EC通販事業で成功するには、ECに特化したマーケティング戦略を立てることが大切です。消費者と直接対面できない中、いかに自社商品の魅力を伝えて、価値を提供できるかを考えることがEC通販事業者に求められています。
本記事では、ECマーケティングの特徴や課題、売上アップのための戦略や、具体的な施策を解説します。EC運営を担当される方はぜひご参考ください。
目次
ECの売上アップに繋がる「多店舗展開」、
メリットや成功の秘訣を具体例と共に解説!
1ECマーケティングとは
ECマーケティングとは、EC通販事業で売上を向上させるための施策のことです。
ECサイトの利便性や集客方法、販売方法などあらゆる観点から、施策案を考える必要があり、費用対効果を的確に見極めるためにも重要になります。
ECマーケティングとマーケティングの違い
ECマーケティングは一般的なマーケティングと異なり、オンラインのみで売上を高めるためのマーケティング施策のことを言います。
一般的なマーケティングの場合、訪問営業や実店舗の運営が主流で、消費者への対面販売が前提となっている点が特徴です。
しかし、EC通販事業者の場合、消費者と直接接触することがないオンライン上での販売のため、従来のマーケティングをEC通販事業に適用するのは難しく、EC通販に特化したマーケティング施策が必要となっています。
2ECマーケティングの特徴
ECマーケティングの特徴として、以下の3つがあります。
- オンラインで接客できる
- 全世界をターゲットにできる
- 顧客データを収集・分析できる
オンラインで接客できる
ECマーケティングは、PCやスマートフォンでECサイトにアクセスした人に対して接客することが特徴です。オフラインの場合、店舗に訪れた一人ひとりに接客する必要がありますが、ECサイトではお問い合わせがあったときのみの対応になります。
ECマーケティングでは対人接客がないため、人件費を抑えた経営を実現できるでしょう。ただし、サイトだけで商品の魅力を伝えなければならない難しさもあります。
全世界をターゲットにできる
ECマーケティングは、国内だけでなく海外もターゲットにすることが可能です。
日本では少子高齢化によって将来の人口減少が予測されており、今後売上を伸ばすためにはグローバルに対応することが求められています。その打開策として、海外に向けて販売できるEC通販事業が注目されています。
ECサイトでは、多言語や海外の通貨、決済方法に対応することで、より多くの人へアプローチすることができます。
ただし、ECマーケティングによって商圏が拡大できる分、競合他社の数が増えるため、商品を差別化して売ることが求められます。
顧客データを収集・分析できる
ECサイトでは顧客に会員登録をしてもらうことで、顧客情報を入手することが可能です。
また、ECサイトの構築方法によっては、サイト内にアクセスした人の行動履歴をはじめ、各ページのアクセス数や離脱率などの指標を把握することができます。
各指標を確認し分析と改善を繰り返すことで、顧客一人ひとりに適した商品を訴求することができるため、購入率(CVR)を高めることにつながるでしょう。
ECの売上アップに繋がる「多店舗展開」、
メリットや成功の秘訣を具体例と共に解説!
