、企業にとっては見逃せない課題です。
スマートロジスティクスは、物流のコスト削減にも効果を発揮します。省人化による人件費削減、配送ルートの最適化による燃料の節約などによって、コストダウンの実現が可能です。
ECの需要が増えている
ECにおいて、仕入れ・検品・ピッキング・在庫管理など、物流の機能はあらゆる場面で重要な役割を担っています。経済産業省が発表した電子商取引に関する市場調査(※)によると、EC市場は2013年から2020年までで約1.7倍に成長しています。
(※参考:経済産業省|電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました)
市場の成長を受けて、既存事業のEC化やECショップの立ち上げを検討する企業が増え、需要に対応するためにスマートロジスティクスが注視されています。
4スマートロジスティクス導入によって期待できる効果
スマートロジスティクス導入によって期待できる効果は、主に以下の3つです。
- 少人数で物流業務を運営できる
- 配送の効率を高めることができる
- 人的ミスを削減できる
少人数で物流業務を運営できる
スマートロジスティクスによって、一部の物流業務をAIやロボットなどに任せることができます。
特に仕分けやピッキングなどは最新技術によって自動化しやすい業務であり、少人数での運営が可能です。
物流業界は慢性的な人手不足に直面していますが、スマートロジスティクスによる効率化で課題を解決できる可能性があります。
省人化の実現は、人手不足の解消以外にも、人件費の削減や労働環境の改善などの効果も期待できます。
配送の効率を高めることができる
配送先に応じた最適な経路選択やロボットを活用したスピーディーな仕分けなどで、配送効率を高めることが可能です。効率の良い配送ができるとドライバーの負担や余計なコストの削減効果も期待できます。
人的ミスを削減できる
判断や動作などをIoTやAIなどのシステムに委ねることができると、判断ミスや作業ミスなどのヒューマンエラーは起こりません。倉庫業務や配送におけるトラブルを未然に防ぐことができるため、対応の手間やコストを削減できます。
物流業界の2024年問題で、
EC通販事業者がすべき3つの対策とは?
5スマートロジスティクスの導入事例
スマートロジスティクス導入事例では以下の3つが参考になります。
- MonotaRO(モノタロウ)
- ヤマト運輸株式会社
- Amazon(アマゾン)
MonotaRO(モノタロウ)
同社の物流施設に導入されているスマートロジスティクスにより、15時までの注文で当日出荷され、翌日に届くスピーディーな配送を可能にしています。
兵庫県猪名川町にある物流センターには、小型無人搬送ロボット「Racrew(ラックル)」を導入し「歩かない物流センター」を実現しています。入荷や出荷、ピッキングなどの作業はロボットが担うため、最低限のスタッフで運営でき、センター内を動き回る必要はありません。
スマートロジスティクスによって管理できる在庫が増え、より多くの商品を取り扱う拠点として稼働しています。
ヤマト運輸株式会社
同社はドライバー不足やEC配送の増加に対応するために、集配コースの自動組み立てを導入しました。
効率的なルートが自動で組まれるため、ドライバーの能力や物量に関わらず、効率的な配送を可能にしています。
2022年11月には、京セラコミュニケーションシステム株式会社と連携し、無人自動配送ロボットの実証実験を行いました。
ロボットを活用した無人配送をテストし、配送の担い手不足の解決に向けて、非対面・非接触の配送システムの実用化を目指しています。
Amazon(アマゾン)
同社で2022年3月に開設された兵庫県尼崎市の物流拠点では、商品棚の下にロボットを搭載し、注文に応じてスタッフの元に商品棚が動くシステムを採用しています。
物流業界では自動化が注目されていますが、Amazonでは全自動化ではなく、人の手も効果的に活用しているのが特徴です。
多様な商品を扱うからこそ全自動化は難しいため、よくあるミスの周知や安全面の注意事項などを徹底したうえで、最新技術と人が協力した無駄のない仕組み作りを続けています。
6まとめ:スマートロジスティクス導入で業務効率化を図ろう
スマートロジスティクスとは、IoTやAIなどの技術を活用し、物流業務の効率化を目指す取り組みです。
システムによる自動化や省人化などによって、物流業界が抱える人手不足や小口配送増加による効率低下などの課題解決に役立てることができます。
スマートロジスティクスによって物流業務の効率化だけではなく、省人化によるコストダウンやデータ活用による人的ミスの予防などにも効果的です。
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