ピッキングロボットとは、ピッキング作業を自動化するロボットであり、倉庫内の商品を認識してスタッフの元まで運搬することが可能です。ピッキングロボットを導入することで、生産性向上や人為的なミスの防止などのメリットがあります。
本記事では、ピッキングロボットの概要を解説した上で、ピッキングロボットの種類や導入するメリット、デメリットを紹介します。
目次
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1ピッキングロボットとは
ピッキングロボットとは、搬送用ロボットや物流ロボットとも呼ばれており、商品を出荷するためのピッキング作業を自動化してくれるロボットのことです。
ピッキングロボットの種類によって機能が異なり、運搬のみを行うロボットや個別の商品を認識したピッキングができるロボットなどさまざまです。
ピッキングロボットは以下の機能を持ち、これらによって商品を認識した運搬が可能です。
要素 | 機能 |
---|---|
カメラ | カメラやレーザーセンサーにより、対象の商品の形や位置を認識する |
ロボットアーム | ロボットアームにより、商品を掴む ロボットアームの先端には、チャック式や吸着式などのロボットハンドを装着する |
制御システム | 制御システムにより、ピッキングロボットが倉庫内の物品にぶつからないように動く |
2ピッキングロボットの種類
ピッキングロボットには、以下の4種類があります。
- AGV(無人搬送ロボット)
- AMR(自律走行搬送ロボット)
- GTP(棚搬送型ロボット)
- ピースピッキングロボット
AGV(無人搬送ロボット)
AGV(Automated Guided Vehicle)は、無人搬送ロボットとも呼ばれており、磁気テープ・ビーコン・バーコードなどによって指定されたルートを自走して商品を運搬します。
出荷作業においては、商品の格納された棚まで走行し、作業者がピッキング対象商品をAGVに載せ、梱包作業場まで運んでいく流れになります。AGVを倉庫に導入する場合、商品や設備が障害物にならないようにAGV専用の走行ルートを設ける必要があります。
走行ルート上に障害物があるとセンサーが反応してロボットが停止しますが(経路誘導式の場合)、障害物を避けて運搬することはできないため、人力で障害物を移動させなければいけません(追従式の場合は回避可能)。
AMR(自律走行搬送ロボット)
AMR(Autonomous Mobile Robot)は、自律走行搬送ロボットとも呼ばれており、ロボット自身が走行ルートを決定して商品を運搬できます。AMRは倉庫を一周するとセンサーが自動で走行ルートを決定するため、事前にルートをプログラムする必要がありません。
走行ルート上に障害物がある場合、センサーが検知して迂回して運搬することができます。
出荷作業で担う役割としては、AGVとほぼ同じとなります。
GTP(棚搬送型ロボット)
GTP(Goods to Person)は、棚搬送型ロボットとも呼ばれており、出荷する商品が入っている棚を、ピッキング作業を行うスタッフの元に運搬することができます。
GTPの走行ルートは事前に決めておく必要があり、走行できるスペースがない場合は、GTPが商品を運搬できるように倉庫のレイアウトを変更しなければいけません。しかし、倉庫にGTPを導入することによって、ピッキング作業を行うスタッフが移動する手間を削減することができます。
出荷作業において、上述のAGVとAMRは商品をロボットに載せる作業を行うスタッフが必要であるのに対し、GTPは自ら商品が格納された棚を運んでくるため、その部分の作業を行うスタッフは基本的に不要となります。
ピースピッキングロボット
ピースピッキングロボットは、指定された商品をピースごとに自動でピッキングすることができます。AIやディープラーニングの技術が制御システムに搭載されており、材の形状や位置などに応じて、最適な配置をロボット自ら考えてピッキングできます。
上述の3つが運搬作業を担うのに対し、ピースピッキングロボットは複数の商品から必要な商品を選ぶ、という選別の作業を担うことになります。商品を運搬するAGVやAMRと連携させることによって、さらに倉庫内の人員を削減することが可能です。
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3ピッキングロボットを導入するメリット
ピッキングロボットには、以下の3つのメリットがあります。
- 生産性の向上
- 品質の安定
- 省スペース化
生産性の向上
ピッキングロボットを導入することによって、倉庫のピッキング作業を自動化できるため、生産性が向上します。ピッキングを手作業で行っている場合はスタッフが必要になりますが、ピッキングロボットを導入すれば人員の削減が可能となり、人件費を抑制することができます。
