ECサイトクーポンは、販売促進や顧客獲得のために配布する割引券や商品券のことで、売上につなげる効果的なマーケティング施策の一つです。効果を最大限に引き出すためには、ポイントを押さえた正しい運用が必要です。
本記事では、ECサイトのクーポンについて、発行方法や効果を出すためのポイントを解説します。
目次
ECの受注担当者・顧客対応担当者が抱える
お悩み “あるある”5選と解決策
1ECサイトのクーポンとは
ECサイトのクーポンは、ECの売上を伸ばすためのマーケティング施策の一つで、商品やサービスの販売促進施策のために配布する割引券や商品券のことです。
クーポンを配布する目的は主に以下の4つが挙げられます。ポイントを押さえて正しく運用することで、効果的な販売促進や売上の増加を見込めます。
- 販売促進
- 新規顧客の獲得
- リピート購入の促進
- 在庫の処分
クーポンの種類
ECサイトのクーポンには、以下のような種類が挙げられます。
クーポンの種類 | 概要 |
---|---|
割引クーポン | 商品・サービスの購入に対して割引を適用する |
送料無料クーポン | 購入した商品の送料を無料にする |
ボリューム割引クーポン | 特定の商品を一定の数量以上購入した場合に割引を適用する |
新規顧客用クーポン | 初回購入のユーザー限定で割引を適用する |
ロイヤリティクーポン | 継続購入客が一定の購入回数または購入金額を達成した場合に 割引を適用する |
キャッシュバッククーポン | 商品・サービスの購入代金の一部をポイントで還元する |
シーズン(ホリデー)クーポン | 季節や、バレンタイン・クリスマスといったイベントにあわせて 割引を適用する |
クーポンは購入代金を割引するだけでなく、ポイントやその他の特典を付与するなどの活用も可能です。一般的に、クーポンの利用可能期間や適用条件といった限定性を持たせて配布し、特定の期間内で販売促進や顧客獲得を狙います。
ポイントとの違い
ECサイトでは、クーポンと同じような目的で「ポイント」を扱うことがありますが、両者には以下のような違いがあります。
特典 | 特徴 | 目的 | 有効期間 |
---|---|---|---|
クーポン |
|
|
|
ポイント |
|
|
|
クーポンの割引特典は、初回購入のハードルが下がるため、新規顧客の獲得施策に適しています。これに対してポイントは、継続購入することで特典を得られることから、既存顧客のリピート購入を促進する施策に適しています。このように、目的に応じてクーポンとポイントを使い分けることで、大きな効果を発揮します。
2ECサイトのクーポンで得られる効果
ECサイトのクーポンで得られる効果は、主に以下の5つが挙げられます。
- 新規顧客の獲得
- 継続購入・まとめ買いの促進
- 短期間の売上確保
- 顧客単価の向上
- カゴ落ち回避
新規顧客の獲得
クーポンを配布することで、顧客の購買意欲を促進することが可能です。これにより新規顧客を獲得し、売上アップを狙えます。新規顧客の獲得を目的とする場合は、初回購入や会員登録といった条件付きの割引クーポンが適しています。
継続購入・まとめ買いの促進
次回購入する際に、割引や特典が受けられるクーポンを購入時に配布することで、既存顧客の継続購入を促す効果があります。購入後すぐに配布する方法もありますが、商品やサービスをある程度利用したタイミングを見計らって配布する方法も効果的です。
また、ボリューム割引クーポンがあると顧客側へまとめ買いを促進できます。
「あと〇点購入したら△円オフ」と表示されると、買い物カゴに商品を追加してしまうといった心理を活用した方法です。
ボリューム割引クーポンを設計する際は、購入数量が増えるごとに割引率を上げていくと、1人あたりの購入単価を上げる効果も期待できます。
短期間の売上確保
商品の在庫が残り僅かなケースや、月の売上目標をあと少しで達成できる状況のように、短期間で売上を確保したい場合は、期間限定のキャンペーンクーポンを配布することで目的の達成に近づけます。
必要なタイミングで適切なクーポンを配布できるように、事前にクーポン設計の枠組みを整えておくことが大切です。
