「自社のECサイトを立ち上げたが、想定より売上が低い」といった課題を持っている企業やEC通販の担当者様は、少なくないのではないでしょうか。
EC市場は現在も拡大を続けており、新規参入する企業も増えています。しかし競争激化に伴い、ECサイトで商品を販売するには、さまざまな工夫が求められるようになりました。
本記事では、ECサイトの運営にお悩みの方を対象に、よくある課題や解決方法を解説します。
目次
ECの受注担当者・顧客対応担当者が抱える
お悩み “あるある”5選と解決策
1ECサイトの主要課題
ECサイトの売上を伸ばすためには、主に以下5つの課題を把握し、改善することが重要です。
- 集客力
- コンバージョン率(CVR)
- 客単価・リピート率
- 作業ミス
- 人手不足
集客力
ECサイトに訪れる顧客が少ないと、商品販売の機会を作れません。自社のECサイトに訪れる顧客を増やし売上を伸ばすためには、まず集客力を上げる必要があります。
特に以下3点を重点的に対策することで、自社ECサイトへの流入増加を狙うことができます。
- SEO対策
- Web広告
- SNS
自社の商品やサービスに興味・関心を持っている人が多いと推測される場所に、適切な動線を作ることで、効果的な集客が可能です。
コンバージョン率(CVR)
コンバージョン率とは、自社ECサイトで会員登録や商品購入に至った顧客の割合です。サイトのデザインが古い、レイアウトが見にくい、欲しい情報が掲載されていないと、コンバージョン率が下がる傾向にあります。
自社ECサイトに顧客を誘導できても、会員登録や商品購入につながらなければ、集客の意味がありません。顧客の行動を促すようにデザインやレイアウトはもちろん、情報量や動線を工夫し、コンバージョン率の高いサイトを目指しましょう。
客単価・リピート率
一度、商品やサービスを購入してもらっても、客単価やリピート率が低いとなかなか利益にはつながりません。商品の提案やアフターフォローを通して顧客満足度を上げ、客単価やリピート率の向上に努めましょう。
客単価を上げるには、関連商品や高額商品を提案し、次回以降に購入を検討してもらうことが重要です。また、顧客に商品を継続購入してもらうことも、客単価の向上につながります。
リピート率を上げるには、顧客満足度が大きく関わります。顧客との密なコミュニケーションを継続することで、次回以降の購入の可能性も高まります。
作業ミス
ECサイトに問題がなくても、作業ミスが多発してしまうと顧客満足度は下がります。
ミスが発生しやすいタイミングは、以下のような作業工程が挙げられます。担当者に聞き取りを行い、作業手順を見直すことで、業務体制の改善を行いましょう。
<作業ミスが発生しやすい工程の例>
- 顧客対応(受注処理・入金確認)
- ECサイト更新(商品登録・ページ更新)
- 出荷・発送(ピッキング・検品・梱包)
人手不足
顧客対応や発送業務など、ECサイトの運営には一定の人員が必要です。特に、発送業務の人手が足りないと、発送遅延が発生し顧客満足度にも影響します。
繁忙期と閑散期の差が激しいケースでは慢性的な人手不足が起こりやすく、発送業務と兼務している部署では、本来注力すべき販促計画などの重要な業務が疎かになる恐れもあります。
人手不足の解決には、システムの導入や労働環境の見直しなど、企業単位の制度改革が必要です。また、アウトソーシングでの業務委託も、人手不足の解決が見込めます。
2【集客】ECサイトの課題を解決する方法
ECサイトの課題である集客力を改善する方法は、以下3つです。
- Web広告を活用する
- SEO対策をする
- SNSで発信する
Web広告を活用する
Web広告は、インターネット上に広告を配置し、自社商品の認知度を高める施策です。広告費はかかりますが即効性が高く、興味のあるユーザーを引き込みやすい点が特徴です。
広告には以下のような種類があり、それぞれ特徴が異なります。販売したい商品やサービス・ターゲットに合わせて、活用する広告を選定しましょう。
Web広告の種類 | 特徴 |
---|---|
リスティング広告 | ・検索結果ページに表示される ・即効性があり、自社ECサイトを短時間で上位表示できる |
ディスプレイ広告 | ・Webサイトやスマホアプリに表示される ・サイトやアプリユーザーの属性に合った広告を表示できる |
リターゲティング広告 (リマーケティング広告) | ・Webサイトを閲覧したユーザーに表示される ・関心のあるユーザーにアプローチできる |
