CPM分析とは、取引実績のある顧客を属性ごとに分類し、購入頻度や金額が高い優良顧客を育成(ナーチャリング)していくための分析手法です。
このCPM分析により、各顧客グループの全体に占める割合や特徴を把握し、ぞれぞれのグループごとに適切なマーケティング施策を実施することができるため、主にリピーターを増やしたい場合に活用されています。
本記事では、CPM分析の目的や具体的な手法、分析時のポイントについて解説します。
リピーターを増やして自社のファンを増やしたいとお考えの際は、ぜひご参考ください。
目次
ECの売上アップに繋がる「多店舗展開」、
メリットや成功の秘訣を具体例と共に解説!
1CPM分析とは
CPM分析とは、Customer Portfolio Management(カスタマー・ポートフォリオ・マネジメント)の略で、購入金額や期間によって顧客を10のグループに分類する顧客分析手法です。
顧客を分類する際の主な指標は、次の通りです。
- 累計購入金額
- 在籍期間(初回購入から現在までの期間)
- 離脱期間(離脱してから現在までの期間)
まだ一度しかサービス・商品を購入したことのない顧客から、何年間にもわたり長期に愛用している顧客までの幅広い顧客層を、CPM分析により分類することで、それぞれの層に適したマーケティング施策を実施することができます。
CPM分析の目的
CPM分析の目的は、自社商品のリピーターや優良顧客を育成するために効果的なマーケティング施策を実施することです。
たとえば、顧客全員に10%割引クーポンを配布するのではなく、新規顧客には2回目の購入を促すような施策を行い、自社のファンになっているような優良顧客には特別な特典を付けて新規顧客と差別化するなどの施策が該当します。
「全体の数字(売上など)の8割は、2割の要素(顧客)から生み出される」というパレートの法則に鑑みると、新規顧客よりもリピーター・優良顧客の方が売上への貢献度が高いケースが多いと考えられ、優良顧客育成の重要性がわかります。そのため、EC通販事業ではCPM分析などを用いた顧客育成施策がとられているのです。
RFM分析との違い
CPM分析に似た顧客分析手法として、RFM分析があります。
RFM分析とは「最終購入日」「購入頻度」「購入金額」の3つの指標で顧客をグループ化する手法で、購買行動にフォーカスしている点ではCPM分析と同様です。
しかし、RFM分析が現時点でロイヤリティの高い顧客層を分析する手法であるのに対し、CPM分析は在籍期間・離脱期間も含めた長期的な視点で顧客を評価する手法です。
なお、CPM分析とRFM分析のメリット・デメリットは下記の通りです。
分析手法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
CPM分析 | 長期的に売上に貢献する優良顧客を 分析できる |
長期間にわたり購買行動データの蓄積が必要 |
RFM分析 | 現時点での自社顧客を分析できる | 分析のタイミングによって結果が変わる |
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2CPM分析の方法
CPM分析では、顧客を10のグループに分類します。
まず、購入金額や購入頻度、在籍期間に応じて顧客を以下の5グループに分けます。
- 初回客
- よちよち客
- コツコツ客
- 流行客
- 優良客
さらに、これを「現役」か「離脱」かという軸で顧客を二分することで、自社の顧客を10のグループに分けることが可能です。
CPM分析で用いる10の顧客分類
CPM分析で用いる10の顧客分類についての詳細は、下表の通りです。
分類 | 現役顧客 | 離脱顧客 |
---|---|---|
初回客 | 1回購入している顧客 | 1回購入後に離脱した顧客 |
よちよち客 | リピート購入顧客で、利用期間が短い顧客 | リピート購入後に短期間で離脱した顧客 |
コツコツ客 | リピーターで利用期間が長い一方で購入金額が小さい顧客 | 長期的に少額購入していたが離脱した顧客 |
流行客 | 一定期間に購入金額が大きかった顧客 | 一時的に高額で購入していたが離脱した顧客 |