顧客単価の向上
ECサイトのクーポンは、適切に設計することで、アップセルやクロスセルの施策としても効果を発揮します。
購入を検討している商品よりもワンランク上の商品や、関連した別の商品とのセット売りがお得になるクーポンを配布することで、顧客1人あたりの単価を向上させることが可能です。
カゴ落ち回避
ECサイトの買い物カゴに購入したい商品を入れた後、何らかの理由で最終的に購入に至らなかったケースをカゴ落ちと呼びます。
カゴ落ちの多い商品に対する割引クーポンを配布することで購買意欲を刺激し、「クーポンで安くなるなら」という顧客心理にアプローチすることで、購入に至る可能性を高めることが可能です。
ECの受注担当者・顧客対応担当者が抱える
お悩み “あるある”5選と解決策
3ECサイトのクーポン発行準備
ECサイトのクーポン発行には、以下4つの準備が必要です。
- 目的と対象者の設定
- 割引方法の設定
- 有効期限の設定
- 利用ルールの設定
目的と対象者の設定
まずはじめに、何のためにクーポンを発行するのか、配布する目的と対象者を明確にする必要があります。そうすることで、適切なクーポンの内容を設計することができます。
目的 | 顧客単価向上のため |
---|---|
対象者 | 新規顧客・既存顧客 |
クーポンの内容 | 購入数量ごとに割引率が上がるボリューム割引クーポンを配布し、 まとめ買いを促進する |
顧客数は十分に確保できているが売上が思うように上がらない場合、1人あたりの購入単価を向上させることを目指し、まとめ買いを促進するクーポンを配布します。このように、売上や販売状況に対する課題解決を目的にすると、目的や対象者を明確にしやすくなります。
割引方法の設定
クーポンの設定では、割引額(例:500円引き)もしくは割引率(例:10%OFF)の設定が必要です。クーポンの割引方法を決める際には、以下の2点がポイントです。
- 商品の利益率を加味して割引額(率)を決める
- ABテストを行い最適な割引方法を決める
利益率の高い商品については高額な割引額(率)を提供し、利益率の低い商品については割引額(率)を控えめに提供することで、利益を確保します。
また、最適な割引方法を設定するためにABテストの実施も1つの方法です。異なる割引内容のクーポンを並行して運用・比較し、より効果の高い方を採用するようにします。
有効期限の設定
クーポンを無期限で配布してしまうと、購買意欲の促進効果が薄れてしまうため、必ず有効期限を設けます。有効期限を設定することで、「〇日までに買わなければ」「〇日までの限定だから」という意識をかり立て、購買に繋げることができます。
利用ルールの設定
クーポンを何回も利用できるようにするのか、回数制限をつけるのか、利用可能な回数を設定する必要があります。重複利用不可と回数制限を合わせて設定すると「先着〇名様まで」といったクーポンの設定も可能です。
ルールを設定せずに配布してしまうと、予想よりも多くクーポンが利用されてしまった、という事態となり、利益を損ねる可能性もあります。そのため、利用ルールを適切に設定し、顧客にも明示するようにしましょう。
さらに、不正利用時の対処についても明記しておくと、トラブルの回避が可能です。
4ECサイトのクーポン発行方法
ECサイトのクーポンの発行方法には、主に以下の3つがあります。
- ECサイトプラットフォームの機能
- SNS関連のクーポン作成サービス
- クーポン作成アプリ
ECサイトプラットフォームの機能
ECサイトプラットフォームに搭載されているクーポン発行機能を使うことで、プラットフォームの管理画面から必要な項目を設定するだけで簡単にクーポンの発行が行えます。
SNS関連のクーポン作成サービス
SNSを利用してECサイトを展開している場合は、SNSアカウントからユーザーに対してクーポンの発行が行えます。既にLINEやTwitter、Facebookを使用している場合は、活用を検討してみましょう。
クーポン作成アプリ
クーポンを発行するためのアプリやサービスを利用する方法もあります。自社ECの場合は、クーポン作成アプリの利用が便利です。