記事広告 (ネイティブアド) | ・コンテンツに混ざって表示される ・ユーザーの邪魔にならず、不快感を与えにくい |
動画広告 | ・動画サイトで表示される ・多くの情報を伝えやすい |
SNS広告 | ・SNS上に表示される ・ユーザーの属性を細かく設定できる |
SEO対策をする
SEO対策は、自社サイトの自然流入数を増やす方法です。一度上位表示されると中長期的な集客効果が期待できるだけでなく、広告出稿のような費用もかかりません。
一方で、SEO対策にはサイト設計やキーワード選定など、専門的な知識が求められます。SEO対策を充実させるには、ノウハウを持つ人材の確保や運用体制の構築が欠かせません。
さらに、SEO対策には長期間の取り組みが必要で、即効性がない点には注意が必要です。地道にコツコツ進めることが大切です。
SNSで発信する
SNSは、今や多くの人が利用するプラットフォームになりました。SNS上で広告を出したり、自社のSNSアカウントから魅力的な情報をPRすることで、自社サイトへの集客を増やせる可能性があります。企業の情報発信に使われているSNSは、大きく以下の3つです。
<SNSの例>
SNSごとに利用者層は異なるため、販売したい商品やサービスのターゲットによって利用するSNSを変更しましょう。
ECの受注担当者・顧客対応担当者が抱える
お悩み “あるある”5選と解決策
3【コンバージョン率】ECサイトの課題を解決する方法
ECサイトの課題であるコンバージョン率を改善する方法は、以下の3つです。
- アクセスが多いページから改善する
- 顧客が使いやすいサイト構造にする
- スマートフォンに最適化する
アクセスが多いページから改善する
アクセスの少ないページを改善しても、訪れるユーザーが少ないと効果も見えにくくなります。まずはECサイト内で多く閲覧されているページから優先して改善することで、コンバージョン率を改善していきましょう。
きに
ECサイトのアクセス解析には、GoogleアナリティクスやGoogleサーチコンソールなどの解析ツールが便利です。顧客の思考や心理を予想しながら、サイトデザインやサイト構成の課題を見つけていきましょう。
顧客が使いやすいサイト構造にする
操作性が悪く分かり難いサイトでは、コンバージョン率に影響します。
例えば、以下のような方法で改善することも効果的です。
- サイト内検索の設置、商品をカテゴリ毎に表示するなど、商品を探しやすくする
- 購入ボタンを分かりやすい位置に配置する、常時表示されるようにする
- 一人ひとりに適した関連商品を表示して、次の購買行動を促進する
これらの工夫は、顧客満足度を上げて離脱を防ぐ効果があるため、リピーターを作りやすいといった利点もあります。
スマートフォンに最適化する
近年のECサイトは、スマートフォン表示への対応が必須です。
令和3年度電子商取引に関する市場調査報告書 によると、2015年から年々スマホECの市場規模は増加しており、物販ECサイトの市場規模は13兆2,865億円のうち、スマホ経由で購入された商品の総額は6兆9,412億円と、物販売上の半数以上がスマホ経由の売上であることから今後も同様の傾向が続くと考えられます。
ECサイトを改善する際は、スマートフォン表示を最適化し、スマートフォンユーザーが利用しやすいサイトを目指しましょう。PCとスマートフォン両方で最適化するレスポンシブ対応が効果的です。
4【客単価・リピート率】ECサイトの課題を解決する方法
客単価やリピート率を改善する方法は、以下の3つです。
- クロスセル・アップセルを提案する
- メルマガ・LINE公式アカウントを利用する
- 動画やライブ配信を利用する
クロスセル・アップセルを提案する
<クロスセルとアップセルの違い>
内容 | 商品例 | |
---|---|---|
クロスセル | 購入した商品に関連する商品を提案 | スマホを購入 → スマホケースや保護フィルムを提案 |
アップセル | 購入した商品よりも高額の商品を提案 | 単品でサプリメントを購入 → 継続購入プランを提案 |
クロスセルとアップセルを導入することで、客単価の向上やリピート率の向上が期待できます。商品や利用シーンによって施策は異なるため、販売したい商品やサービスに適したものを選びましょう。
メルマガ・LINE公式アカウントを利用する
メルマガやLINE公式アカウントから情報を発信することで、顧客側が自社商品を思い浮かべる可能性(想起率)も高まります。定期的に情報を発信できると、顧客側の記憶に残りやすい点もメリットです。
