クロスセルとは、商品の購入を検討している顧客に対し、関連商品を提案して顧客単価を上げるセールス手法です。クロスセルを行うことで、顧客単価やLTVが向上し、単体では販売が難しい商品が訴求しやすいという特徴もあります。
本記事では、クロスセルの概要やアップセルとの違い、行う手順などを紹介します。商品販売の担当者の方は、ぜひご参考ください。
目次
ECの売上アップに繋がる「多店舗展開」、
メリットや成功の秘訣を具体例と共に解説!
1クロスセルとは
クロスセルとは、ある商品の購入を検討している顧客に対し、関連商品を購入してもらうためのセールス手法です。たとえば、スマホの購入を検討している顧客には、スマホケースや画面保護シールなどの関連商品を提案します。
ECサイトでは、商品の決済時に
「他の人はこの商品も購入しています」
というように関連商品をおすすめします。
このように、購入予定の商品に付随した関連商品を提案し、セット販売のような形で顧客単価を上げる方法です。
アップセルとの違い
アップセルは、顧客が購入を検討している商品よりも上位の商品を提案する手法です。クロスセルとアップセルの提案内容の違いは、以下の通りです。
- クロスセル:関連商品のセット販売
- アップセル:グレードの高い商品の販売
このように、アップセルでは1つの商品をアップグレードして顧客単価を上げるのに対し、クロスセルでは複数商品を販売して単価を上げるという違いがあります。
2クロスセルのメリット
クロスセルのメリットには、以下の3つがあげられます。
- 顧客単価が向上する
- LTV(生涯顧客単価)が向上する
- 単体だと販売が難しい商品の訴求ができる
顧客単価が向上する
クロスセルは関連商品をセットで購入してもらう手法なので、顧客単価を上げることが可能です。複数商品の購入によって、顧客単価が上がれば売上の向上も期待できます。
また、クロスセルは商品の購入を検討中の顧客に対して行う手法であり、コストをかけずにできるため利益率も向上しやすいメリットもあります。新規顧客の獲得に苦戦している場合は、まずは既存顧客に向けたクロスセルで顧客単価の向上を目指してみましょう。
LTV(生涯顧客単価)が向上する
LTV(生涯顧客単価)とは、1人の顧客が取引を始めてから終わるまでにもたらす損益を累計した指標です。
まず、購入予定だった商品に対して、適した関連商品を提案できると、顧客側は商品やサービスの良さを実感できるため、顧客ロイヤリティが高まります。その結果、リピート率やLTV(生涯顧客単価)の向上が期待でき、中長期的な利益も見込めます。
単体だと販売が難しい商品の訴求ができる
クロスセルでは、関連商品の提案によって単体では販売が難しい商品を売ることが可能です。たとえば、ネクタイ単体では売れなくても、ワイシャツの関連商品としてネクタイを提案すると売れる可能性が高まります。
そのため、商品によっては単体での販売ではなく、関連商品としての訴求に力を入れるなどの工夫を行うことで利益の向上を狙えます。
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3クロスセルを行う際の注意点
クロスセルを行う際の注意点は、以下の2点です。
- 強く提案しない
- 購入後のサポートも行う
強く提案しない
クロスセルで関連商品を強く提案しすぎると、不信感や不快感を与えてしまい、顧客離れが起きてしまう可能性があります。購入予定のない商品を提案しているため、顧客のニーズに適していなければ押し売りだと感じる恐れがあります。
また、的外れな商品を提案してしまうと顧客の不満に繋がるため注意が必要です。クロスセルを行う際には、顧客のニーズに適しているかを検討してから提案する姿勢が大切です。
購入後のサポートも行う
クロスセルでは、売って終わりにならないように、アフターフォローが丁寧にできると顧客満足度を高めることができるため、リピート率の向上にも期待できます。カスタマーサポートの体制は必ず充実させておきましょう。
4クロスセルを行う際のポイント
クロスセルを行う際のポイントは、以下の3点です。
- 適切なタイミングで提案する
- 顧客に合わせた適切な商品を提案する
- お得感を感じる価格を提案する
適切なタイミングで提案する
クロスセルは適切なタイミングで行わないと、成功率が下がる可能性があります。購入を決めた直後がクロスセルには適切なタイミングであり、購入へのハードルが一番低い状態です。
しかし、タイミングを逃してしまうと、魅力的な提案であっても購入に悩いが生じる可能性があるため「商品の購入を決めた顧客」に対して、関連商品を提案することが重要です。
顧客に合わせた適切な商品を提案する
顧客のニーズに適した商品を提案する必要があります。そのためには顧客が購入を決めた商品を把握するだけでなく、購入履歴や閲覧履歴などから提案する商品を判断することで、成功率を向上させることが可能です。
たとえば、「家電」を買った方に対して「食品」を提案しても効果を得られにくいですが、「テレビ」を買った方に対して「テレビ台」を提案すると購入される可能性が高くなります。