3ECマーケティングの具体的な施策
ECマーケティングでよく活用されている施策として、以下の3つを紹介します。
- 集客
- ECサイトでの購入促進
- リピーターの育成
集客
ECサイトにアクセスしてもらえるよう、自社や商品について知らない人に向けて、集客を行います。集客でよく行われる施策は、以下のとおりです。
施策 | 施策の概要 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
WEB広告 | WEBメディアやSNSなどの広告枠に出稿する | 短期間で認知度を拡大できる | 広告費が発生する |
SEO対策 | 特定のキーワードで検索結果上位になるコンテンツを制作する | 低コストで多くの流入が見込める | 成果が出るまでに時間がかかりやすい |
SNS運用 | YouTubeやTwitterなどで情報発信する | 低コストで情報を発信できる | 成果が出るまでに時間がかかりやすい |
インフルエンサーによる宣伝 | インフルエンサーのSNSで商品を紹介してもらう | 自社商品のカテゴリに特化したインフルエンサーに依頼することで、多くのファンに訴求できる | インフルエンサーのファン層を把握していないと、集客効果が小さい可能性がある |
それぞれ自社の予算や獲得したいターゲット層に合わせて、最適な集客方法を選ぶことが大切です。
ECサイトでの購入促進
集客でECサイトにアクセスした人に向けて、商品を購入してもらえる仕組みを作ることも重要です。購入途中までの工程で離脱されないよう、以下のような施策を行います。
購入促進でよく実施される施策 | 施策の概要 |
---|---|
視認性を改善する | 商品に合ったキャッチコピーやサイトデザインを考え、直観的に商品のイメージを伝えられるようなサイトにする |
操作性を改善する | 購入ボタンの位置やページの読み込み速度の向上、購入ページまでに遷移するページの数などを見直す |
対応可能な決済方法を増やす | クレジットカード決済だけでなく、銀行振込やキャリア決済、後払い決済、QR決済などにも対応できるようにする |
カスタマーサポートを充実させる | サイト利用者がわからないことがある場合に、いつでも聞くことができる体制を整備する |
口コミやレビューを掲載する | 購入した人に口コミやレビューを書いてもらい、サイト内に掲載する |
上記の施策を行うことで、ユーザーにとって魅力的なサイトになり、購入率を高めることができます。
リピーターの育成
安定した売上の獲得には、自社商品を定期的に購入してくれるリピーターを獲得する必要があります。そのため、新規顧客に再購入を促進し、リピーターを育てることが大切です。
リピーターを育成するための施策として、以下のものがあります。
リピーターを育成するための施策 | 施策の概要 |
---|---|
メールマガジンの配信 | メールマガジンを顧客の趣味や関心に合わせ、 ニーズのある情報を提供する |
LINE公式アカウントでの情報発信 | LINE公式アカウントで友達登録を流し、 クーポンやお得な情報を配信する |
チラシの同梱 | 顧客が購入した商品と一緒にチラシやサンプルを同梱して、 興味を喚起する |
ポイント制度の導入 | 会員になることで商品を購入した際にポイントがつき、 そのポイントで商品を購入できる制度を設ける |
物流品質の向上 | 欠品や誤出荷などのトラブルが起きないよう在庫管理を徹底する |
上記の施策で顧客満足度の高いサービスを提供することで、リピート率向上につなげます。
4ECマーケティングの課題
ECマーケティングでよくある課題として以下の2点があります。
- 成果が出るまでに時間がかかる
- 取得できる顧客情報が限定される場合がある
成果が出るまでに時間がかかる
EC通販事業を開始して間もない頃は自社の認知度が低いため、安定した売上を獲得するまでに時間がかかります。継続してSNSでの情報発信やSEOコンテンツの作成をして、認知度を少しずつ高めなければなりません。
WEB広告であれば短期間での集客が可能ですが、配信設定によっては多額なコストが発生するため注意しましょう。
できるだけ効率的に集客し新規顧客を獲得するには、集客ツールの分析機能を利用し、ターゲットを絞り込んでアプローチすることが大切です
取得できる顧客情報が限定される場合がある
ECサイトの種類によって取得できる顧客情報が異なり、その中でもECモールは収集できる情報が限られているため、欲しい情報を得ることが難しい場合があります。できるだけ多くの顧客情報を得たいと考えている場合は、自社ECサイトの構築を検討しましょう。
ただし、自社ECサイトの場合はさまざまな顧客情報を獲得できる一方で、マーケティングに必要な指標を選択することが難しいため、適切にデータを扱うことができる人材が必要です。
ECの売上アップに繋がる「多店舗展開」、
メリットや成功の秘訣を具体例と共に解説!