優良客 | 利用期間が長く、かつ購入金額が大きい顧客 | 長期的に高額で購入していたが離脱した顧客 |
3CPM分析のポイント
CPM分析を行う際のポイントは下記の3点です。
- 目的を明確にする
- 目的に合わせた分析手法を選ぶ
- 継続的に分析を行う
目的を明確にする
CPM分析などの顧客分析を行う場合は、目的が決まらないと分析手法も定まらないため、以下のように事前に目的を明確にすることがポイントです。
- 現状の顧客層に対する解像度を上げるため
- 新しい施策を打ち出す際のターゲット層を見極めるため
- マーケティング施策の結果を評価するため
目的に合わせた分析手法を選ぶ
目的に合わせた分析手法を選ぶことも、(CPM分析を含め)効果的な分析には重要です。
たとえば、自社顧客の特徴・優良顧客の割合を知るためであれば、購買行動データをもとにCPM分析などを行うことが有効です。一方で、新規顧客獲得に向けた施策を実施したい場合は、自社の顧客情報だけでなく、競合他社・市場全体の分析も必要となり、その場合はセグメンテーション分析が用いられます。
継続的に分析を行う
CPM分析などの顧客分析は一度行うだけでは現時点での結果しかわからず、顧客の全体像を把握することは難しくなります。
そのため継続的にCPM分析をすることで、購買行動がどのように変化していくのかといった長期的な分析や、季節トレンドやマーケティング施策前後の顧客の反応を定量的に把握することも可能になります。
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4CPM分析を活用する方法
CPM分析を活用する方法は、以下の3つです。
- 離脱客に対してメルマガを配信する
- クロスセル・アップセルの動線を見直す
- CRMシステムを導入する
離脱客に対してメルマガを配信する
CPM分析で初回離脱が多いことが判明した場合は、顧客とのコミュニケーションを増やして離脱を防止するため、メルマガ配信の施策が有効です。ここで割引クーポンやお得な情報を配信することで、リピート購入のハードルを下げる効果もあります。
また、アンケートで離脱の主な原因を把握できれば、離脱しそうな顧客に対して効果的なフォローをすることもできます。
クロスセル・アップセルの動線を見直す
CPM分析の結果、コツコツ顧客(リピーターで利用期間は長いが、購入金額が小さい顧客)が多く、累計購入金額が大きい優良顧客が育っていないことが判明した場合は、クロスセル・アップセルの動線を見直す施策が有効です。
利用期間が長く、企業に対して良い印象を持っているコツコツ顧客に対して、自社商品の魅力を別の観点から訴求したり、購入に至っていない商品を併せて紹介することで、よりクロスセル・アップセル提案が機能する可能性があります。
CRMシステムを導入する
CRMシステムとは、Customer Relationship Management(顧客管理システム)の略で、顧客の属性データや購買データ、取引状況などを一元管理するためのツールです。顧客情報を一元管理することで、営業活動がスムーズにできるだけでなく、長期的な顧客育成にも役立ちます。
CRMシステムでは顧客のあらゆる情報(購入履歴、在籍期間など)を確認することができ、直近で購買行動がない顧客に対して、3ヶ月おきにメルマガを自動配信したり、購入後のサンキューメール・ステップメールの自動送信もできるなど、顧客一人ひとりにきめ細かなフォローを行うことが可能です。
5まとめ:CPM分析を行い最適なマーケティングを実現しよう
CPM分析とは、顧客グループの分類を通じて自社の顧客をより深く理解し、最適なマーケティングを実現するために有効な分析手法です。また、継続的にCPM分析を行うことで、顧客心理や季節トレンドを把握しやすくなります。
しかし、CPM分析には時間を要するため、分析の成果がなかなか出ない場合もあるでしょう。ですが「顧客を育成(ナーチャリング)」することで、リピート購入や再購入につながり離脱客を呼び戻すことも可能です。焦らずにじっくり取り組んでいきましょう。
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