物流におけるチャーター便とは、輸送サービスの1つでトラックやトレーラーを1台貸し切る輸送方法のことです。チャーター便を活用することで、リードタイムの短縮や輸送品質の向上につながります。
本記事では、チャーター便を検討しているEC通販事業者様向けに、メリットやデメリット、混載便との使い分け方を紹介します。チャーター便の活用方法を知ることで、物流のコストパフォーマンスを向上できますので、ぜひお読みください。
目次
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1チャーター便とは
チャーターとは「貸切る」という意味で、物流においてはトラックやトレーラーなどの車両を1台貸し切る輸送方法のことを指します。
チャーター便は特定の荷主の荷物のみを積載して、目的地へ直行で運搬できるため、混載便で取り扱えない商品や破損しやすい商品を運搬する際におすすめです。たとえば、長さ4m以上の木材100kg分を加工工場に輸送したい場合には、チャーター便の利用がよいでしょう。
なお、飛行機や船にもチャーター便がありますが、本記事ではトラックに絞って解説します。
2混載便との違い
輸送サービスにはチャーター便のほかに複数の荷主の荷物を積載して輸送する「混載便」があり、チャーター便との違いは以下のとおりです。
サービス | 積載する荷物 | 輸送方法 | 輸送できる荷物の条件 | 料金 | 到着時間の指定 |
---|---|---|---|---|---|
チャーター便 | 特定の 荷主の荷物 |
目的地へ直行で輸送する | 重量や寸法の規定は特になし(運送会社によって規定あり) | 比較的高い(積載量が多い場合、混載便より安くなることがある) | 日時を細かく指定できる |
混載便 | 複数の 荷主の荷物 |
物流センターや事業所を経由して目的地へ輸送する | 重量や寸法によって制限あり | 積載量が少ない場合安い | 輸送ルートや日時が決まっているため、細かい指定はできない |
それぞれ特徴が異なるため、効率良く商品を輸送するために使い分ける必要があります。
3チャーター便のメリット
チャーター便には以下のメリットがあります。
- 発送の日時やルートを自由に決めやすい
- 荷物の破損リスクを軽減できる
- 特殊な荷物を積載できる
発送の日時やルートを自由に決めやすい
チャーター便は時間指定や発送ルートの自由度が高く、消費者の要望に合わせた到着時間を決めることができます。目的地まで直行するため、生産者から消費者に商品が届くまでのリードタイムが短縮できるため顧客満足度が向上するなど、EC通販事業者にもメリットがあります。
荷物の破損リスクを軽減できる
チャーター便では積載方法の自由度が高く、商品を直行して輸送するため商品の破損リスクを軽減できます。パソコンのような精密機械を輸送する際も緩衝材や固定用のベルトを用いることで、輸送中の振動や衝撃によるダメージを最小限にすることが可能です。
また、商品の特徴にあわせて車種を自由に選択できるため、品質の劣化を防ぐことができます。たとえば、食品の場合は、冷蔵や冷凍など温度を調節できるコンテナのトラックを選択します。輸送中の温度管理を徹底することで品質を維持できるため、消費者からの信頼が向上します。
特殊な荷物を積載できる
チャーター便では積載できる商品の条件が混載便に比べると厳しくないため、以下の商品も輸送できます。
- 突起物
- 積み重ねできない商品
- 危険物(高圧ガスや化学薬品など)
- 長尺の商品(木材や鋼管など)
- においの強い商品
- 物流センターのベルトコンベアで仕分けできない商品
ただし、運送会社によって対応できない商品もあるため、依頼する前に問い合わせて確認しましょう。
4チャーター便のデメリット
チャーター便には以下のデメリットがあります。
- コストが高くなりやすい
- 繁忙期は手配が難しい
コストが高くなりやすい
チャーター便が混載便に比べてコストが割高になりやすいのは、以下の理由があげられます。
- トラック1台単位で発注するため、積載量が少ないほど商品1つあたりの料金が高くなる
- 目的地まで行った後、拠点まで戻る必要があるため、その分の人件費や輸送コストなどがかかる
- 食材を輸送する場合は冷蔵・冷凍など温度によって分ける必要があるため、複数台分の料金を支払わなければならない
ただし、大量の商品を輸送する場合はチャーター便の方が安くなる可能性があるため、混載便とチャーター便の見積もりを比較してから輸送方法を選びましょう。
繁忙期は手配が難しい
物流業界では以下の時期が繁忙期です。
- 年末年始(クリスマスや大晦日、正月など)
- 新学期や入社式の時期
- 通販会社でのキャンペーンがあるとき(例:Amazonブラックフライデー)
- 地域ごとのイベントがあるとき(例:旬の食材の収穫時期やリゾート地の繁忙期)
このような繁忙期はチャーター便に対応していない運送会社も少なくありません。実際にトラックドライバーが不足していると感じる企業が約7割存在しています。
(参考:最近の物流政策について|国土交通省)
そのため繁忙期に商品を発送したい場合は、早めに運送会社に連絡してチャーター便を手配する必要があります。
5チャーター便の料金の目安
チャーター便の料金は以下の要素で決定します。
- トラックの積載量
- 輸送距離
- オプション(冷蔵車や深夜配達など)
料金の相場は以下のとおりです。
輸送距離(km) | 軽車両の料金(円) | 2tトラックの料金(円) | 4tトラックの料金(円) | 10tトラックの料金(円) |
---|---|---|---|---|
10 | 5,000~6,000 | 18,000~20,000 | 20,000~22,000 | 27,000~30,000 |
