固定ロケーションとは、商品ごとに保管場所を固定で設定する在庫管理方法の1つです。
運用において、管理システムの導入が必ずしも必要ではないことも特徴です。しかし、商品の特性によって向き不向きがあるため、適切な導入ができないと反対に効率低下のリスクがあります。
本記事では、固定ロケーションのメリットや、フリーロケーションとの違いについて紹介します。管理する際のポイントも紹介しますので、ぜひご参考ください。
目次
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1固定ロケーションとは
固定ロケーションとは、商品と保管場所を紐づけて管理するロケーション管理の手法です。
決められた場所に保管するため、スタッフが保管場所を覚えることで、スムーズな入出庫作業が可能です。
固定ロケーション以外の管理方法に、フリーロケーションとダブルトランザクションがあり、それぞれの違いは以下の通りです。
ロケーション | 管理方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
固定 ロケーション |
商品ごとの保管場所を固定して管理する方法 | ・ピッキング効率が高い ・欠品のリスクが低い |
・保管効率が低い ・棚割りに時間がかかる |
フリー ロケーション |
空いているスペースに随時入庫して商品を管理する方法 | ・保管効率が高い ・棚割りが不要になる |
・実在庫の確認が難しい ・ピッキング効率が低下する可能性がある |
ダブル トランザクション |
ピッキングエリアと ストックエリアに分けて商品を管理する方法 |
保管効率とピッキングの 効率が向上する |
ストックエリアからピッキングエリアに商品を移動させる作業が発生する |
フリーロケーションとの違い
フリーロケーションは、入庫時点で空いているロケーションに商品を保管する管理方法です。商品や棚にバーコードを貼り、バーコードを読み取る機器(ハンディターミナル)を用いて、どの商品をどの棚に保管したのかを記録していきます。
固定ロケーションとは異なり、空きスペースを自由に活用できるため、保管効率を向上させることが可能です。ただし、同じ商品が複数の保管場所に点在することになるため、実在庫の把握が難しいというデメリットがあります。
ダブルトランザクションとの違い
ダブルトランザクションは、固定ロケーションとフリーロケーションを合わせた管理方法で、ピッキングエリアとストックエリアに分けてロケーション管理を行います。ピッキングエリアは商品を出荷するためのスペースで、ストックエリアは商品を保管するためのスペースです。
ダブルトランザクションは2つの管理方法を合わせたことにより、ピッキング効率と保管効率を同時に向上させることが可能です。一方で、ピッキングエリアに商品がなくなった場合、ストックエリアから商品を補充する作業が必要になります。
2固定ロケーションの番号の付け方
固定ロケーションでは、保管場所に番号を付けて管理することが一般的です。
主に、以下のような番号を割り振ります。
- 倉庫
- フロア
- 棚の列
- 棚の連
- 棚の段
たとえば
「Bの倉庫の2階にある、D列5連目の3段」
に商品がある場合、「B2のD-5-3」
と表すことができます。
倉庫や棚に番号を振ることで、スタッフ全員が商品の保管場所を把握できるようになり、属人化の解消につながります。
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3固定ロケーションのメリット
固定ロケーションのメリットとして、以下の3つがあります。
- 保管場所を覚えやすい
- 在庫数を把握しやすい
- システム導入は必須ではない
保管場所を覚えやすい
商品の保管場所が決まっているため、どの商品がどこにあるかを把握しやすくなります。場所さえ覚えることができれば、スタッフは商品の保管場所まで最短距離で移動し、作業をスムーズに行うことが可能になります。
新人のスタッフでも保管場所を覚えることができれば、比較的スムーズに作業することが可能になるため、熟練度に関わらず、作業品質を統一することが可能です。
在庫数を把握しやすい
保管場所が固定されていることで、在庫数を把握しやすい点がメリットです。
フリーロケーションの場合は、保管場所が点在することもあるため、実在庫数の把握が難しく、欠品や余剰在庫のリスクも高まります。一方、固定ロケーションは、商品の実在庫数もすぐに把握できるため、在庫リスクを防ぐことが可能です。
システム導入は必須ではない
固定ロケーションはフリーロケーションとは異なり、在庫管理システムや倉庫管理システムの導入がなくても運用が可能です。
固定ロケーションでは、エクセルシート上での記録・管理する方法でも運用できるため、システム導入にかかる工数やコストの負担を抑えることが可能です。ただし、入力ミスや入力漏れ、データ紛失などの人為的な問題が発生する可能性があるため、正確な在庫管理を行うためにはシステムの導入が望ましいといえます。
