ロイヤルカスタマーとは、自社ブランドや商品、サービスに対して高いロイヤリティ(愛着)を持つ顧客のことです。
ロイヤルカスタマーが増えると、中長期的に安定した売上を確保できるだけでなく、新規顧客獲得のコスト削減や質の高いフィードバックを得られるなどのメリットがあります。
本記事では、ロイヤルカスタマーの概要やメリット、育成方法などを紹介します。
マーケティング担当者の方は、ぜひご参考ください。
目次
ECの売上アップに繋がる「多店舗展開」、
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1ロイヤルカスタマーとは
ロイヤルカスタマーとは企業が展開しているブランドや商品、サービスに対して高いロイヤリティ(愛着)を持つ顧客のことで、以下のような特徴があります。
- 自社ブランドに対するロイヤリティが高く、競合商品に流れない
- 家族や友人など周りの人に口コミで自社商品を紹介してくれる
- 何度も繰り返し自社商品を購入し、売上に貢献してくれる
ロイヤルカスタマーが増えると、サービス離脱率や解約率を抑えられるため、中長期的な売上の向上が期待できます。そのため、現在多くの企業がロイヤルカスタマーを増加させる施策に注力しています。
優良顧客との違い
優良顧客とは、売上額や商品・サービスの購入頻度が高い顧客のことであり、ロイヤルカスタマーとの違いは「ロイヤリティの有無」です。
優良顧客の場合、自社ブランドや商品に対するロイヤリティがないため、競合他社が魅力的なプロモーションや特典などの施策を行うと、乗り換える可能性があります。
しかしロイヤルカスタマーは、自社ブランドや商品を好んで購入しているため、簡単には競合商品に乗り換えません。
このように売上額や商品・サービスの購入頻度が高いだけでは、企業に対するロイヤリティが高いとは限らないため、優良顧客とロイヤルカスタマーは分けて考えられています。
2ロイヤルカスタマーを増やすメリット
ロイヤルカスタマーを増やすメリットには、以下の3点があります。
- 新規顧客獲得コストが削減できる
- 安定した売上が確保できる
- フィードバックの質が高い
新規顧客獲得コストが削減できる
ロイヤルカスタマーは、企業の商品やサービスに対し好印象を抱いているため、身近な人への紹介や、SNSで周囲に対して良い評価を伝える傾向が強いと言えます。
通常は、新規顧客を獲得するためには広告費などの販促コストがかかりますが、ロイヤルカスタマーによるクチコミが見込み顧客の購買行動の後押しにつながることも多いため、コストをかけずに新規顧客を獲得できます。
安定した売上が確保できる
ロイヤルカスタマーは、自社商品やサービスに対するロイヤリティの高さから購入に至っているため、競合へ乗り換える可能性が低く、継続購入が期待できます。
また、同ブランドの新商品にも興味を持つ可能性も高いため、購入単価やLTVの向上も期待でき、中長期的に安定した売上の確保が可能です。
フィードバックの質が高い
通常の顧客にアンケートを依頼しても回答が得られる可能性はあまり高くありませんが、ロイヤルカスタマーは自社のファンであるため回答率が高い傾向にあります。
繰り返し使っているからこそ開発側では気付けないような意見が多く、商品の開発や改善につながるような質の高いフィードバックを得ることができます。さらにこの内容を活かして商品やサービスの質を高めれば、より多くのロイヤルカスタマーを育成することができ、好循環が生まれます。
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3ロイヤルカスタマーの育成方法
現在の顧客をロイヤルカスタマーに育成する方法は、以下の3つです。
- ターゲットを絞り込む
- CX/UXを最適化する
- 顧客との接触機会を増やす
ターゲットを絞り込む
はじめに、LTVやNPS®のほかに以下項目でターゲットを絞る必要があります。
- 契約継続期間
- 購入頻度
- 購入金額・単価
- 利用頻度
- 顧客紹介の回数
これらの指標をもとに顧客分析を行い、自社の扱う商品・サービスの特性に合わせて、ロイヤルカスタマーになり得るターゲットを絞りましょう。
CX/UXを最適化する
顧客に対してよりよい体験を提供するために、CX/UXを最適化する必要があります。それぞれの概要は、以下の通りです。
名称 | 概要 |
---|---|
CX(Customer Experience) | 商品やサービスの購入・利用の前後も含む、一連の顧客体験 |
UX(User Experience) | 商品やサービスをユーザーが利用する際に感じる体験や感情 |
たとえば、契約時の対応や商品購入後のフォローなどのタイミングでよりよい顧客体験を重ねることで、顧客満足度が向上しロイヤリティが高まります。
商品やサービスの質がどれだけ高かったとしても、CXやUXが適切でない場合はロイヤルカスタマーを育てることは難しく、逆にロイヤリティが低下する可能性もあります。
顧客との接触機会を増やす
顧客のロイヤリティを上げるためには、商品購入時だけでなく購入後のサポートも行い、適切なタイミングでコミュニケーションを取る必要があります。
ただし、顧客が必要としていない情報を提供し続けてしまうと嫌悪感を示されてしまうため、ニーズに合わせたコミュニケーションを取りましょう。
ターゲット分析の際に得た情報や問い合わせの履歴、アンケート結果などをもとに顧客のニーズを判断し、適切な対応を行うことでロイヤリティの向上が期待できます。
4ロイヤルカスタマーを育成するためのマーケティング戦略
ロイヤルカスタマーを育成するためのマーケティング戦略には、以下の3つがあります。
- CRM
- One to Oneマーケティング
- 2ステップマーケティング
CRM