また生産性が向上し、ピッキングにかかる時間を短縮できるため、より早く商品を出荷することができ、サービスレベルの向上にもつながります。とくに大きな商品や大量の在庫を扱っている場合、ピッキングロボットによる生産性向上の効果は大きいものになります。
品質の安定
ピッキングロボットを導入することによって、ピッキング作業を自動化できるため、人為的なミスを減らし、品質を安定させることができます。
具体的には、ピッキングミスによる出荷作業の手戻り、また、それが誤って出荷されてしまった場合の返品やクレームを減らすことが可能であり、他社との差別化や顧客満足度の向上につながります。
省スペース化
ピッキングロボットの導入方法によっては、スタッフが移動するスペースを無くし、倉庫のスペースを有効活用できる場合もあります。
倉庫の空いたスペースに商品を保管できるため、在庫の保管効率が向上し、売上を伸ばすことが可能です。倉庫が小さい企業や、より多くの商品を倉庫に保管したい企業は、ピッキングロボットを導入してみてはいかがでしょうか。
4ピッキングロボットを導入するデメリット
ピッキングロボットには、以下の2つのデメリットがあります。
- 導入コストの発生
- トラブル時の業務停止
導入コストの発生
ピッキングロボットの導入には、導入の初期費用・担当スタッフへの教育・ピッキングロボットの設定・倉庫内のレイアウト変更など、多くの金銭的・時間的コストが発生します。
ピッキングロボットの導入後には、メンテナンスを行うスタッフの人件費がかかる上に、不具合があった場合はメーカー側への修理費も発生します。事前にピッキングロボットの導入にかかるコストを把握し、導入によって削減が見込まれるコストと比較して、本当に導入するべきかどうかを検討しましょう。
トラブル時の業務停止
ピッキングロボットにトラブルがあった場合、ロボットの運用を中止して手作業でピッキングをしなければいけません。場合によっては、倉庫の出荷作業を停止しなければいけないため、消費者に直接的な影響が発生したり、売上が一時的に減少する可能性もあります。
メーカーによっては、ピッキングロボットの代替サービスやリモートメンテナンスを提供しているため、導入前に確認することをおすすめします。
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5ピッキングロボットを効果的に利用する方法
ピッキングロボットを効果的に利用する方法は、以下の4つです。
- 導入目的を明確にする
- 費用対効果のシミュレーションをする
- マニュアルを作成する
- 倉庫内の環境を整備する
導入目的を明確にする
ピッキングロボットを効果的に利用するためには、導入する前に倉庫内の業務において解決するべき課題を把握した上で、導入目的を明確にすることが大切です。
ピッキングロボットを導入する目的を明確にすることによって、自社の倉庫に適切な種類のロボットを選ぶことができ、無駄なコスト発生を防ぐことができます。
費用対効果のシミュレーションをする
ピッキングロボットを効果的に利用するためには、導入する前に費用対効果をシミュレーションすることが大切です。初期費用だけでなく、倉庫の作業フローが大きく変わることや、倉庫のレイアウトを変更することを考慮に入れ、費用対効果をシミュレーションしましょう。
また、倉庫のスタッフへの教育コストや、トラブル時に発生するコストも忘れてはいけません。ピッキングロボットの導入費用以上に効果があることを明確にしてから、具体的な導入の検討をすすめましょう。
マニュアルを作成する
ピッキングロボットを効果的に利用するためには、倉庫のスタッフが適切に作業できるようにマニュアルを作成することが大切です。
具体的には、ピッキングロボットの利用・操作方法や、新しい作業フローに関するマニュアルを作成することです。倉庫内の業務が大きく変わる場合は、スタッフに対して詳しく説明し、作業をスムーズに行うことができるように対応しましょう。
倉庫内の環境を整備する
ピッキングロボットを効果的に利用するためには、ピッキングロボットが円滑に商品を運搬できるように倉庫内の環境を整備することが大切です。
導入するピッキングロボットに合わせて、商品を運搬しやすいように既定の大きさ単位にまとめ、ロボットの走行ルートを設けましょう。倉庫のレイアウトを大きく変更する場合、一時的に倉庫の営業を停止するケースがあるため、レイアウト変更にかかるコストを事前にシミュレーションすることが重要です。
6まとめ:ピッキングロボットで生産性の向上へ
ピッキングロボットはピッキング作業を自動化するロボットであり、倉庫内の商品を認識してスタッフの元まで運搬することができるため、導入することで生産性の向上や人為的なミス防止などにつながることが分かりました。
省人化や業務効率化、作業精度向上などのメリットで、今後ますますピッキングロボットの導入は増えていくことが予想されます。
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