4固定ロケーションのデメリット
固定ロケーションのデメリットとして、以下の2つがあります。
- 保管効率が下がる場合がある
- 定期的に棚割りが必要で、手間がかかる
保管効率が下がる場合がある
保管場所が決まっており、その他の空きスペースがあっても入庫しないため、保管効率が下がる可能性があります。適正在庫が少ない商品だと保管スペースがムダになるケースがあるため、保管スペースを決める棚割りをする際は注意が必要です。
また、新商品の入荷の際に、事前に保管場所を決めておかないと、現場が混乱するトラブルも発生します。その他にも、在庫が増えてしまい、決められた保管場所に置けなくなった際に、新しい保管場所を確保する必要があるため、管理業務の手間もかかります。
定期的に棚割りが必要で、手間がかかる
固定ロケーションでは、需要の変化や新商品の入荷に伴い、定期的に棚割りの変更が必要です。特に、季節商品やトレンド商品の場合は、頻繁に見直さなければならないため、在庫管理に携わるスタッフの業務負担が増える可能性があります。
また、保管レイアウトが変わることで、スタッフは保管場所を覚え直す必要があるため、一時的に作業効率が低下するケースも少なくありません。一方、棚割りによって出荷頻度の多い商品の保管場所を入口近くに配置するなどの改善もできるため、手間はかかりますが棚割りは重要な作業です。
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5固定ロケーションの活用シーン
固定ロケーションは保管場所が固定されていることから、以下のようなケースに適しています。
- 年間を通して需要があり、急な在庫変動が少ない商品の場合
- 定番商品を多く扱っており、新商品の追加が少ない場合
- 取り扱う商品のSKU数が少ない場合
反対に、以下のようなケースは固定ロケーションに適していないため、その他の管理方法を検討しましょう。
- 季節商品を多く取り扱う場合
- トレンドの変化が激しい商品を取り扱う場合
- 出荷量の少ない商品を取り扱う場合
自社商品の特徴から、固定ロケーションが適しているかどうかを見極めましょう。
6固定ロケーションで管理する際のポイント
固定ロケーションで管理する際のポイントとして、以下の3つがあります。
- ABC分析を定期的に実施する
- ダブルトランザクションを導入する
- WMS(倉庫管理システム)を導入する
ABC分析を定期的に実施する
ABC分析は、出荷数や売上高などの指標から重要視している指標を選び、A・B・Cにランク付けして商品を管理するフレームワークで、ランクが高い商品がAに分類されます。
ABC分析によって、商品の優先度や重要度を見極めることができるため、棚割りの変更時に役立ち、ピッキング効率の改善や最適な保管スペースの確保ができるようになります。
分析の際は、出荷数の多い順に商品を並べて、それぞれ累積構成比を求めましょう。累積構成比に基づいて、AからCの3ランクに分類し、重要度の高い商品を決めます。
Aに分類された商品を倉庫の手前に、その他を奥に配置することで、出荷頻度の高い商品の入出荷作業を効率化できるため、棚割りの際に実施できると良いでしょう。
ダブルトランザクションを導入する
固定ロケーションで発生する「新商品の保管スペースがない」「入荷が増えすぎて決まった場所に保管できない」という課題には、ダブルトランザクションの導入で解決するのが1つの方法です。
ダブルトランザクションは、ピッキングエリアとストックエリアの2つのエリアで商品を管理します。ピッキングエリアは作業効率を上げるため、ストックエリアは保管効率を上げるためのエリアで、それぞれの目的に合ったレイアウトを設定できます。
WMS(倉庫管理システム)の導入は必須になりますが、スペースの有効活用とリードタイムの短縮を同時に実現したい場合は、ダブルトランザクションが適しています。
WMS(倉庫管理システム)を導入する
WMS(倉庫管理システム)は、倉庫内の業務を効率化するためのシステムで、商品の入出荷や在庫に関する情報を一元管理し、商品情報を正確に把握することができるシステムです。
商品と棚の情報が記録されたバーコードを、ハンディターミナルで読み取ることで、商品の所在地をシステムへ自動登録し、登録した情報を呼び出すことも可能です。
また、帳票や請求書発行もできるため、書類作成の手間も省けます。上述したエクセル管理による入力ミスや漏れを減らすこともできるため、ヒューマンエラー防止策としても有効です。
7まとめ:固定ロケーションでピッキング効率を高めよう
固定ロケーションの導入で商品の保管場所が明確になり、ピッキング効率も向上します。ABC分析の実施やWMSの導入によって、作業効率をより高めることができるため、試してみてはいかたでしょうか。
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