物流におけるクレームとは、配送遅延や誤出荷などのトラブルに対する顧客から寄せられる意見のことをいいます。顧客側が困っているケースが大部分を占めるため、お詫びや解決策の提案などの対応を迅速に行う必要があります。
本記事では、物流のクレームでよくある事例や対処法などを解説します。
目次
物流業界の2024年問題で、
EC通販事業者がすべき3つの対策とは?
1物流のクレームとは?
物流のクレームとは、
「配送予定日から遅れる」「注文商品と別の商品が届く」といった配送や出荷などのミスやトラブルが起きたときに、顧客から寄せられるクレームのことを指します。
物流のクレームが発生すると、商品の再手配や交換といった対応にコストと手間がかかるどころか、顧客満足度の低下にも繋がります。そのため、クレームが起きにくい体制を整えながらも、万が一起きたときの迅速な対応が重要になります。
2よくある物流のクレーム事例
よくある物流のクレーム事例は、以下の4つが挙げられます。
- 配送の遅延
- 商品の誤出荷
- 商品の破損・故障
- 配送スタッフの対応
配送の遅延
配送の遅延は、物流クレームの中でもよく起こる事例です。製造遅延や出荷遅延などが原因で、商品の到着が遅れたときにクレームが発生します。予定日に届かないことへのストレスや、注文したものが到着しないといった損失を顧客側に与えるため、クレームに繋がります。
商品の誤出荷
「注文した商品と違うものが届いた」「数量が足りない」など、誤出荷におけるクレームも少なくありません。誤出荷には主に3つのパターンがあり、それぞれ原因を理解したうえで対策を講じることが求められます。
種類 | 誤出荷の内容 | 原因 |
---|---|---|
商品の誤出荷 | 届いた商品が購入商品と異なる | ・入荷・保管場所のミス ・色やサイズなどの取り違い ・検品時の見逃し |
数量の誤出荷 | 届いた商品の数量が購入した数量と異なる | ・数量の数え間違い ・単位の間違い ・検品時の見逃し |
宛先の誤出荷 | 購入した商品が誤った届け先に出荷されている | ・送り状の貼り間違い ・伝票の記載ミス |
誤出荷が起きると、正しい商品への交換や不足分の発送、返品などの対応が必要になります。再出荷や返品には費用がかかるため、結果的に物流コストの増加にも繋がります。
商品の破損・故障
商品が破損していたり、故障品が届いた場合も多くのクレームが発生します。
この場合、破損・故障した商品の返品や、新しい商品の発送が必要になり、交換対応にコストや時間がかかります。まずは、商品の状態から原因を分析し、責任の所在を明らかにしたうえで改善策を早急に講じる必要があります。
破損は保管状態や梱包、配送などが不十分であった場合に、故障は初期不良や動作確認不足などが原因で発生する場合が多いため、未然に防ぐことが可能です。そのため、出荷前の検品や保管・梱包業務の見直しは必ず徹底しましょう。
配送スタッフの対応
直接、顧客と接するのは商品を届ける配送スタッフですが、対応に不満があった場合は、自社ショップにクレームが寄せられるケースがあります。よくあるクレームは、以下のようなものが挙げられます。
- 態度が悪かった
- 商品の扱いが雑だった
- 時間通りに配達されなかった
- 置き配といった配送指示が守られなかった
「渋滞などで数分遅れた」「置き配の位置が分からず仕方なくインターホンを押した」など、さまざまな理由がありますが、顧客が感じたことはすべてクレームに繋がります。
自社で配送を行っている場合は、マナー研修などでスタッフの質を高め、配送業者に委託している場合は、細やかに連携することが求められます。
物流業界の2024年問題で、
EC通販事業者がすべき3つの対策とは?
3物流のクレームによる企業への影響
物流のクレームが発生すると、企業に以下のような影響を与える恐れがあります。
- 売上の減少
- ブランドイメージの低下
売上の減少
顧客離れ
配送の遅延や商品の誤出荷などが起きると、顧客のリピート率が減少し、既存顧客も離れる可能性があります。
利益圧迫
物流のクレーム対応に伴い、再発送や返送、正しい商品の仕入れなどの追加費用だけでなく、クレーム対応自体にも人件費がかかるため、積み重なると利益を圧迫します。
リソース不足
クレーム対応は最優先で行う必要があるため、通常業務のリソースを割かなければなりません。特に、商品開発や販売促進など、売上に直結する業務へのリソースに影響すると、売上が落ちる恐れがあります。
ブランドイメージの低下
ブランドイメージの低下によって新規顧客やリピーターの獲得が難しくなり、売上の低下につながり経営にダメージを与える可能性が高いです。
近年では、SNSを利用するユーザーが増え、些細なミスでも拡散されるリスクがあります。予期せぬ拡散で企業価値を下げる恐れがあるため、クレームの予防や迅速な対応が重要です。
4物流のクレーム対処方法
物流のクレームが起きた場合は、以下3つの方法で対処しましょう。
- 初期対応を迅速に行う
- 事実確認を行い責任の所在を明らかにする
- お詫びと解決策を提示する
初期対応を迅速に行う
クレームが起きた際は、顧客の待ち時間を最小限にすることが重要です。状況の整理や担当者への確認などに時間を要してしまうと、顧客のストレスや不満が激化する恐れがあります。
顧客には速やかに連絡し、お詫びを伝えたうえで、事実確認や解決策の提示を行いましょう。迅速にコンタクトを取ることによって、クレームの激化を防ぐことができます。
事実確認を行い責任の所在を明らかにする
