コールセンターの課題は「オペレーターの人員不足」や「応対品質の低下」など、多岐に渡ります。課題をそのままにしておくと顧客満足度の低下に繋がり、コールセンターが持つ本来の役割を果たせなくなることが懸念されます。
本記事では、コールセンターが抱える7つの課題と解決策、今後の業界の動きについて解説します。コールセンターの課題を解決して、品質向上を目指しましょう。
目次
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1コールセンターの課題
コールセンターの課題は、主に次の7つが挙げられます。
- 人手不足
- 応対品質の低下
- 顧客の待ち時間
- テレワーク導入による管理の不行き届き
- 他部署との連携不足
- 対応チャネルの増加
- システムによるミスの発生
人手不足
株式会社リックテレコムが発行する「コールセンター白書2020」によると、オペレーターの離職率が30%以上と回答した企業の割合は28.8%です。平均離職率13.9%(※)と比べると、離職率の高さが窺えます。
新型コロナウイルス流行の影響による失業者が流れてきたことで、人手不足が解消されたコールセンターもありますが、離職率は依然として高く、今後も人手不足は大きな課題であるといえます。オペレーターの人手不足の原因は、次のとおりです。
人手不足の原因 | 要因 |
---|---|
業務にかかるストレスが大きい | ・クレーム対応など精神的に疲れることが多い ・入電数が多いことで仕事量が多く感じる |
キャリアチェンジをしたい | ・他にやりたい仕事がある ・貯金や資格取得など転職のための準備ができた |
今後の成長に繋がりにくい | ・スキルアップに繋がらない ・業務に将来性を感じない |
上記より、労働環境の整備や自動化ツールを取り入れるなどで「オペレーターの負担軽減」が必要であることがわかります。
(※参考:厚労省/令和3年雇用動向調査結果の概要)
応対品質の低下
オペレーターの人手不足が慢性化すると、応対品質の不均一や低下を招きます。これにより顧客満足度の低下にも繋がり、サービス・商品のブランドイメージを損ねる可能性もあります。
ブランドイメージが低下することで、新サービスや関連商品への関心が薄れ、その結果として売上に影響する可能性もあるため、オペレーター不足の解消や適切な配置をするなど、早急な応対品質改善が必要です。
顧客の待ち時間
J.D.パワー ジャパンが実施した「J.D. パワー 2022 年カスタマーセンターサポート満足度調査SM<金融業界編>」によると、コールセンターの満足度が前年度と比べて17ptも低下しています。
「オペレーターとやりとりを開始するまでに3分以上の待ち時間を要した」という回答が増加しており、原因の1つと推察できます。顧客の待ち時間と満足度の関係については、待ち時間が3分を超えると満足度が大幅に低下する傾向も明らかになっています。
3分以上待たせることのないよう、繋がりやすさや平均応答速度の改善が必要です。
テレワーク導入による管理の不行き届き
新型コロナウイルス流行の影響によってさまざまな業界でテレワークが導入されるようになり、コールセンターでもオペレーターの在宅勤務が増えてきました。
しかし、在宅勤務のオペレーターに対して管理が行き届かず、下記のような問題が生じるケースも少なくありません。
テレワーク導入による問題 | 内容 |
---|---|
セキュリティの問題 | ・顧客情報や機密情報の流出の恐れがある ・ハッキングの恐れがある |
マネジメントの問題 | ・オペレーターの様子を現場で管理できない ・労務管理が難しい |
品質管理の問題 | ・現場のサポートを受けながらの応対ができない ・自宅の通信環境によって品質が左右される |
現場なら管理できる問題がテレワークになると管理の目が行き届かず、大きな問題に発展しかねません。そのため、テレワークを採用しないコールセンターもあります。
他部署との連携不足
コールセンターは顧客と直接やりとりできるため、マーケティングや営業といった他部署へ顧客の声を届けることが可能です。コールセンターからの情報共有は、サービス・商品の改善や顧客満足度の向上へと繋がりますが、このような連携が疎かになってしまうケースも少なくありません。
連携不足によって情報更新が遅れると、マニュアルやトークスクリプトが古いまま最新にならないため、オペレーターと顧客との間でズレが生じます。
他部署との連携を深めるためには、定期的なミーティングの実施や社内報の発行など、コールセンターの情報を積極的に発信することが必要です。
対応チャネルの増加
たとえば、オペレーター不足の状態でメール・SNS・有人チャットなど、対応チャネルを増やしてしまうと、オペレーターの業務負担が更に増加してしまうという悪循環が起こります。
負担を増やさずに窓口を増やしたい場合は、自動化できるチャットボットやAIツールを検討しましょう。
システムによるミスの発生
オペレーターは顧客管理システムを使って情報の更新作業を行いますが、利用しているシステムやツールの操作性が悪いとミスも増え、さらなる負担を増やす場合もあります。
システムの機能性によって、オペレーターの業務負担やミスの発生率も左右されるため、システムの導入は慎重に行いましょう。
2コールセンターの課題を解決する方法
コールセンターの課題を解決する方法には、主に次の7つが挙げられます。
- チャネルの追加
- システムの改善
- テレワークの促進
- 呼量に応じたオペレーターの配置
- トークスクリプト・マニュアルの整備
- チャットボットの活用やAIツールの活用
- アウトソーシングの利用
チャネルの追加
コールセンターの人手不足は、チャネルの追加によって解消できる可能性があります。
