4PLとは、物流の効率化だけでなく、経営計画に応じて企画・立案からコンサルティングを入れることにより、包括的な業務改善を行うビジネスモデルです。4PLの導入により業務フローが明確化し、販売ルートの改善や物流コストの最適化が可能です。
本記事では、4PLと3PLの違いやメリット・デメリット、注意点を解説します。4PL導入を検討するEC通販事業者のみなさまにとって、企業課題の解決につながるためぜひご覧ください。
目次
物流アウトソーシングの
検討時期やポイントを解説!
※委託先選定チェックリスト付き
14PLとは
4PLとは、物流部門をアウトソーシングする3PLに加えて、物流だけでなく経営戦略全体の改善を含めたソリューションを指します。Forth Party Logistics(フォース・パーティ・ロジスティクス)の頭文字をとったもので、サプライチェーン・サービスとも言われ、3PLの上位にくる概念です。
サービス提供企業の視点としては、物流業界で蓄積した知見を他社のコンサルティングに生かし、事業のスケールアップが可能です。物流の新しいビジネスモデルとして注目されており、サービスを利用、または提供する企業どちらも増加傾向にあります。
4PLを導入することで、全体的なコスト削減やサービスの質の向上にもつなげることが可能です。4PLに近い言葉としてLLP(Lead Logistics Provider)があり、LLPは4PLのサービス提供企業を指します。
4PLと3PLの違い
3PLは物流部門をメインにアウトソーシングすることを意味し、主に現場の物流オペレーションを請け負う3PLに対して、4PLは戦略策定や提案なども行う点が異なります。
また、3PLと4PLではコスト削減に対するスタンスに差があります。3PLのサービス提供企業は物流コストが自社の売上に直結するため、物流コストを含んだ商品価格を引き下げるような提案をすることはあまりありません。結果、消費者が支払う金額は下がらず、価格面での顧客満足度の向上は見込めません。
一方、4PLは顧客満足度を重要な指標のひとつとするため、消費者の視点に立った全体的なコスト削減の提案を行うこともあります。
4PLと5PLの違い
5PLはAIによるデータ分析や自動運転のような最新テクノロジーを4PLに加えたもので、物流業界の抱える課題を解決できる可能性があります。その結果、業務の効率化が促進され、全体的なコスト削減も期待できます。
4PLよりも導入費用が高くなるデメリットはありますが、長期的にとらえた場合、業界内のシェアを高められるなどメリットもあります。
24PLの重要性
コロナ禍におけるEC通販利用数の増加によって、4PLの重要性は加速度的に高まっています。
経済産業省の調査によると、令和3年度の国内BtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は20兆円を超え、BtoB-EC(企業間電子商取引)市場規模は372兆円を超えています。
(参考:経済産業省「令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査))
市場規模の成長にともない、EC通販事業者は複数の販売チャネルを管理する必要があります。
たとえば、これまでは公式ページでのオンラインショップのみで運営していた企業も、現在ではAmazonや楽天などへの販売ルート拡大が不可欠です。
このような事業の複雑化を背景として、物流部門をアウトソーシングしてリソースを確保しつつ、全体的な経営改善につながる4PL導入を検討する企業が増加しています。
物流アウトソーシングの
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34PLを導入するメリット
重要性が日々高まっている4PLの導入には、次のようなメリットがあります。
- 業務フローを可視化できる
- 物流コストを最適化できる
- 経営戦略の企画・改善に集中できる
- 販売ルートを改善できる
- 新規の設備投資が不要になる
業務フローを可視化できる
4PL導入による業務改善の開始にあたり、すべての業務フローを可視化する必要があるため、これまでスタッフの経験で行っていた作業が洗い出されます。
業務フローがドキュメントに落とし込まれることで非効率な作業が発見でき、コスト削減につながります。
また業務フローだけではなく、KPIを用いた物流フローの可視化も行われ、客観的な数値での取引量の把握が可能です。KPIでの数値管理はすべての拠点の在庫数や工数にも及ぶため、従来の管理方法では発見されなかった企業課題にも気づくことできます。
物流コストを最適化できる
4PL導入により物流部門をアウトソーシングすることで、物流コストが変動費化するため、コストを最適化できる可能性があります。
物流部門を自社でもつ場合、売上とは関係なく一定以上のコストがかかることは避けられません。
しかし、物流部門を他社にアウトソーシングすることで設備投資が不要となるため、発送数に比例した費用に変わり、変動費化させることが可能です。場合によってはアウトソーシングする費用の方が高額となるケースもありますが、変動費化されることで、最適化可能な作業の可視化につなげられる場合もあります。
すでに物流部門を持っている企業であっても、4PLを用いることで、在庫の管理コストが削減できる可能性があります。4PLの導入により商品の適正在庫を把握することが可能となり、余剰在庫の削減につなげられるためです。
在庫量が最適化された結果、作業品質と生産性が向上し、配送拠点の統廃合が実現できれば物流コストの大きな圧縮につながるなどのメリットもあります。
経営戦略の企画・改善に集中できる
物流コストの最適化をアウトソーシングすることにより、経営戦略の企画や改善といったコア業務に注力することが可能です。
