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コールセンターのKPIとは?必要な指標や設定するポイントを解説

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コールセンターのKPIとは

コールセンターのKPIとは、目標達成の状況を測るために必要な指標です。全体目標であるKGIを達成するプロセスを明確化かつ効率化し、非常に重要な役割を担います。

KPIの設定や管理が適切でなければコールセンターの目標達成が難しいだけでなく、顧客満足度の低下を招く恐れがあり、注意が必要です。

本記事では、コールセンターのKPI、設定に必要な指標やポイントを解説します。

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コールセンターのKPIとは

コールセンターのKPIとは、全体目標であるKGIの達成状況を測るための中間目標であり、日本語で「重要業績評価指標」と訳されます。

コールセンターのKPI(イメージ)

KPIは単独で用いるのではなく下記のように上から順に階層化し、それぞれに適した指標と数値目標を設定し業務改善を進めます。

KPIは、組織だけでなく個人の目標達成の際にも有効です。

名称 意味 概要
KGI(Key Goal Indicator) 経営目標達成指標 最終的な到達目標
KFS(Key Factor for Success) 重要成功要因 KGIを達成するための方策
KPI(Key Performance Indicator) 重要業績評価指標 中間指標
サブKPI サブ重要業績評価指標 KPIに到達するために必要な
細かい指標

KPIの設定が必要な理由

KPIの設定は、KGI達成のための方向性を明確化・効率化するために必要です。
KPIを設定することで、下記のメリットが生まれます。

  • KGIの達成状況を定量的に測定できる
  • KGIの達成状況が明確化される
  • 業務プロセスの改善が容易になる

KPIはKGIを分解して設定するため、KGIの達成状況の定量的な測定を可能にします。具体的な数値を測定できる指標を設定することで、達成状況が明確化されるのもメリットです。

KPIの状況を見て改善が必要な際は、具体的な数値があることで修正に取り掛かりやすくなるため、業務プロセスの改善が容易になります。

KPIとサブKPIの違い

KPIを分解して設定した指標がサブKPIであり、KPIの副次指標として活用します。

KPIを「SL(サービスレベル)を90%にする」に設定した例

  • KGI:顧客満足度の向上
  • KPI:SL(サービスレベル)を90%にする
  • サブKPI:応答率を90%にする・放棄率を0%にする

オペレーターが応答できた数の中には、即時対応できたコールと3分以上待たせてしまったコールが含まれているため「顧客がどれだけ待たされたのか」は測定できず、KPIには設定しません。

一方SLは、設定した時間内に応答できたコールの割合を示すため、顧客にとっての電話のつながりやすさが明確化されます。この場合のサブKPIは(KPIであるSLを向上させるための)副次的要素である応答率と放棄率を設定します。

コールセンターのKPIツリー例

コールセンターのKPI達成には、一連の流れを視覚化するツリーの作成が必要です。下図を見ると下の階層に移るにつれて、指標がより具体化されていることがわかります。

コールセンターのKPIツリー(イメージ)

管理者には階層ごとに適切な指標を選び、現実的な目標数値を設定するスキルも求められます。

1人ですべての管理を担うのは難しいため、チームで取り組むことが理想です。


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コールセンターのアウトバウンドのKPI一覧

コールセンターのアウトバウンド(発信業務)におけるKPI・サブKPIは、直接売上につながります。アウトバウンドに関連する重要指標の例は、以下の通りです。

指標 概要
架電数 対象の顧客に電話をかけた回数
コンタクト率 対象の顧客に電話をかけて、つながった割合
【計算式】コンタクト率 = つながった件数 ÷ 架電数
成約率 対象の顧客に電話をかけて、成約できた割合
【計算式】成約率 = 成約件数 ÷ 架電数
ミス発生率 顧客への応対の内案内不足や間違いがあった件数の割合
【計算式】ミス発生率 = ミス件数 ÷ 応対したコール数
ATT(平均通話時間) 顧客との通話時間の平均値
【計算式】ATT = 顧客との通話時間の合計 ÷ 応対したコール数

コールセンターのアウトバウンドとは、コールセンターから顧客へ電話をかける業務です。
新商品やサービスの案内を行うことで顧客の増加を目指すとともに、売上アップを狙います。

コールセンターのインバウンドのKPI一覧

コールセンターのインバウンド(受信業務)のKPIは、以下4つの大きなカテゴリに分類されるので、それぞれに対応するKPIとサブKPIを設定しましょう。

  • 応対品質
  • 生産性・効率性
  • CS(顧客満足度)
  • オペレーターのマネジメント

コールセンターのインバウンドとは、顧客からの電話に対応する業務です。顧客は商品やサービスに対して疑問や不満を抱いており、それを解消することでCSが高まります。
CSが向上するとサービスや商品、提供元への関心が高まるため、アウトバウンドよりも間接的ではありますが、売上に貢献できる業務です。

