直接肌につける化粧品は、品質管理がとても重要です。
また、多くの化粧品や原材料には使用期限があるため、徹底した在庫管理を行う必要があります。適切な在庫管理ができると品質の担保だけでなく、在庫状況をリアルタイムで管理できるため、過剰在庫や欠品を防ぐことも可能になります。
本記事では、化粧品の在庫管理方法や重要性、在庫管理システムのメリットやデメリットを紹介します。在庫管理に課題をお持ちの担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
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1化粧品の在庫管理が重要な理由
化粧品は直接肌につけて使用する商品のため、品質管理は大変重要です。化粧品の多くは使用期限が定められているため、期限管理も必要になります。
また、化粧品の製造に用いられるさまざまな原材料にも、それぞれの使用期限が定められているため、保管現場だけでなく製造現場においても管理を行う必要があります。
2化粧品の在庫管理方法
化粧品の在庫を管理する方法には、以下の4つがあります。
- 先入れ先出し
- 使用期限を管理する
- 種類別に管理する
- トレーサビリティを徹底する
先入れ先出し
先入れ先出しとは、倉庫に保管されている商品を古いものから順番に出荷し、保管する期間をできるだけ短期間に抑えて、商品が劣化しないようにする管理方法です。
一般的に化粧品には使用期限が定められており、一定期間を超えて保管していると出荷できなくなるため、先入れ先出しを徹底して入荷から出荷の期間を一定に保つことで、期限切れによる廃棄を最小限に抑えることができます。
使用期限を管理する
化粧品には使用期限が設けられているため、商品の製造日管理を怠ると、使用期限切れによる廃棄の可能性も高まります。
在庫管理システムを活用して管理することで、商品の日付管理ができるため、新しい商品から出荷してしまう、使用期限切れの商品を誤って出荷してしまう、といったミスを防ぐことが可能です。
種類別に管理する
化粧品は1つ1つの商品サイズが小さく、見た目の判別が難しい色違いの商品や素材違いの商品があります。管理が煩雑になると、注文とは異なる商品を出荷してしまう可能性も高まります。誤出荷を発生させないためにも、種類別・使用期限別に管理をすることが重要です。
トレーサビリティを徹底する
化粧品は品質管理が徹底できるトレーサビリティの対応が必要です。
トレーサビリティとは、商品の原材料から、生産・加工されて消費・廃棄されるまでを追跡できるように記録を残して管理することをいいます。直接肌に触れる繊細な商品だからこそ、トレーサビリティを徹底することが顧客の安心に繋がります。
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3化粧品の在庫管理における課題
化粧品の在庫管理における課題には、以下の4点があります。
- 商品の種類が多く管理が難しい
- 在庫状況の把握が難しい
- 使用期限の管理が難しい
- トレーサビリティの対応が難しい
商品の種類が多く管理が難しい
化粧品の製造工程には、原材料・中間品・製品・資材など管理する種類が多いため、管理が難しいという課題があります。1つの商品に対して数十種類の原材料が使われることも多く、膨大な種類の原材料を管理し保管することが必要です。
また、流通倉庫においても化粧品は種類が多いことに加えて、外装だけでは色の識別が難しい場合もあるため管理が難しくなります。在庫の種類が多いことで、どの種類がどれくらい保管されているのか把握することが難しいといった課題もあります。
企業によっては一部の担当者しか把握しておらず、属人的な管理になっていることも少なくありません。商品の種類が多いからこそ、誰でも把握できるような管理体制を構築することが重要です。
在庫状況の把握が難しい
化粧品は小さいサイズの商品が多いことに加え、1度に大量出荷されることが多いため、サイズが大きく少量出荷される商品と比較すると、在庫管理が煩雑になりやすい傾向にあります。
そのため、エクセルや紙などでアナログな在庫管理をしていると、在庫状況の把握をリアルタイムに行うことが難しくなります。また、記入漏れや確認漏れなどの人的ミスが発生すると、誤った在庫情報となり誤発注にもつながります。
使用期限の管理が難しい
化粧品の原材料には使用期限が定められているため、廃棄とならないように徹底した管理が必要です。目視で管理をしていると、期限切れの商品を見落として誤って出荷してしまうリスクも高まります。そうすると、商品の回収作業が必要になるため人的コストや配送コストが発生するだけではなく、消費者や取引先からの信用も失いかねません。
使用期限を適切に管理するためには、入庫日や製造日を正しく記録し、先入れ先出しなどの徹底管理を行うことが重要です。
トレーサビリティの対応が難しい
肌に直接つけて使用する化粧品は厳しい品質管理が求められます。
実際に品質管理基準として厳格に管理する方法が規定されており、化粧品製造企業は下記の管理基準に従い、管理体制を構築する必要があります。
- ISO9001(品質マネジメントシステム)
- ISO22716(化粧品GMP)
- GQP(Good Quality Practice)省令
- GVP(Good Vigilance Practice)省令
不具合が起きた際に備えてトレーサビリティへの対応は必要ですが、管理は簡単ではありません。トレーサビリティへの対応には、原材料から中間品、製品に至る全ての工程において正確なロット管理が必要であり、漏れなく記録する必要があります。
また、管理するだけでなくトレースできるように整理しておく必要があるため、トレーサビリティへの対応は難易度の高い管理業務です。アナログによるトレーサビリティはミス発生の可能性が高まるため、システムを用いることをおすすめします。
4化粧品の在庫管理にシステムを用いるメリット
化粧品の在庫管理にシステムを用いるメリットには、以下の3点があります。
- 在庫状況をリアルタイムに把握できる
- 過剰在庫や欠品を削減できる
- 徹底した品質管理ができる
在庫状況をリアルタイムに把握できる