<対応チャネルの利用割合>
- Webフォーム:78.4%
- 有人チャット:47.1%
- チャットボット:49.0%
- ソーシャルメディア:43.1%
- AIボイスボット:23.5%
提供している対応チャネルの中で、Webフォームが約8割ともっとも多く、有人チャットとチャットボット、ソーシャルメディアは5割に満たない状況です。多くの企業にチャネル追加の余地があることがわかります。
しかし、追加するチャネルの種類によってはオペレーターの負担が増える場合もあるため、慎重に検討しましょう。
システムの改善
オペレーターが使用している顧客管理システムを改善したり、別システムへ移行することで、業務の効率化や生産性アップが期待できるとともに、オペレーターの人手不足やシステムによるミスの発生を改善できます。
システムのアップデートだけでなく、より使いやすいシステムへの移行がオペレーターの負担を軽減します。
テレワークの促進
テレワークを促進することで、地域にこだわらず全国各地から求人を集めることができるため、オペレーター不足の解消も期待できます。
しかしテレワーク導入の裏側には、セキュリティや応対品質の低下といった別の課題も潜んでいるため、慎重に進めていきましょう。
呼量に応じたオペレーターの配置
呼量に応じてオペレーターを配置することで、顧客の待ち時間の削減が可能です。適切な配置をするためには、定期的に呼量の確認・分析が必要です。
電話の少ない時間帯は少数配置にすると、オペレーターの負担を軽減できます。適切な配置を行うことで、応対品質の低下も防ぐことができます。
トークスクリプト・マニュアルの整備
トークスクリプトやマニュアルを整備することで、応対品質の低下を防ぎます。
応対方法だけでなく、システムやツールの操作方法など、オペレーターがすぐに問題を解決できるようなマニュアルにすることがポイントです。オペレーターが自身で問題を解決できるようになると、応対品質を維持したまま均一化が可能になります。
チャットボットやAIツールの活用
チャットボットやAIツールを活用することで、顧客の待ち時間の削減やオペレーターの人手不足を解消できます。自動応対できるチャットボットやAIツールは、問い合わせを分散して呼量削減を促します。24時間対応も可能になるため、顧客満足度の向上にも貢献できるでしょう。
アウトソーシングの利用
コールセンターのプロにアウトソーシングすることで、業務の一部またはすべてを委託できるため、コールセンターの課題の多くを解決することができます。
特に小規模コールセンターやECショップでは、コールセンター業務を兼務しているケースが多いため、大幅なリソース改善に繋がります。人員不足に悩むコールセンターでは「繁忙期のみ」や「採用までの期間まで」のように、一時的に活用することも1つの手段です。
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3コールセンター業界の今後の動き
コールセンターの課題と時勢を踏まえると、今後のコールセンター業界では、次のような動きが予想されます。
- AIの台頭
- 外国語対応の需要増加
- アウトソーシングの需要増加
AIの台頭
<導入増加が予想されるAI>
- AI音声応答システム
- AI音声認識システム
- AI搭載型CRM
AIは急速に進化しており、電話に応答できるAI「ボイスボット」も誕生しました。これらの活用によって、オペレーター不足の中でも応答率や平均応答速度の向上が期待できます。
ただし、AIが誤った回答をする可能性もあるため、その際の対応方針や責任の問題があります。AIに業務を丸ごと任せられることが理想ですが、人の力も必要です。
外国語対応の需要増加
外国語対応の需要は年々増えており、今後も増加することが予想されます。特に中国語や韓国語をはじめ、タイ語やインドネシア語などのアジア圏言語の対応が求められているようです。
外国語対応ができるオペレーターの確保も必要ですが、人員不足の中では難しいことから、AIツールや翻訳ツールを使って外国語対応できる手段を増やすことが重要です。
アウトソーシングの需要増加
コールセンターのソリューション市場規模は、次のように推移すると予測されています。
<市場規模の推移>
- 2020年度:市場規模 4,191億円
- 2021年度:市場規模 4,271億円
- 2022年度(予測):市場規模 4,479億円
- 2023年度(予測):市場規模 4,524億円
- 2024年度(予測):市場規模 4,569億円
(引用:矢野経済研究所/コンタクトセンター市場調査(2022年))
市場規模は2024年度までに拡大するため、アウトソーシングの需要が高まると考えられます。
アウトソーシングの導入は、人員不足という大きな課題解消とオペレーターの業務改善を促します。ただし、アウトソーシングの導入は「自社のオペレーターが育たない」「運用ノウハウが蓄積されない」などの課題を招くため、慎重な検討が必要です。
4まとめ:コールセンターの課題解決で、品質向上を目指そう
コールセンターには人手不足や応対品質の低下など、さまざまな課題があります。自社の課題を一つひとつ解決していくことで、品質向上を目指しましょう。
しかし、課題の中には自社で解決することが難しいケースもあり、頭を悩ませている方もいるのではないでしょうか。その場合は、アウトソーシングをすることも1つの方法です。
当社では、長年の実績から培った知識とノウハウを凝縮したコールセンター代行サービスを提供しております。人員不足や品質にお悩みの際には、お気軽にご相談ください。
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