残荷とは、当日出荷すべき商品を輸送業者に引き渡せずに、倉庫に残ったままになってしまう物流事故のことです。残荷が発生すると、取引先に迷惑をかけるだけでなく、企業における信用力やブランドイメージの低下にも繋がるため、未然に防ぐための対策が必要です。
本記事では、残荷によって生じる影響や発生原因、企業が取るべき対策について解説します。
目次
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1残荷とは
残荷(ざんか)とは、何らかの原因によって出荷するはずの商品が倉庫に残ってしまい、取引先に配送されていない状態のことです。
残荷には2パターンあり、
出荷作業の過程で、物流担当者が輸送業者に荷物を引き渡すことができていない場合と、輸送業者が倉庫に荷物を置き忘れてしまった場合に発生します。
残荷は物流現場であってはならない事故のひとつであり、取引先に商品が届かないことで、さまざまなトラブルが生じます。トラブルを回避するためにも残荷を防ぐ対策が必要です。
2残荷が発生する原因
物流担当者または輸送業者の確認ミスによって残荷は発生しますが、ここからは、物流担当者側のケースに絞り、具体的な発生原因を解説します。
- 不注意による見落とし
- 荷崩れ時の積み忘れ
- 倉庫内の整理不足
- 運用ルールの未定着
不注意による見落とし
作業スタッフの単純な不注意で、出荷すべき商品をうっかり見落としてしまい、残荷が発生する場合があります。出荷作業に慣れてきて「自分はミスをしないだろう」と過信してしまうことも確認不足に繋がるため、残荷は必ず発生するという認識を持ち、確認作業を怠らないことが重要です。
荷崩れ時の積み忘れ
倉庫からトラックに荷物を搬送する際に荷崩れが発生し、トラックに積み忘れることで残荷が発生する場合もあります。
例えば、パレット搬送中に誤って落下させてしまった商品やケースを異なるパレットに戻してしまい、トラックに積み忘れるというケースがあります。このような荷崩れが発生しないよう、荷物の形状に合った積み付け・固縛などを十分に行いましょう。
倉庫内の整理不足
日頃から倉庫内の商品を整理整頓できていないと、残荷のリスクが高まります。
例えば、異なる種類の商品が混在した状態で保管されていると、出荷時に商品を取り間違えるケースや、出荷するはずの商品が物陰に隠れてしまい残荷になるケースが考えられます。
特に、セール開催の時期やイベントなどで一時的に出荷が多くなる繁忙期には、倉庫内に多くの商品が持ち込まれるため、事前に在庫管理方法を決めておくことが重要です。
運用ルールの未定着
倉庫内の整理整頓・出荷作業のルールが決まっていたとしても、作業スタッフがその運用ルールを守らなければ残荷は発生してしまいます。
例えば、マニュアルが複雑すぎたり、ルールをチェックする監督者が不在の場合は、ルール定着が難しくなります。そのため、残荷防止のマニュアルに加えてチェック体制を構築し、必要に応じて運用ルールを見直していくことが重要です。
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3残荷によって生じる影響
残荷によって生じる影響としては、以下の3つが考えられます。
- 企業における信用力の低下
- ブランドイメージの低下
- 物流現場の作業効率の低下
企業における信用力の低下
BtoB(企業向け)で商品を販売している場合、残荷の発生によって、企業とその先にいる消費者に商品が届かなくなってしまうため、多大な影響が発生します。また、BtoC(個人向け)で販売している商品も、指定日に商品が届かなくなってしまうことで消費者に何らかの損害が発生します。
たった一度のミスでも相手側に悪い印象を与え、企業の信用が失われる恐れがあります。
そのため、「残荷は企業の信用力低下につながる重大な物流事故」ということを認識し、残荷を未然に防ぐ対策が必要です。
ブランドイメージの低下
口コミサイトやSNSなどで、「予定通りに商品が届かなかった」といった悪い評判が残ると、その店舗から商品を購入しようと考えていた消費者を不安にさせてしまい、同じように悪い評判や口コミが増加することで、ブランドイメージの低下に繋がります。
ブランドイメージを維持して消費者と良好な関係を築くためにも、残荷を発生させないよう徹底した管理が必要です。
物流現場の作業効率の低下
残荷の発生によって甚大な被害が生じた場合、取引先などへ直接謝罪に行くケースや損害賠償を支払うケースがあります。また、同様の物流事故を発生させないための原因究明や対策を検討する作業も発生します。
このように、残荷が発生すると通常の作業とは別の作業が発生し、物流現場の作業効率低下につながるため、物流事故は未然に防がなければいけません。
4物流現場でできる残荷の防止対策
日々の出荷作業において、下記のような対策をとることで残荷の発生を未然に防止することができます。
- 荷物に出荷日と出荷先を明記する
- 出荷作業後のチェックを徹底する
- 運用ルールを徹底する
- 倉庫内を整理整頓する
荷物に出荷日と出荷先を明記する
商品が入っている段ボールに出荷日と出荷先を明記することで、出荷時に荷物を取り間違えるミスを軽減することができます。物流現場では、すべての段ボールに必要な情報を明記して管理する運用方法がおすすめです。
出荷作業後のチェックを徹底する
輸送トラックに出荷予定の荷物を積んだ後に、今一度、残荷がないかのチェックを徹底することで、残荷の発生リスクを抑えることができます。
例えば、チェック内容をリスト化して、指差し確認・声だし確認をするという運用方法もあります。繁忙期には出荷作業のスピードが求められますが、このチェック作業を省いて残荷が発生してしまうと、かえって出荷までの時間がかかってしまいます。物流現場では、「作業のスピードだけでなく正確性も大切」という認識をスタッフ全員が持っておくことが大切です。
運用ルールを徹底する
物流現場で運用ルールが徹底されているかを確認することで、残荷の発生リスクを抑えることができます。運用マニュアルを作った後も、作業スタッフにマニュアルの改良点などをヒアリングし、現場に合わせて柔軟に運用ルールを見直していくことがポイントです。
倉庫内を整理整頓する
倉庫内の商品を日頃から整理整頓しておくことで、出荷時に残荷を見逃すリスクを軽減することができます。
例えば、商品ごとの保管場所(ロケーション)を決める・出荷日ごとに商品を陳列するという管理方法を徹底することで、商品が増えても倉庫内の在庫管理が煩雑になりにくくなります。取り扱う商品が増えてきた場合は、一度倉庫内のレイアウトを見直すことも必要です。
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5まとめ:残荷事故を未然に防ぎ、消費者の信用を維持しよう
残荷が発生すると、取引先に損害が生じるだけでなく、長期的な信用低下に繋がってしまうことがわかりました。チェックリストによる確認や倉庫内の在庫管理を徹底することで、残荷を未然に防ぐ対策が重要です。
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