30 | 7,000~9,000 | 20,000~22,000 | 23,000~25,000 | 31,000~34,000 |
50 | 9,000~13,000 | 22,000~24,000 | 26,000~35,000 | 35,000~47,000 |
100 | 14,000~21,000 | 28,000~30,000 | 31,000~38,000 | 43,000~50,000 |
200 | 23,000~35,000 | 28,000~43,000 | 45,000~49,500 | 62,000~69,000 |
300 | 32,000~48,000 | 50,000~55,000 | 57,000~65,000 | 83,000~91,000 |
400 | 41,000~62,000 | 60,000~66,000 | 69,000~76,000 | 98,000~113,000 |
500 | 50,000~75,000 | 70,000~77,000 | 74,000~89,100 | 104,000~133,000 |
上記より、トラックの積載量や距離が大きいほど料金が高くなることがわかります。
6チャーター便を活用すべき場面
チャーター便を活用すべき場面として、以下の4つがあります。
- 特殊な形状の商品を輸送するとき
- 安全に商品を輸送するとき
- 大量の商品を一箇所に輸送するとき
- 発着時間を細かく指定したいとき
特殊な形状の商品を輸送するとき
前述の通り、チャーター便は混載便では積載できない特殊な形状の商品を輸送することができます。たとえば、梱包が難しい大きなサイズの家具は混載便では扱えない場合があります。
中でも組み立てができないソファは脚部が突起物となり混載便だと他の商品が破損する原因になるため、積載できる可能性が低くなります。
また、長尺の商品も混載便では受け付けていない運送会社があるため、木材や鋼管などの資材を発送したい場合はチャーター便の検討が必要です。
安全に商品を輸送するとき
破損しやすい商品や代替品のない商品を運びたい時にもチャーター便がおすすめです。破損しやすい商品として、カメラやプリンターなどの精密機械が挙げられます。
代替品のない商品については、骨董品や絵画などの芸術品があり、芸術品は適切な温度や湿度で管理しないと変色やカビの原因になるため、輸送による品質劣化を防がなければなりません。
チャーター便にすることで商品に合わせた輸送車両や固定方法を選択でき、商品の品質を維持しながら発送することができます。
大量の商品を一箇所に輸送するとき
混載便で運べる商品でも大量の商品を一箇所に輸送したい場合は、チャーター便の方が商品1個あたりのコストを抑えられることがあります。
混載便の料金は荷物の重量や体積によって決まるシステムで、積載量に応じて高くなります。一方チャーター便はトラック1台単位の料金が決まるため、積載量を増やしても金額は変わりません。そのため、大量に積載するほどコストが下がり、商品を大ロットで生産している工場や大量発注が必要になった小売業の方におすすめです。
ただし、運送会社によって混載便とチャーター便の料金が異なるため、事前に運送会社に見積もりを依頼して金額を比較しましょう
発着時間を細かく指定したいとき
取引先に「この時間でないと入荷の対応ができない」と依頼があった場合には、時間を細かく指定できるチャーター便が便利です。混載便では発送できない時間帯も対応できるため、深夜や早朝でも商品を届けられます。
また、運送会社によっては当日に依頼して即日に発送できるため、急に大量の商品を発送する必要があった場合にも短納期で商品を届けられます。
7チャーター便を手配する方法
チャーター便を手配したい場合以下の2つの方法があります。
- 物流業者に依頼する
- 個人に依頼する
物流業者に依頼する
チャーター便は大手宅配会社から中小企業の運送会社まで、さまざまな企業が取り扱っています。
依頼から発送までの手順は以下のとおりです。
- 公式サイトや電話などで運送会社に依頼
- 発送したい商品を運送会社が電話やメールで確認し、車種や輸送方法を提案
- 輸送距離や積載量を確認して見積もり額を提示
- 契約完了後、ドライバーが自社に訪れ集荷
- 目的地まで輸送が完了した後、お支払いをして手続き完了
企業によって手順が異なるため、特定の運送会社に発送を依頼したい方は各社公式サイトで確認しましょう。
個人に依頼する
荷物を発送したい人とドライバーをつなぐ「配送マッチングサービス」を活用することで、個人事業主のドライバーに発送を依頼できます。
配送マッチングサービスの流れは以下のとおりです。
- 配送マッチングサービスで自社の住所と目的地、荷物の詳細を入力
- 輸送にかかる時間と見積もりが表示され、対応できるドライバーが掲載
- マッチング後、ドライバーが自社に訪れ集荷
- 輸送完了後、お支払いをして手続き完了
自社の近くにいるドライバーをリアルタイムで見つけられるため、緊急で発送を依頼したいときにも活用できます。
8まとめ:目的に応じてチャーター便を活用しましょう
チャーター便を活用することで、混載便では積載できない商品の輸送や、細かな時間を指定した輸送が可能になります。大量に商品を輸送する場合は混載便より低価格になるケースがあり、コスト削減につながります。破損リスクやリードタイムの短縮にも効果があるため、チャーター便の活用を検討してみてはいかがでしょうか?
当社に物流業務をお任せいただければ、適切なタイミングでのチャーター便利用を提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
「物流についてまずは相談したい」
と考えている方へ
750社を超える通販支援実績をもつスクロール360は、
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