在庫管理システムを導入することで、種類が多く管理が煩雑になりやすい化粧品の在庫状況をリアルタイムに把握できるようになります。商品が入荷してから出荷するまでの全行程において、どこに・どの商品が・いくつ保管されているかをデータ上で管理することができます。
同じ商品でも製造日単位に分けるロット管理、保管場所に番号を割り振り在庫管理をするロケーション管理を用いると、より正確な把握が可能です。
過剰在庫や欠品を削減できる
在庫管理システムを導入し、リアルタイムで在庫状況を把握できるようになると、過剰在庫や欠品を防ぐこともできます。
在庫管理システムの中には、発注点の管理ができる機能もあるため、発注タイミングや発注量の管理も容易になります。そのため、過剰在庫や欠品の課題だけでなく、発注業務が属人的になっている課題の解決にもつながります。
徹底した品質管理ができる
在庫管理システムを導入することで、化粧品の使用期限も容易に管理できるようになり、品質管理がより徹底できるようになります。また、いつ・どこで製造された商品なのかを管理することで、トレーサビリティへの対応ができ、商品に不具合が発生した際にも迅速な対応が可能です。
使用期限を過ぎてしまった商品は廃棄しなければならず、本来不要なコストまで発生してしまうため、品質管理は利益を生み出す面としても重要といえます。
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5化粧品の在庫管理にシステムを用いるデメリット
化粧品の在庫管理にシステムを用いる際のデメリットには、以下の2つがあります。
- 導入コストがかかる
- 一時的に業務量が増える
導入コストがかかる
在庫管理システムを導入する場合、初期費用や導入費用に加えて、システムの初期設定を行うサポート費用まで、さまざまなコストが発生します。
さらに、バーコードを使って管理するタイプのシステムでは、ハンディターミナルやタブレットなどの機器を用意する必要があります。パッケージ販売されているシステムに対して機能追加が必要な場合は、さらに追加でシステムのカスタマイズ費用が発生します。
一時的に業務量が増える
在庫管理システムを導入すると、各商品にバーコードを貼り付けてシステム管理ができる状態にする必要があるため、準備などの作業が発生します。一時的な作業ですが、作業員には一時的に業務負荷がかかります。
また、新しい在庫管理方法に切り替える際には、社内の教育や業務の標準化にも時間がかかることを想定しておく必要があります。
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6化粧品向けの在庫管理システムにおすすめな機能
化粧品向けの在庫管理システムに備えておきたい機能は以下の4つです。
- 細かな在庫管理機能
- 品質チェック機能
- トレーサビリティ機能
- ペーパーレス機能
細かな在庫管理機能
化粧品の在庫管理では、入庫日や製造日、使用期限、ロット、検査結果など、さまざまな情報が必要のため、必要な情報を在庫データとして保有できる機能があることが望ましいといえます。
完成品として販売されている在庫管理システムの中には、必要な情報を扱うことができない場合もあるため、システムを導入する際には使用可能な項目の確認が必要です。
また、以下のような機能があると、業務の効率化にも繋がります。
- 所要量の計算
- 入出庫予定を考慮した有効在庫管理
- 原材料の使用単位と発注単位の変換機能
- 適正在庫や発注点を考慮した発注アラート機能
在庫管理や発注業務をアナログで行っていたり、属人的になっている場合には、これらの機能がついている在庫管理システムをおすすめします。
品質チェック機能
化粧品の在庫管理には、品質管理を徹底するための機能があることが望ましいといえます。
具体的には、以下のような点を確認できます。
- 使用する原材料や資材は正しいか
- 原材料の投入量は正しいか
- 使用期限が切れていないか
- 検査に合格しているか
これらがチェックできる機能があると、目視の確認と比べてミスの削減につながります。入荷から出荷までの各工程で品質をチェックし、ミスや不備を減らすことができれば作業効率の向上も期待できます。
トレーサビリティ機能
化粧品向けの在庫管理システムを導入する際には、トレーサビリティ機能は必要です。
トレーサビリティ機能がついていると、誰が・いつ・どのような作業を行ったのか履歴として残り、必要なタイミングで情報を把握できるようになります。
また、商品に問題が発生した際には迅速にトレースができ、適切な対応を行うことも可能になります。商品のロットから使用した原材料や資材をトレースできるだけでなく、原材料のロットからも商品を特定できる双方向な機能があると良いでしょう。
ペーパーレス機能
在庫管理を効率化するためには、入出力作業をバーコードとハンディターミナルによってできるペーパレス機能もおすすめします。
手書きや手入力で記録を残すのは手間だけでなく、ミスを誘発する可能性がありますが、ハンディターミナルを使って記録を残すことで、業務効率の向上とミスの削減を同時に実現できます。さらに、ハンディターミナルで読み取った情報はすぐに反映されるため、リアルタイムで在庫情報を把握できます。
上述した品質チェック機能やトレーサビリティ機能においても、バーコードとハンディターミナルの活用をおすすめします。
7まとめ:化粧品の在庫管理はアウトソーシングも視野に
化粧品の在庫管理では、定められた使用期限の管理を含めた品質管理を行う必要があります。
非常に繊細な管理が必要になるため、アナログの管理体制の場合はミスが発生しやすく注意が必要です。在庫管理システムを活用することで品質チェックやトレーサビリティ機能をはじめ、化粧品に適した管理を実現できるため、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
また、化粧品の在庫管理を外部のプロにアウトソーシングするのも1つの方法です。
当社ではこれまでの化粧品・コスメに関する物流の支援実績をもとに、運用面からブランドイメージアップの施策まで、幅広くサポートいたします。お気軽にご相談ください。
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