たとえば、ロジスティクス全体を俯瞰した数値分析やスタッフマネジメントなどは高い専門性が必要となる業務ですが、これをアウトソーシングすることで自社で育成期間をかけずに一朝一夕では育たない専門スキルをもったスタッフを確保することが可能となります。
このように4PL導入によって業務の質が向上するうえにリソースが生まれ、コア業務に集中できるスタッフを確保していくことが可能です。
販売ルートを改善できる
4PL導入で生まれた新たなリソースは、コア業務のほかに、販売ルートの拡充にもあてることができます。
特にEC化が進められていない企業にとって、ECサイトの整備は優先度の高い課題です。ネット上の販路拡大は売上の大幅な向上につながる可能性があるため、4PLを用いて販売ルートを改善していくメリットが大きいと言えます。
新規の設備投資が不要になる
4PLは3PL(物流部門のアウトソーシング)も含まれるため、ロジスティクス全般に必要な機械設備やソフトウェアなどを新たに購入する必要がありません。
新たな設備導入となれば、機械の購入だけでなく、倉庫面積の拡大も必要です。ランニングコストも考慮すれば莫大な費用がかかると予想されます。
4PLを導入することで物流部門そのものを自社で運営する必要がなくなるため、費用対効果に優れるというメリットもあります。
44PLを導入するデメリット
4PLを導入するにあたって考えられるデメリットは、以下の4つです。
- 一時的に利益が減少する可能性がある
- イニシャルコストがかかる
- 連絡・調整の時間がかかる
- アウトソーシング先に業務が依存する
一時的に利益が減少する可能性がある
4PLのコンサルティングは業務全体の最適化を行うため、作業工程や必要なスタッフが減り、商品の販売費・一般管理費そのものを下げることも可能です。
その場合に、売価を下げず、自社の利益を向上させることも可能ですが、4PLの基本的な理念は消費者の顧客満足度の向上にあるため、戦略としては不適切です。結果、商品の売価を下げると、自社の売上も低下する可能性があります。
ただし、顧客満足度の向上につながるという点をふまえた場合、長期的な契約やリピート率の向上にもつながりやすく、LTV(顧客生涯価値)を高めることが可能です。
デメリットとしては一時的であり、長期的な視点でとらえればメリットに変わる可能性があります。
イニシャルコストがかかる
4PL導入にあたり、コンサルティング費用が必要となります。
一般的に物流部門のアウトソーシング費用に加えてコンサルティング費用が加算されるため、安価とは言えません。
一方で、低価格の4PLを導入した結果、サービスのクオリティが低く経営改善につながらない恐れもあります。イニシャルコストの増加と長期的なメリットの両方に鑑みて、適切にサービスを選択することが重要です。
連絡・調整の時間がかかる
物流部門のアウトソーシングによって、経営のコア業務を担うスタッフと物流現場のスタッフが異なる企業の所属となるため、連絡や調整に時間が必要です。
経営者と現場の距離が近い場合とは異なり、連絡系統が複雑化する恐れもあります。また、企業ごとの方向性のずれによって行き違いが生じ、コミュニケーションコストが増加してしまう可能性もあります。
4PL導入にあたっては、自社とコンサルタントとの連携を綿密に行うことが必要です。
アウトソーシング先に業務が依存する
4PL導入によって物流部門を自社で運営しなくなるため、物流に関するノウハウが自社に蓄積されません。
4PLの契約終了にともない内製化が必要となった場合、莫大な費用と作業コストが必須となります。他社の4PLサービスを導入する方法や、物流部門のある会社をM&Aによって買収する方法などもありますが、イニシャルコストの発生は回避できません。
導入後の変化によっては、4PLの導入後に余分なコストがかかる場合もあるということです。
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54PLを導入するときの注意点
4PL導入を検討する際は、以下の点に留意しておく必要があります。
- 明確な目的が必要
- アウトソーシング先の精査が必要
明確な目的が必要
経営戦略の全体的なコンサルティングが4PL導入の目的ではあるものの、サービス提供会社によって得意な領域は異なります。
自社のどの領域に課題を感じているのか、どの程度のコストダウンを目指したいのかなど、4PLを導入する前に目的を明確化しておくことが重要です。
目的が曖昧なままアウトソーシングしてしまった場合、自社の潜在的な課題が可視化されず、優先度が低い業務のコンサルティングを開始されてしまう恐れがあります。
アウトソーシング先の精査が必要
4PLのサービス提供企業によって強みを発揮できる領域が異なるため、自社の目的に合わせて企業を選定する必要があります。
たとえば、物流業界にルーツをもつ4PL企業と商社からスタートした4PL企業では、それぞれの得意分野が異なります。
アウトソーシングする目的の明確化とともに、企業選定を慎重に行うことが重要です。
6まとめ:4PLの導入はメリット・デメリットを理解してから
4PLとは、物流部門のアウトソーシングに加え、経営戦略や企画のコンサルティングを入れることで、自社の業務改善につなげるソリューションを指します。作業品質の向上とコスト削減を実現させ、利益の向上を図ることが可能です。
複雑化が進む物流業務のアウトソーシングを希望している場合や、多角的な視点での経営改善を図りたい場合は4PLの導入がおすすめです。
通販業界で長年培ってきたノウハウがある当社でも、さまざまな業務に対応可能なワンストップのサービスを提供しています。物流業界で培った知見を用いて全体的な業務の改善サポートが可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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