コールセンターの応対品質に関するKPI

コールセンターの応対品質に関するKPIおよびサブKPIを4つ紹介します。適切な指標を選び、業務の改善を進めましょう。

コールセンターの応対品質(イメージ)
  • SL(サービスレベル)
  • 応答率
  • 放棄率
  • ASA(平均応答速度)

SL(サービスレベル)

SL(サービスレベル)は、コールセンターへのすべての入電数に対して、設定した時間内に応対できたコール数の割合を意味します。SLを測定することで電話のつながりやすさを測定することが可能です。応対品質に関するKFS(重要成功要因)を「電話のつながりやすさ」に設定した場合、KPIになり得ます。

【SLの計算式】
 SL = 設定した時間内に応対できたコール数 ÷ すべてのコール数

応答率

応答率は、コールセンターへのすべての入電数に対して、応対できたコール数の割合を意味します。SLのように、顧客にとっての電話のつながりやすさを測定できないため、KPIではなくサブKPIとして活用します。

【応答率の計算式】
 応答率 = 応対できたコール数 ÷ すべてのコール数

放棄率

放棄率は、コールセンターへのすべての入電数に対して、応答できずにあふれてしまった放棄呼の割合を意味します。放棄率が高いと顧客の不満やクレームが増えるため、0%を目指すのが理想です。

【放棄率の計算式】
 放棄率 = 放棄呼の数 ÷ すべてのコール数

ASA(平均応答速度)

ASAは、Average Speed of Answerの略であり、平均応答速度を意味します。平均応答速度とは、顧客からのコールに対して応答するまでの時間平均です。ASAが20秒前後になるよう応答することで、顧客にとっての電話のつながりやすさと応対品質向上を目指します。

【ASAの計算式】
 ASA(平均応答速度) = コールに応答するまでにかかった時間の合計 ÷ すべてのコール数

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コールセンターの生産性に関するKPI

コールセンターの生産性に関して、KPIおよびサブKPIを3つ紹介します。

コールセンターの生産性KPI(イメージ)
  • 稼働率
  • AHT(平均処理時間)
  • CPC(電話のコスト)

稼働率

稼働率は、オペレーターが勤務時間内で顧客応対やコール処理にあたった時間割合を意味します。80~85%が適正であり、適正値を外れた場合はオペレーターの配置や業務量の調整が必要です。

【稼働率の計算式】
 稼働率 =(通話時間 + 保留時間 + 後処理時間 + 電話の待機時間)÷ 業務時間 × 100

AHT(平均処理時間)

AHTは、Average Handing Timeの略であり、平均処理時間を意味します。
平均処理時間とは、オペレーターが1コールに対してかけた時間と後処理時間の合計の平均値です。AHTは短縮を目指すべきですが、短縮しすぎると応対品質の低下やミスを招くため適正数値を目指すことが大切です。

【AHTの計算式】
 AHT(平均処理時間)=(通話時間 + 保留時間 + 後処理時間)÷ 対応したコール数

CPC(電話のコスト)

CPCは、Cost Per Callの略であり、1コールあたりに発生するコストを意味します。
コストには、オペレーターを含むコールセンター労働者の人件費や設備維持費、システム使用料などを含みます。ただし自社の課題に応じて盛り込むコストは取捨選択して構いません。

CPCは、コストの指標であるため低く抑えるのが理想ですが、他の指標とは異なり適正の目安がありません。自社の実態に合った数値を目指すことでコスト削減が可能となり、生産性アップにつながります。

【CPCの計算式】
 CPC(電話のコスト)= コストの合計 ÷ 対応したコール数

コールセンターのCS(顧客満足度)に関するKPI

コールセンターのCS(顧客満足度)に関する指標は、大きく分けて3つあります。

コールセンターのCS(顧客満足度)KPI(イメージ)
  • C-SAT調査(顧客満足度スコア)
  • NPS調査(顧客推奨度)
  • CES(顧客努力指標調査)

C-SAT調査(顧客満足度スコア)

C-SATは、Customer SATisfactionの略であり、顧客満足度を調査するオーソドックスな手法です。顧客に対してさまざまな手法を使ったアンケート調査を行い、顧客満足度を測定します。数値を取得できるため、KPIに設定しやすい特徴があります。

<C-SAT調査のさまざまな手法>

  • プッシュボタン式
  • インターネット式
  • 郵送式

NPS®(顧客推奨度)

NPS®は、Net Promoter Scoreの略であり、提供サービスや商品に対する顧客の推奨度を示す指標です。点数に応じて顧客を3種類に分類し、サービスや商品の改善に活用します。

点数(10点満点) 分類 概要
9~10点 推奨者 サービスや商品に好印象を抱き、周囲へ勧める確率が高い顧客
7~8点 中立者 サービスや商品に悪い印象は抱いていないが、
周囲へ勧めるほどではないと考えている顧客
0~6点 批判者 サービスや商品によい印象を抱いておらず、
周囲へ勧める確率が低い顧客

