配送とは、小口の商品を拠点から近距離の場所へ短時間で届けることで、主に物流センターから複数箇所(消費者・小売店など)へ運ぶ際に使われます。配送と似た言葉に「輸送」「運送」もありますが、これらの言葉は物量や移動距離など状況に応じて使い分けられています。
本記事では配送と輸送、運送との違いや、配送の種類、課題について解説します。それぞれの言葉の定義について詳しく紹介していますので、ぜひご参考ください。
目次
誤出荷と棚卸差異を減らす、
具体的な方法6選!
1配送と輸送、運送の違いとは?
配送と輸送、運送の違いは以下の通りです。
それぞれ、運ぶ商品の種類や輸送手段によって使い分けられていることがわかります。
言葉の種類 | 取り扱う商品の特徴 | 移動距離 | 主な商品の運び先 | 主な輸送手段 |
---|---|---|---|---|
配送 | 小口の商品 | 短距離 | ・物流センターから複数箇所へ (消費者や小売業者など) |
トラック 自転車 |
輸送 | 大口の商品 | 長距離 | ・物流センターや工場の拠点間 ・工場から物流センターへ |
トラック 船舶 鉄道 航空機 |
運送 | 定義なし | 定義なし | 定義なし | トラック |
配送とは?
配送とは、主にトラックや自転車などの輸送手段で「小口の商品を短い距離で複数の目的地に届けること」を指し「二次輸送」とも呼ばれています。主な使用シーンは以下の通りです。
<主な利用シーン>
- 物流センターから小売店へ運ぶ場合
- 物流センターから消費者(個人宅)へ運ぶ場合
輸送とは?
輸送とは、「大口の商品を長距離移動して1つの目的地へ届けること」を指し、「一次輸送」とも呼ばれています。主な使用シーンは以下の通りです。
<主な利用シーン>
- 物流センターの拠点間で運ぶ場合
- 工場から物流センターへ運ぶ場合
- 工場の拠点間で運ぶ場合
さらに輸送手段によって、以下の3種類に分けられます。
<輸送の種類>
- 陸上輸送:輸送手段 = トラック・鉄道
- 航空輸送:輸送手段 = 航空機
- 海上輸送:輸送手段 = コンテナ船・フェリー
なお、国内貨物輸送の分担率において、トラックでの輸送が91.6%と大部分を占めています。
(参考:日本のトラック輸送産業現状と課題 2022|公益社団法人全日本トラック協会)
運送とは?
運送とは、トラックで商品を輸送・配送することを指します。
輸送距離や商品の物量に関係なく利用することができる言葉で、輸送と配送のどちらにも置き換えて使用できます。ただし、航空機や船舶での輸送や、人を運ぶ場合は用いません。
あくまでトラックで商品を運ぶ場合に用います。
2配送の種類
EC通販における配送方法は、主に以下の3種類があります。
それぞれ配送できる商品や料金が異なるので、自社に最適な配送方法を選びましょう。
- 宅配便
- 路線便
- チャーター便
宅配便
宅配便は、以下の流れで商品を配送するサービスです。
<宅配便の流れ>
- 集荷や荷主の持ち運びにより、商品が物流拠点Aへ集約される
- 物流拠点Aで目的地別に仕分けされ、お届け先の最寄拠点Bへ配送される
- 最寄拠点Bでお届け先ごとに仕分けされ、お届け先に配送される
- お届け先に商品が到着する
小口配送に向いており、サイズが小さい商品を配送できます。
個人の場合も、コンビニや郵便局などで簡単に利用できることが特徴です。
配送料金は商品を梱包している段ボールのサイズや重量、移動距離によって決定します。
配送する商品が少ないほど低コストに抑えられます。
ただし、サイズや重量の規定が厳しく、商品のサイズによっては利用できないこともあります。また、複数の商品が混載しているため、輸送中に商品がぶつかって破損してしまうリスクもあります。
路線便
路線便は、宅配便と同様に物流拠点を経由して商品を配送する法人向けのサービスです。
宅配便よりも大ロットで運ぶ場合や、宅配便で運ぶことができないサイズ・重量の商品を運ぶことができます。
配送料金は商品のサイズや重量、移動距離などで決定します。チャーター便と比べると低価格で抑えられますが、宅配便と同じく破損リスクがあります。破損しにくい商品を配送する場合や輸送コストを抑えたい場合に路線便が向いています。
チャーター便
チャーター便は、トラック1台分を貸し切って商品を配送するサービスです。
積載することができる商品の条件範囲が広く、商品の固定方法も自由に決められるため、安全に商品を運ぶことが可能です。
配送料金はトラックの車種や移動距離に応じて決定します。
集約拠点を経由せず直接商品を配送することができるため、配送料金が割高になりやすいですが、高級家具や芸術品など、傷がつくとトラブルになりやすい商品を配送したい場合や、細かい時間指定をして配送する必要がある場合にチャーター便が向いています。
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具体的な方法6選!
