発注業務とは、取引先に対して商品やサービスの生産や納品を依頼する業務です。
EC通販をはじめ、小売業や卸売業などで商品の在庫管理が必要な場合は、在庫状況の把握や需要予測などを行い、適切なタイミングで適切な数量を発注することで、販売機会の損失や過剰在庫のリスクを避けることができます。
本記事では、商品の発注に関する業務フロー、効率化をするメリットやポイントまで詳しく解説します。
目次
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1発注業務とは
発注業務とは、商品やサービスの生産や納品を取引先に依頼する業務です。
商品の発注業務では、在庫状況や需要予測から必要な数量を判断し、適切なタイミングで取引先に納品を依頼します。
原材料や既製品などさまざまな種類の発注があるため、メーカーや販売会社など多くの業種で必要になります。
発注業務が適切に行われないと、機会損失や余剰在庫による経営の悪化などの恐れがあるため、発注のタイミングや数量の精度を高めることが重要です。
2発注方法による違い
発注業務における主な発注方法は、以下の4つがあげられます。
- 電話
- FAX
- メール
- WEB
電話
メリット | デメリット |
---|---|
・担当者とコミュニケーションを取りやすい ・情報をリアルタイムで確認できる |
・言い間違いや聞き間違いなどのミスが起こりやすい ・発注の記録が残らない ・電話代が発生する |
電話発注は、取引先の担当者に注文内容を直接伝えることができます。納期や金額などをリアルタイムで確認することができるうえ、必要に応じて在庫状況や需要についてもコミュニケーションを取ることが可能です。
一方で注文内容の言い間違い・担当者の聞き間違いといったヒューマンエラーが発生する場合もあるため、メールやメッセージなどで記録を残すようにしましょう。
FAX
メリット | デメリット |
---|---|
・発注の記録が残る ・自社のフォーマットで発注書を作成できる |
・回線状況によって送信できない場合がある ・送信ミスが起こりやすい ・発注書の作成や送信に手間がかかる |
FAX発注は、注文書をFAX送信して取引先に発注する方法です。自社で発注書のフォーマットを作成でき、注文内容をわかりやすく伝えることができます。また、送信記録が残るため発注管理もスムーズです。
ただし、FAX番号を間違えたり回線が混雑していると、正しく送信できない場合があります。送信完了を必ず確認し、確実に発注を完了させることが大切です。
メール
メリット | デメリット |
---|---|
・発注の記録が残る ・消耗品のコストがかからない |
・取引先が増えると管理が難しい ・セキュリティに不安がある |
メール発注は、メールを利用して取引先に発注する方法です。FAXで使用する紙やインクなどの消耗品が発生せず、パソコンとネットワーク環境があればスピーディーに発注できます。発注メールが記録で残るため、パソコン内で注文内容を管理しやすい点も特徴です。
一方で取引先が多い場合はメールが増えるため、セキュリティ面を含めメール管理には十分な注意が求められます。
WEB
メリット | デメリット |
---|---|
・受発注のシステム化により効率化できる ・発注データを管理しやすい |
・導入コストが発生する ・取引先も導入が必要になる場合がある |
WEB発注は、EDIやクラウド型の業務支援システムなどを活用して取引先に発注する方法です。EDIとは受発注をデジタル化する技術で、システム上で発注の取引をします。
クラウド型システムが発注業務に対応している場合は、パソコンやスマートフォンからの発注データ管理が可能です。業務の効率化にWEB発注は便利ですが、導入コストが発生します。EDIを利用する場合は取引先も対応している必要があります。
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3発注の業務フロー
発注業務は、一般的に以下の流れで実施します。
- 見積もり
- 発注
- 仕入れ・検品
- 受領処理
- 支払い
1. 見積もり
商品の在庫状況を確認し、必要な数量を発注した場合の見積もりを取引先に依頼します。このとき、必要に応じて納品時期や支払い条件の見直しなども交渉しましょう。
仕入れコストを抑えたい場合は複数の取引先に見積もりを依頼し、金額や納期などを比較してから最適な発注先を選びましょう。
2. 発注
見積もり内容を確認し、問題がなければ正式に発注を行います。注文書を作成し、電話やメールなどで取引先に発注しましょう。
取引先によって見積もりから発注までに期限を設けている場合があるため、期日までに発注し、発注漏れを防ぐことが大切です。
継続して発注する予定があれば、仕入れ単価や支払い条件などを定めた契約を結びましょう。その都度条件を擦り合わせる必要がなくなり、効率化できます。
3. 仕入れ・検品
注文した商品が入荷したら検品を行います。検品で問題がなければ、納品書の数量や金額が正しいかどうかを確認し、受領処理に進みます。
商品に不備があった場合はすみやかに取引先へ連絡し、交換や返品などの対応を依頼しましょう。新しい商品の手配には時間がかかるため、検品はなるべく早めに実施してタイムラグを減らすことが重要です。
4. 受領処理
納品された商品の数量や金額を確認し、問題がなければ受領書にサインして、取引先へ返送します。受領処理は納品ごとに行うケースや、1ヶ月分をまとめて行うケースがあるため、取引先が定めたルールに従いましょう。
5. 支払い
取引先で受領書が確認されると請求書が送られてきます。金額に間違いがなければ支払い手続きを行います。
受領と同様に、取引先ごとに支払い方法やタイミングが異なります。未然にトラブルを防ぐためにも、支払い処理の詳細や流れは発注時に確認するようにしましょう。