お得感を感じる価格を提案する
クロスセルを行う際は、お得に感じる価格設定にすると成功率が高まります。たとえば「対象商品2つ以上の購入で10%引き」と訴求し、関連商品を提案する方法があります。
ニーズに合った商品が提案されると、「必要そうだし割引でお得だから買おう」と判断され、セットで購入してもらうことが可能です。ただし、価格設定を安くしすぎてしまうと利益が少なくなるため慎重に判断しましょう。
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5クロスセルの成功事例
クロスセルの主な活用事例を見ていきましょう。
- Amazon
- Salesforce
- マクドナルド
Amazon
Amazonで行っているクロスセルは、商品の説明画面や購入画面で、
「よく一緒に購入される商品」「関連する商品」を紹介する方法です。
関連商品の紹介は押し売りにならないようにページ下部に表示する工夫もされており、顧客に配慮しつつ提案を行っています。クロスセルだけでなく、価格帯が異なる類似商品も提案することでアップセルも行っています。
Salesforce
SalesforceはCRMツールに加え、営業活動を手助けするためのプロダクトとしてSFAやMAツールも提供しています。CRMは顧客管理に使用するツールですが、顧客との適切なコミュニケーションを通じて売上を最大化することが目的です。
そのため、目的が共通しているSFAやMAツールを利用すると、マーケティング活動が最適化できるため、CRMツールとともに利用される確率を高めることができます。
マクドナルド
マクドナルドでは、単品で商品を購入する方に対して追加購入を促す形でクロスセルを行っています。追加購入を促すことにより、顧客数が増えずとも売上を伸ばしています。
商品の追加提案だけでなく、セットメニューを充実させていることもマクドナルドが行っているクロスセルの1つです。ポテトとドリンクがセットになったメニューがあることで単品購入よりも割安になるため、ハンバーガーの単品購入を考えている顧客にもお得感を与えて、顧客単価を上げることができます。
6クロスセルを行う手順
クロスセルを行う手順は、以下の通りです。
- 顧客の状況を分析する
- 戦略を設計する
- 戦略をもとに提案を行う
- 効果検証を行う
顧客の状況を分析する
最初に行うべきは、クロスセルを行う対象を精査することです。
顧客の購買履歴や購買頻度などから、ターゲットを絞る必要があります。ターゲットを絞ったあとは、以下のようなLWP分析やRFM分析などを用いて顧客の分析をします。
分析手段 | 分析方法 | 得られる情報 |
---|---|---|
LWP分析 | List(顧客リスト)、What(行動内容)、Pace(行動頻度) の観点から、クロスセルを行う顧客を抽出する方法 |
優先すべき顧客が可視化される |
RFM分析 | Recency(直近の購入日)、Frequency(来店頻度)、Monetary(購入金額)の3つの指標で、顧客をグループにランク分けして分析する方法 | 顧客ニーズや購入タイミングなどが可視化される |
戦略を設計する
顧客情報を分析して把握できた内容から、顧客に対して「どの商品をどのように提案するか」といった戦略設計が重要です。提案する商品やタイミングは顧客が購入するか否かに直結するため、慎重に検討する必要があります。
具体的には、以下のポイントを考慮したアクションが必要です。
- 頻度
- タイミング
- 期間
- 商品の種類
- 商品の価格
戦略をもとに提案を行う
顧客リストを明確にして戦略を設計したら、ターゲットに対して提案を行います。顧客離れを防ぐためにメリットを必ず伝え、顧客目線に立った提案が必要です。設計した戦略通り、適切なタイミングと関連商品の提案ができると、購入率を高めることが可能になります。
効果検証を行う
提案を行ったら終わりではなく、効果検証を行う必要があります。設計した戦略の中で良い点と悪い点を洗い出し、改善をします。
検証により発覚した改善内容によっては、顧客分析や戦略の設計から見直すことで状況を改善することが可能です。提案後の効果検証を何度も行うことで、より最適なクロスセルが行えるようになり、売上の向上が期待できます。
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7まとめ:クロスセルを活用して売上アップを目指そう
クロスセルとは、購入を検討中の顧客に対して、購入予定商品の関連商品を提案することで顧客単価を上げるセールス手法です。提案するタイミングが重要であり、顧客が購入を決めた直後に行うと成功率が高まります。
クロスセルを行うことで、顧客単価やLTVの向上だけでなく、単体の販売が難しい商品を訴求することも可能です。しかし、的外れな提案をしてしまうと顧客離れに繋がる恐れがあるため、戦略の設計や効果検証はしっかりと実施しましょう。
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