3配送における課題
EC通販において、顧客満足度を向上するためには、消費者の要望に合わせて配送できることが求められます。しかし、事業者側が自社で配送業務を行うと以下の課題に直面し、品質の維持が困難になることがあります。
- 配送ドライバーの人手不足
- 配送料金の値上げ
配送ドライバーの人手不足
現在、少子高齢化や労働環境の悪いイメージにより、配送ドライバーの人手不足が大きな課題となっています。昨今の通販事業の需要拡大で小口配送が増加していることからも、ドライバー不足がより深刻化し、自社で配送ドライバーを確保することがますます難しくなります。
さらに、働き方改革関連法の改訂によって、2024年4月から自動車運転業務の年間時間外労働が960時間に制限される「2024年問題」にも対処しなければなりません。
この改訂によって配送ドライバーの長時間労働の改善が期待できる一方、離職するドライバーが増え、人手不足が悪化する可能性も考えられます。
配送料金の値上げ
災害や社会情勢などによる燃料の高騰やドライバーの賃金増加に伴い、状況に応じて配送料金の値上げが必要です。
ガソリン価格の高騰は利益をひっ迫する要因であるため、配送料金を値上げして利益を確保する必要があります。しかし、送料の値上げは消費者の購買意欲やリピート率、顧客満足度に影響するため、なかなか難しいのが現状です。
4配送業務の課題解決策
配送ドライバーの人材不足や労働環境の変化に対する課題解決として、以下の2つの方法を紹介します。
- 配送管理システムを導入する
- 物流業務をアウトソーシングする
配送管理システムを導入する
配送管理システムとは、ドライバーの配車計画や配送の進捗管理など、配送に関わる事務作業を効率化できるシステムです。
ドライバーの手配やルートの選定を最適化することが可能で、ドライバーの荷待ち時間や配送時間を軽減できます。また、運賃やドライバーの賃金などのコストも可視化できるため、コストのデータ分析をすることで経費削減に繋げることが可能です。
配車をスムーズにできることから、消費者の細かな要望に合わせて配送しやすくなるため、顧客満足度の向上も期待できます。
配送業務をアウトソーシングする
物流代行会社へ業務をアウトソーシングすることで、自社で物流部門をもつ必要がなくなり、配送管理も任せることができるため、品質や費用対効果の改善が期待できます。
自社では困難だった対応も実現できる可能性が高まるため、顧客満足度の向上にもつながります。また、これまで配送業務に関わっていた自社の工数を、販促や商品企画などのコア業務に充てることで、自社の売上アップに注力できることもメリットです。
5まとめ:自社に適した配送方法を選択しよう
配送と輸送、運送は同じ「商品を運ぶ」という意味ですが、物量や移動距離、輸送手段などによって使い分けられていることがわかりました。社内外で言葉の違いによるミスが起きないよう、正しく使えるようにしておきましょう。
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