商品情報やお役立ち情報を発信して、知名度の向上を狙いましょう。LINE公式アカウントなら、顧客から寄せられた質問に回答できるため、密なコミュニケーションによる顧客満足度の向上も期待できます。
動画やライブ配信を利用する
ECサイトに動画を取り入れることで、客単価やリピート率の向上効果が期待できます。商品の魅力が直感的に伝わりやすいだけでなく、視聴者が実際に商品を使用したかのような感覚になることもメリットです。
また、商品の使い方説明もライブ配信が適しています。視聴者に魅力が伝わりやすく使用イメージもつきやすいため、ライブ配信による通販(ライブコマース)の購入率は非常に高くなります。
ECの受注担当者・顧客対応担当者が抱える
お悩み “あるある”5選と解決策
5【作業ミス・人手不足】ECサイトの課題を解決する方法
ECサイトの課題である作業ミスや人手不足を解決する方法は、以下の3つです。
- 作業手順の平準化・マニュアル化
- システムの導入
- フルフィルメントのアウトソーシング
作業手順の平準化・マニュアル化
一人ひとり作業手順が異なると、作業効率が落ちるだけでなく、ミスが起きていないかどうかチェックすることも難しくなります。作業手順を見直して改善点を特定し、平準化・マニュアル化することがポイントです。
きちんとマニュアルが整備されていると、新人スタッフもすぐに戦力として業務に入ることができるため、教育の手間も省けます。
システムの導入
在庫管理システムや販売管理システムを導入することで、作業ミスも減り、業務全体を効率化することができます。さらに、一部の業務は自動化できるため、工数の削減や人手不足の解消にもつながります。ただし、システム導入にはコストがかかるため、必ず費用対効果を事前に確認しましょう。
フルフィルメントのアウトソーシング
徐々に注文が増え、顧客対応や発送業務、商品登録などのバックエンド業務が忙しくなり、販促企画などのコアな業務に専念できなくなった場合は、外部のプロへアウトソーシングすることも検討しましょう。
プロにアウトソーシングすることで作業ミスも減り、顧客満足度の向上も期待できます。空いたリソースで商品の認知度向上や商品企画、PRに集中することで、更なる売上アップを狙いましょう。
6ECサイトを成功させるポイント
商品やサービスを自社ECサイトから購入してもらうためには、顧客からの信頼獲得が重要です。以下3つのポイントを押さえましょう。
- 商品のメリット・デメリットを明示する
- 事例や口コミ・評判を載せる
- FAQやお問い合わせフォームを設置する
商品のメリット・デメリットを明示する
商品ページで商品を紹介する際には、メリットだけでなくデメリット(利用時の注意点など)も掲載しましょう。正確な情報を掲載することで、信頼の獲得やクレームの防止にもつながります。
事例や口コミ・評判を載せる
口コミや評判、実際に使用した顧客の事例を掲載することも効果的です。
実際に商品を使っていただいた顧客には、積極的に感想を聞いてみましょう。発売前の新商品の場合はモニターを募集するなど、事前にリアルな声を集めることも可能です。
また、購入者の感想をSNSに投稿してもらうのも1つの方法です。投稿が拡散されれば、予想以上の効果も期待できます。
FAQやお問い合わせフォームを設置する
オリジナル商品や新商品を発売すると、多くの質問が寄せられます。
事前に予想される質問をリストアップして、FAQを作成することも効果的です。
FAQは顧客の不安や疑問を解消できるだけでなく、離脱防止の効果も期待できます。また、FAQで解決しなかった質問や要望に応えるために、お問い合わせフォームも合わせて設置しましょう。
7まとめ:ECサイトの課題を適切な方法で解決しよう
ECサイトの売上がなかなか上がらない場合、まずはサイト運営の課題を洗い出すことが重要です。よくある課題として「集客力」「コンバージョン率」「作業ミス」などがありますが、課題によって対策も異なるため、まずは自社の課題を分析し改善施策を検討しましょう。
社内のリソースだけで改善が難しい場合は、アウトソーシングも視野に入れてみてはいかがでしょうか。
当社では、長年EC通販事業者向けに、ECサイト運用をはじめ、顧客対応や発送業務などのフルフィルメント業務を代行するサービスを展開しております。ECサイト運営の課題解決にお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。
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