5ECマーケティングの戦略
ECマーケティングには、以下の3つの戦略があります。
- 複数のチャネルを活用する
- 競合と差別化を図る
- 複数のECモールに出店する
複数のチャネルを活用する
複数のチャネルを設け、あらゆる経路で消費者が自社サイトに流入できるようにしましょう。
検索による流入やWEB広告、SNSなどを活用し、さまざまなルートからECサイトにアクセスできる工夫を行います。
特にSNSはTwitterやInstagramなど、利用している年齢層が異なるため、複数のSNSを使って幅広いターゲット層を網羅しましょう。
競合と差別化を図る
競合と同じような商品やサービスを展開する場合、価格競争になりやすいため、利益率を維持するためにも差別化を図ることが大切です。
商圏が世界全体であるため、唯一無二の商品を一から開発するのは難しいですが、自社商品にブランドストーリーやコンセプトを加えることで、オリジナリティを出すことができます。
商品そのものだけでなく、購入時のラッピングや購入後のサポートなどでも付加価値を作り出せるため、さまざまな工夫をして自社にしかない商品を提供できるようにしましょう。
複数のECモールに出店する
消費者によって利用するECモールが異なるため、ECモールも複数活用することも検討しましょう。Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなど、国内でよく利用されているECモールで出店することによって、多くの消費者をターゲットにすることができます。
また、海外への販売も検討している方は、ターゲット地域でよく利用されているECモールも利用しましょう。ただし、出店したいECサイトに競合がいる場合、価格競争に追われることがあるため注意が必要です。
6ECマーケティングで戦略を立てるポイント
ECマーケティングで戦略を立てるポイントとして、以下の4つがあります。
- 市場調査と競合分析を行う
- KGIとKPIを設定する
- 4P分析を活用する
- 定期的にPDCAサイクルを回す
市場調査と競合分析を行う
ECサイトで商品を販売する前に、自社商品が売れるのか確かめるためにも、市場調査と競合分析は必ず実施しましょう。
市場調査では、公的機関の公式サイトやプレスリリースなどで掲載されている一次情報をもとに、自社商品のニーズや将来性があるかを調査します。
また、自社の強みと弱み、競合や社会情勢による影響を俯瞰的に把握できるSWOT分析は、自社商品が優位な点を見出すことができるため、マーケティング施策に有効です。
KGIとKPIを設定する
最終的に達成したい目標であるKGI(重要目標達成指標)と、KGIを達成するために途中で達成すべき指標であるKPI(重要業績評価指標)を設定しましょう。
ECマーケティングでは主に、以下のような指標をKGIやKPIにして、施策を考えます。
設定する指標 | 指標の具体例 |
---|---|
KGI | ・売上 ・営業利益 |
KPI | ・購入率 ・サイトのアクセス数 ・購入ページのクリック率 ・CPA(1コンバージョンあたりに発生した費用) ・ページのスクロール率 |
上記のように数値化および計測が可能な指標を設定し、EC通販事業の成果を客観的に把握できるようにしましょう。
4P分析を活用する
4P分析は、以下の4つの観点から販売戦略を考えるマーケティングのフレームワークです。
4P分析の要素 | 概要 |
---|---|
Product(製品) | 自社製品において消費者に提供できる価値を具体的に考える |
Price(価格) | 自社商品の価値がどのくらいの金額に換算されるかを明確にする |
Place(流通) | 消費者に商品が届くまでの流れや販売チャネルを決める |
Promotion(宣伝) | ECサイトへ誘導するための集客方法や宣伝に活用するクリエイティブの内容を決める |
各要素に落とし込むことによって、ECサイトで売上を獲得するために必要な施策を具体化することができます。
定期的にPDCAサイクルを回す
安定した収益を得るには、定期的にサイトや商品・サービスを確認し、状況に応じて改善しましょう。ECサイトの場合、消費者の行動履歴や設定したKPIを確認し、成果の低いページや商品を探します。原因を解析したあとは改善を実行し、成果が上がったかを確認しましょう。
また、商品やサービスの改善点を探す場合は、消費者の口コミやレビューでリアルな声を聞くことも重要です。
7まとめ:ECマーケティングを成功させて売上を高めよう
ECマーケティングでは、集客や購入促進、リピーターの獲得などさまざまな施策を行う必要があります。自社の予算や目的に合わせて最適なKPIやKGIを設定し、目標を達成できるようにマーケティング戦略を立てましょう。
ECの売上アップに繋がる「多店舗展開」、
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