ECサイトと連携する外付けアプリや、連携せずに簡易に発行するアプリ、QRコードに変換できるアプリなど、さまざまな種類があります。アプリで作成したクーポンをメルマガで配布、あるいは自社サイトに掲載するなどの活用も可能です。
ECの受注担当者・顧客対応担当者が抱える
お悩み “あるある”5選と解決策
5ECサイトで効果的なクーポン施策を行うポイント
クーポンの効果を最大限に発揮するためには、以下7つのポイントを押さえましょう。
- 限定性・特別感のある内容にする
- 最適なタイミングで配布する
- 配布のしすぎに気を付ける
- 割引のしすぎに気を付ける
- クーポンの獲得動線を設計する
- 覚えやすいクーポンコードを設定する
- クーポン配布後は必ず効果測定をする
限定性・特別感のある内容にする
毎回、同じタイミング・内容のクーポンにしてしまうと、既存顧客にとっては新鮮味や面白みがなく、徐々に購買意欲も低下してしまいます。そのため、限定性や特別感を持たせて興味を引くような内容にすることがポイントです。
たとえば「〇日間の期間限定」「〇周年記念」といったイベントや、「クリスマス」「お正月」などの季節に合わせたイベント、「顧客の誕生月」などの特別なイベントなどにクーポンを配布するといった取り組みも効果的です。
最適なタイミングで配布する
クーポンは配布するタイミングを間違えると効果が薄れます。
例えば、以下のようなタイミングで配布すると効果的です。
- 土日祝など購入が多い期間に合わせる
- 購入が少ない期間に合わせる
- 季節やイベントに合わせる
さらに、購入が伸び悩んでいる商品など、売れ行きを改善したい商品がある場合も、クーポンを配布するタイミングといえます。目的に応じたタイミングに合わせて配布することで、クーポンの効果を最大限に発揮することができます。
配布のしすぎに気を付ける
むやみにクーポンを配布しすぎると、利益率だけでなくブランドイメージの低下を招きます。クーポン無しでは商品が売れないといった状態にもなりかねないため、配布しすぎないように注意しましょう。上述のように限定性や特別感を持たせることで、クーポンの発行のしすぎを防ぐことが可能です。
割引のしすぎに気を付ける
クーポンによる割引率を上げすぎると、通常価格で商品が売れなくなってしまう懸念もあります。割引した分だけ利益が減っていることを忘れてはいけません。利益を加味してクーポンの値引き額や割引率を決めましょう。
クーポンの獲得動線を設計する
ECサイトで使うクーポンを配布する際は、顧客に向けて、どこからクーポンの存在を通知すべきか、戦略的に考える必要があります。
新規顧客獲得のために数多くの人に周知したいならSNSや広告、リピート購入を促進したいならメルマガやECサイト上など、目的に応じた動線を設計します。
さらに、あらかじめクーポンを発行することを予告する方法も効果的です。お得なクーポンの存在によって、顧客がECサイトに足を運ぶきっかけとなるからです。
覚えやすいクーポンコードを設定する
アルファベットや数字、記号を組み合わせた複雑で長いクーポンコードを設定してしまうと、購入画面での入力に手間取ってしまうため、覚えやすいとされる「3~5文字」程度の簡単なコードを設定しましょう。
クーポン配布後は必ず効果測定をする
クーポンを配布した後は、はじめに設定した目的が達成できたのか、集客や売上にどのような効果を与えたのか分析し、次回のクーポン設計を検討します。
ABテストを行い、クーポンを配布した際の売上と、通常時の売上を測定することも可能です。データを取得し正しく分析することで、ECの売上アップを狙いましょう。
6まとめ:クーポンの活用でECサイトの販売促進をしよう
ECサイトにおけるクーポンは、新規顧客の獲得や販売促進など、売上につなげる効果的なマーケティング施策の一つであることがわかりました。目的に合わせた適切なクーポン設計を行うことで、さまざまな効果を得られます。
ECプラットフォームや自社ECサイトの場合でも、比較的簡単に始められる施策のため、クーポンの活用に挑戦してみてはいかがでしょうか。
ECの受注担当者・顧客対応担当者が抱える
お悩み “あるある”5選と解決策
サービスはこちら