【NPS®の計算式】
 NPS® = 推奨者の割合 ‐ 批判者の割合

CES(顧客努力指標調査)

CESは、Customer Effort Scoreの略であり、顧客の不満足度を示す指標です。顧客がサービスや商品を利用や理解のために、どれくらいの努力が必要だったかという観点で評価をしてもらいます。CESによって顧客の不満足度がわかるため、サービスや商品の改善点を明確化することが可能です。

点数(7点満点) 分類 概要
1~2点 満足 サービスや商品の利用や理解に努力を要さず、満足している
5~7点 不満足 サービスや商品の利用や理解に努力を要し、不満がある

【CESの計算式】
 CES = 満足の割合 ‐ 不満足の割合

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コールセンターのマネジメントに関するKPI

コールセンターのマネジメントに関して、KPIおよびサブKPIは次の3つです。

  • 欠勤率
  • 離職率
  • ES(従業員満足度)

欠勤率

欠勤率は、オペレーターの予定されている勤務日の合計に対して、欠勤した日の合計の割合を意味します。働く環境が悪いと欠勤率が高くなり、応対品質の低下を招きます。定期的に測定し、必要に応じて改善が必要です。

【欠勤率の計算式】
 欠勤率 = 予定されている勤務日の合計 ÷ 欠勤した日の合計

離職率

離職率は、ある期間の中で離職したオペレーターの割合を意味します。離職率を定期的に測定する場合は、期間と測定日を事前に設定しておくことで、正確なデータ取得が可能です。コールセンターを円滑に運営するためには、オペレーターが定着しやすい環境を整備しましょう。

【離職率の計算式】
 離職率 = 離職した労働者の数 ÷ 離職者を含む労働者の全体数

ES(従業員満足度)

ESは、Employee Satisfactionの略であり、従業員満足度を意味します。ESが高まるとオペレーターの欠勤率および離職率が低下し、応対品質の向上につながります。

ESを向上させるためには、オペレーターの負担を減らす自動化や福利厚生の充実といった多様な施策が有効です。ESは、従業員満足度調査というアンケートによって測定することができるため、専門業者に委託するか自社で作成して実施しましょう。

コールセンターのKPIを正しく設定する方法

下記の3つを徹底することで、コールセンターのKPIを正しく設定することができます。

コールセンターのKPI設定(イメージ)
  • 課題を明確にする
  • 数値を適切に設定する
  • PDCAサイクルを回す

課題を明確にする

コールセンターの課題を明確にし、KPIの前にKGIおよびKFSを設定しましょう。

<コールセンターの課題例>

  • オペレーターによって応対品質が異なる
  • 電話のつながりにくい時間帯がある
  • コールセンターの生産性が低い

課題が明確になると、適切なKGIの設定が可能です。
「オペレーターによって応対品質が異なる」という課題を受けて、KGIを「応対品質を均一化する」と設定するなら、KFS・KPIと順に適切な指標をあてはめます。

数値を適切に設定する

数値を設定するときは「現実的に達成できる数値かどうか」「KGIの達成につながる数値か」という観点を守ると、目標達成がしやすくなります。

現在の数値からかけ離れた数値を設定すると達成が難しくなるため、現実的に達成できるかどうかは大切な観点です。しかし、KPIの数値が低すぎると、KGIの達成につながらない可能性があります。KGIの達成に影響を与えること、かつ達成が可能な数値の設定を心掛けましょう。

PDCAサイクルを回す

PDCAサイクルを回すことで、より効率的な業務改善が可能です。

PDCA コールセンターにおける例
Plan(設定・計画) KPIに「SL(サービスレベル)を90%にする」と設定
サブKPI「応答率を90%にする」と設定
Do(実践) 目標達成に向けて下記を実践
・オペレーターの能力別にコールを振り分ける
・入電数が多い時間にオペレーターを増やす
Check(測定・分析) SLと応答率を測定し分析する
Action(振り返り) 分析によって課題を明確化し改善案を考える

PlanからActionまでの一連の流れをくり返し行い、効率的に改善を進めます。スムーズにサイクルを回せるよう、データの取得や分析が容易なツールを活用しましょう。

10まとめ:コールセンターのKPIを適切に設定しよう

コールセンターのKPIは、最終的な到達目標であるKGIの達成状況を明確化してくれる中間目標です。単独ではなくKGIやKFS、サブKPIとともに階層化して適切に管理することで、目標達成への道しるべとなります。

KPIを含むすべての指標をPDCAサイクルで回す業務は1人では困難なため、チームで取り組むのが理想的です。しかし、小規模事業者やECショップでは、KPIの管理に回す人員が足りない場合もあるでしょう。

当社では長年の実績から培った知見とノウハウを活かし、適切なKPI設定とコールセンター運用をご提案いたします。コールセンター運営に関わる業務を一括でお任せいただけますので、まずは一度ご相談ください。

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