CRMとは顧客関係管理という意味の言葉であり、顧客と積極的に関係を構築し信頼を生み出すための施策です。
CRMを行うと、顧客のニーズに合わせ適切なタイミングでアプローチが可能となり、顧客満足度の向上が期待できます。
One to Oneマーケティング
One to Oneマーケティングは、顧客一人ひとりに合わせて施策を行うマーケティング手法であり、ロイヤルカスタマーの育成に向いている戦略です。
One to Oneマーケティングの手法には、以下のようなものが挙げられます。
手法 | 概要 |
---|---|
リターゲティング広告 | 一度自社のWebサイトに訪問した閲覧者を追跡して、他のWebサイト上で広告を表示させる手法 |
レコメンデーション | 購入した商品の履歴をもとに、Webサイト側は購入した商品に類似したものをおすすめとして提示する手法 |
メール配信・DM送付 | 閲覧履歴のある商品のお得なキャンペーン情報などを送る手法 |
しかし、情報を提供し続けるだけでは顧客に嫌悪感を示されてしまう恐れがあるため、ニーズに合わせて適切なアプローチを行うことが大切です。
2ステップマーケティング
2ステップマーケティングとは、顧客に商品の「お試し段階」を踏んでから購入してもらうマーケティング手法であり、以下のような事例が挙げられます。
- サンプル商品を使用してもらってから商品を購入する
- 無料利用期間を経てから契約してもらう
このようにサンプルや無料期間を設けることで商品やブランドとの接触回数が増え、保有効果を生み出すことができます。これにより商品やブランドへのロイヤリティも高まるため、さらなるLTVの向上が期待できます。
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5顧客のロイヤリティを確認するための指標
顧客のロイヤリティを確認するための指標には、以下の3つがあります。
- LTV
- NPS®
- 顧客満足度
LTV
LTV(顧客生涯価値)とは、1人の顧客が取り引きを始めてから終わりまでの期間を通じて、企業や店舗にもたらす損益を累計して算出したマーケティングの成果指標のことです。
購入単価や購入頻度が高く、長期的に自社商品やサービスを利用している顧客はLTVが高くなります。
NPS®
NPS®(Net Promoter Score)とは、顧客が企業にどれくらいロイヤリティがあるかを判別するための指標です。
顧客に対して、特定の商品やサービスを他人にすすめたい推奨度という内容のアンケートを行います。具体的には、0~10までの11段階で評価をしてもらい、以下の3つに分類をします。
批判者 | 0~6点 |
---|---|
中立者 | 7~8点 |
推奨者 | 9~10点 |
NPS®の点数が高い推奨者はロイヤルカスタマーと判断ができ、この層の購買履歴やニーズを分析してアプローチすると、ロイヤリティを高めることが可能です。
また、中立者や批判者と推奨者の違いを分析することで、どのようなアクションをするとロイヤリティを高められるかが判断できるため、顧客に合わせて適切なアプローチをしましょう。
顧客満足度
顧客満足度は商品やサービスに対する満足度であり、高ければ自社商品やサービスに対して良いイメージを持っていることになるため、ロイヤリティの高さを裏付けることが可能です。
顧客満足度とNPS®はどちらもロイヤリティを知るために使われますが、将来的な収益につながる可能性の有無に違いがあります。顧客満足度は現在の個人の満足度のみである一方、NPS®はさらに第三者への推奨など「将来の収益につながるか」を判断することができます。
顧客満足度とNPS®を組み合わせて使うことで、現在から将来までのロイヤリティを確認することができ、今後の施策立案に役立つでしょう。
6ロイヤルカスタマーを分析する方法
ロイヤルカスタマーを分析する方法には、以下の2つがあります。
- RFM分析
- CPM分析
RFM分析
RFM分析は、以下の3つの指標から顧客のランクを分ける方法です。
- Recency (最終購入日)
- Frequency(購入頻度)
- Monetary (購入単価)
これらの情報をもとに顧客を以下の4つに分類し、それぞれに適切な対応を行います。
- 優良顧客
- 新規顧客
- 離反顧客
- 休眠顧客
購入頻度が高い優良顧客を見つけることは可能ですが、ロイヤリティまでは図れないため、他の指標と組み合わせてロイヤルカスタマーを判断する必要があります。
CPM分析
CPM分析とは、顧客ポートフォリオマネジメントとも呼ばれており、RFM分析の3項目に「顧客の在籍期間」を加えて細かく分類をする方法です。4つの要素から顧客を10通りに分類し、それぞれに適したアプローチを行うことでロイヤルカスタマーを分析することができます。
CPM分析では顧客の在籍期間がわかるため、現役層が多ければ売上が安定しており、離脱者が増えている場合にはアプローチ方法を変えるなどの対応も可能です。
RFM分析では把握できない細かさで顧客を分析できるため、より丁寧なアプローチができるようになります。
7まとめ:ロイヤルカスタマーを増やして中長期的な売上UPを
ロイヤルカスタマーとは、自社ブランドや商品、サービスに対してのロイヤリティが高い顧客のことです。継続的に商品を購入してくれるだけでなく、周囲の人に良い口コミを広めてくれる存在でもあります。
ロイヤルカスタマーが増えると安定した売上を確保できることに加え、商品の開発や改善に活かせる質の高いフィードバックを得ることができます。そのため、ロイヤルカスタマーを育成し、適切なマーケティング戦略を策定しましょう。
ECの売上アップに繋がる「多店舗展開」、
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