クレームの内容に応じて、以下項目の確認がポイントです。
主な物流のクレーム内容 | 確認事項 |
---|---|
配送の遅延 | ・どのくらい遅延したのか ・遅延の連絡は事前にあったのか |
商品の誤出荷 | ・商品の内容や数量など何に誤りがあったのか ・正しい注文内容は何か |
商品の破損・故障 | ・どの部分が破損・故障しているのか ・開封後は使用していないのか |
配送スタッフの対応 | ・どのような対応だったのか ・スタッフからの対応はあったのか |
事実を確認したうえで、自社の物流部門やメーカー、配送業者など、どこに責任の所在があるのかを明らかにします。顧客にミスやトラブルの原因を伝え、解決策の提示へ進めましょう。
一方、クレームの原因が顧客側のミスや勘違いから生じるケースもあります。数量の入力ミスや住所の記載ミスなど、事実を共有し、適切な数量や届け先への変更といった対応を行いましょう。万が一、顧客の過失や言い掛かりが原因であれば、警察や保険会社など然るべき第三者への相談が必要です。
お詫びと解決策を提示する
クレームを寄せた顧客は怒りや不満で感情的になっているため、こちら側に非があった場合は、しっかりと謝罪の意を伝えることが大切です。顧客が求めているのは謝罪だけではなく、納得できる補償であるため、適切な解決策の提示も求められます。
クレームの内容に応じた解決策の提案は、以下のようなものが挙げられます。
主な物流のクレーム内容 | 解決策の一例 |
---|---|
配送の遅延 | ・速やかな配送の徹底 ・スタッフへの教育 |
商品の誤出荷 | ・出荷作業のミス防止の徹底 ・スタッフへの教育 ・正しい商品の再発送、直接お届け ・誤った商品の返送、直接引き取り(返送料は自社負担) |
商品の破損・故障 | ・初期不良や保管の徹底 ・スタッフへの教育 ・新品の再発送、直接お届け ・破損、故障した商品の返送、直接引き取り(返送料は自社負担) ・返金対応(交換を希望しない場合) |
配送スタッフの対応 | ・スタッフへの教育 |
物流業界の2024年問題で、
EC通販事業者がすべき3つの対策とは?
5物流のクレームを防止する方法
物流のクレームは、まず起こさないことが重要です。クレームを防止するためには、以下4つの方法を実践してみましょう。
- 業務フローやマニュアルを作成する
- スタッフの教育を徹底する
- クレーム内容と防止策を共有する
- 物流をアウトソーシングする
業務フローやマニュアルを作成する
フローの簡略化や図式化によって業務の流れが明確になると、ピッキングミスや検品ミスなどを防止でき、クレームの予防に繋がります。マニュアルを統一することで、誰がどの作業を担当しても同じ水準で実施できるようになり、属人化によるミス防止にも効果的です。
業務フローとマニュアルは一度作成して終わりではなく、運用方法の変更に応じて更新し、常に最新の状態でスタッフに周知しましょう。
スタッフの教育を徹底する
クレームの原因になりやすいミスに対して、以下のような教育を実施しましょう。
【教育内容】
- 商品入荷時に正しい棚(ロケーション)に保管する
- ピッキング時に色やサイズ、数量などを必ず確認する
- 検品時に注文内容と必ず照らし合わせる
- 発送時に伝票の貼り間違いや記載ミスがないかを必ず確認する
また、自社で配送まで担う場合は、接客やマナーの教育を徹底しましょう。日頃から丁寧な対応ができると、配送に伴うクレームを予防できます。
クレーム内容と防止策を共有する
たとえば、商品の誤出荷が起きた場合は、その内容を共有したうえでピッキング作業やロケーション管理などを見直しましょう。 再発を防ぐとともに、クレーム防止の意識を高めることができ、クレームの発生率を下げることができます。
物流をアウトソーシングする
自社のノウハウやリソース不足が原因で物流のクレームが発生している場合は、物流のアウトソーシングを検討しましょう。
物流アウトソーシングとは、自社の物流機能を代行会社に委託することで、倉庫内の業務を委託できます。業務の人手を確保できるだけではなく、物流のプロによる質の高い業務を期待できるため、クレームに繋がるようなミスやトラブルの削減につながります。
6物流のクレームを運用改善に活かすことが重要
クレームが寄せられたとき、顧客対応ももちろん大切ですが、物流の運用体制の改善にも活かすことが重要です。
顧客からのクレームは、自社における物流の課題に直結するため、より良い運用体制にブラッシュアップする足掛かりになるでしょう。
たとえば、配送遅延が多い場合には、出荷業務の遅れが原因の1つと考えられるため、ロケーション管理の見直しやピッキングの効率化などを実施することで改善につながります。
物流のクレームを1つ1つ真摯に受け止め、運用改善に活かすことで、クレームを削減し、顧客満足度の高いサービスを提供できるようにしましょう。
7まとめ:物流のクレームに正しく対処し予防を徹底しよう
物流のクレームは、配送の遅延や誤出荷、商品の破損・故障など、あらゆる原因によって発生します。クレームによるリピート率やブランドイメージの低下によって、売上に影響する懸念もあるため、予防と発生時の対応は欠かせません。
業務フローやマニュアルの整備、社内教育の徹底などが効果的ですが、自社のノウハウやリソース不足が考えられる場合は、物流のアウトソーシングを検討してみてはいかがでしょうか。
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