4発注業務の課題
発注業務は機会損失の防止や適正在庫の維持との関わりが深く、以下3つの課題が発生しやすい傾向にあります。
- 業務フローが複雑で手間と時間がかかる
- 連携が不十分で正確な発注ができない
- 人的なミスが起きる
業務フローが複雑で手間と時間がかかる
発注業務のフローが複雑だと、一つひとつのステップで資料やデータを確認しなければなりません。これにより正式な発注が遅くなると納期にも影響するため、結果的に機会損失を起こす可能性が高まります。
自社の業務フローが複雑なだけではなく、取引先のルールによって時間がかかってしまうケースもあります。正確かつスピーディーな発注を行うために業務フローを簡略化し、工数の削減を図りましょう。
連携が不十分で正確な発注ができない
正確な発注をするためには、発注の担当者だけではなく、原材料を把握している製造部や需要に詳しい販売部などとの情報連携が必要です。
連携が不十分だと適切な発注数量を把握できず、機会損失や過剰在庫などを引き起こすリスクが高まります。発注タイミングや数量を総合的に判断するためには、各関連部署との情報連携が重要です。
人的なミスが起きる
電話の場合は言い間違いや聞き間違い、メールやFAXの場合は記載ミスなど、人的なミスが起こる可能性は常に意識しておく必要があります。
これを防ぐためには、業務フローの見直しや受発注システムの導入などで、ヒューマンエラーが起きにくい環境を整えることが重要です。
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5発注業務を効率化するメリット
発注業務を効率化するメリットは、以下の4つがあげられます。
- スピーディーな発注ができる
- 属人化を防止できる
- 人的ミスを減らすことができる
- コア業務に注力できる
スピーディーな発注ができる
たとえば、受発注システムを導入できると、注文書の作成業務や電話も省略できるため、スピーディーな発注をすることが可能になります。効率化をすることで需要を逃さず在庫を確保できるようになるため、機会損失を逃しません。
属人化を防止できる
業務フローを見直しマニュアル化をして、経験や知識に頼らない体制を整えて業務の平準化を実現できると、誰でもミスなく適切に発注業務ができるようになります。
人的ミスを減らすことができる
システムの導入で効率化ができると、人的ミスを減らすことができます。
数量の記載ミスや発注漏れなどが発生した場合にアラートを出す機能が搭載されているシステムもあるため、ミスの発生を未然に防ぐことが可能になります。
正確な発注業務ができると、取引先との信頼関係の向上にもつながります。
コア業務に注力できる
発注業務の効率化によって、発注にかかる工数が減り人員配置を見直すこともできます。発注業務を少ない人数で運営しつつ、販売戦略や企画などのコア業務にリソースを配分しやすくなることもメリットです。
6発注業務を効率化するポイント
発注業務を効率化するためには、以下5つのポイントを実践してみましょう。
- 業務フローを見直す
- 適正在庫を計算する
- 発注タイミングを決める
- 受発注システムを導入する
- アウトソーシングを活用する
業務フローを見直す
業務ステップごとに工数や必要な人員などを把握することで、無駄や偏りを見つけることがポイントです。
たとえば、注文書の作成に時間がかかっている場合は、WEB発注の導入により業務を簡略化し、時間を短縮できます。二重発注や記載ミスなど、ヒューマンエラーが多発している場合は、業務フローそのものの改善が必要です。
適正在庫を計算する
不良在庫や余剰在庫の在庫管理コストは経営にダメージを与えるため、適正在庫を維持できるようにあらかじめ適切な在庫数を算出しておきましょう。
商品の特性や需要、販売実績などを総合的に判断し、適正在庫を把握することがポイントです。適正在庫を下回らないように発注すれば、過剰在庫を避けることができ、欠品を防ぐために必要な安全在庫も確保できます。
発注タイミングを決める
発注タイミングは、在庫が一定量を下回った時点で発注する「定量発注方式」と、在庫に関わらず設定した時期に発注する「定期発注方式」の2つがあります。
基本的には定量発注方式により在庫が一定数を下回らないようにしましょう。定期発注方式は、季節やトレンドなど需要が変動する商品との相性が良いため、商品の特性に応じて2つの発注方式を使い分けることがポイントです。
受発注システムを導入する
受発注システムの導入によって、注文から受領までのフローを効率化でき、人の手を介する業務がデジタル化できるため人的ミスの防止も可能です。
在庫管理システムや倉庫管理システム(WMS)を導入している場合は、これらのシステムと連携できる受発注システムを選びましょう。そうすることで、システム上から各種データを共有できるため、各関連部署との連携強化や、進捗状況を把握することもできるようになります。
アウトソーシングを活用する
アウトソーシングの委託先によってサービス内容は異なりますが、発注業務を代行してもらえるだけではなく、業務改善の提案や適性在庫管理の支援も受けることが可能です。
自社で適切な運用が難しい場合は、専門家に発注業務をアウトソーシングすることで、販売戦略や企画などのコア業務に専念できるメリットもあります。
7まとめ:発注業務の効率アップを実現しよう
発注業務を効率化することで、スピーディーな発注やヒューマンエラーの防止といったメリットがあります。正確な発注業務ができると、販売機会の損失や過剰在庫のリスクを防止できるだけでなく、取引先との信頼関係の向上にもつながります。
まずは、発注業務フローの見直しやシステムの導入を検討するなど、運営体制を整えることから始めてみてはいかがでしょうか。
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