今やECサイトは広く浸透しており、コロナ禍の外出自粛でその需要は一気に拡大しました。EC通販事業者にとっては、さらなる業績向上への追い風が吹いているといえます。
その一方で、注文の増加によって顕在化した課題に頭を悩ませている企業も多いのではないでしょうか。特に、EC通販の出発点である受注処理の確実化・効率化は、受注拡大と顧客満足度の向上を目指す上で避けては通れない課題です。
本記事では、受注処理の業務の流れと効率化のための具体的な取り組み方を中心に解説します。
目次
ECの受注担当者・顧客対応担当者が抱える
お悩み “あるある”5選と解決策
1受注処理とは
受注処理は、消費者の注文を受けてから商品が消費者の手元に届き、売上計上するまでのプロセス全体を指す言葉です。
具体的には、注文内容の確認や在庫の確認、消費者の信用情報の確認、代金の決済処理、入金管理、商品の発送、配送完了の通知、売上計上などがあります。
こうした作業に付随して、注文書や納品書といった各種帳票の発行や、消費者からの問い合わせ対応などの業務も発生します。さらに、期日までに消費者からの入金がない場合には、請求漏れがないことを確認した上で消費者に督促の連絡をしなくてはなりません。
消費者側から返品希望がある場合は、自社が設定している返品の条件に合致するかどうかを確かめ、問題がなければしかるべき手続きをとることも受注処理の一環です。
このように、受注処理と一口にいってもその範囲は広く、業務の内容は多岐にわたります。しかも、その作業一つひとつの正確性や処理速度が顧客満足度に直結するため、担当者は細心の注意を払わなければなりません。
商品発送の通知が遅い、入金しても決済完了の通知がない場合などは、消費者は企業に対して不信感を抱く可能性があります。受注処理の精度・速度を上げることは、企業への信頼感と安心感につながるのです。
2受注処理の流れ
受注処理には、さまざまな作業があります。注文が入った段階から始まる受注処理業務の流れについて、順を追って見ていきましょう。
1. 注文の受付
消費者から注文が入ると、ECサイトのシステム内で受注データが作成され、取り込まれたデータをもとに注文書が作成されます。ショップや企業ごとに設定された締め切り時間までの受注分を「当日分」として扱い、受注処理をするのが一般的です。
2. 入金確認
注文があっても代金の支払いがなければ、企業は利益を上げることができません。そのため、商品の発送前に代金の決済状況の確認を行います。振込による入金の場合、確認する事項は下記のとおりです。
<振込入金の場合の確認事項>
- 振込名義
- 入金日
- 請求金額と振込金額が一致しているかどうか
同一の振込名義から複数の振込が行われている場合、注文ごとに振り込まれているのか、振込金額の総額が注文全体の総額と一致しているのかについてもチェックが必要です。
振込入金の場合、確認には手間と時間がかかりますが、クレジットカード払いの場合は、クレジットカード会社を通じて与信管理や支払いが行われるため、入金確認について問題が起こるケースはあまりありません。
3. 発送準備
TMS(輸配送管理システム)では、トラックが1日に消費した燃料費などの経費管理や、運賃などの支払請求・入金管理も可能です。経理業務もTMSを中心に行うことによって、より一元的な情報管理が実現できます。
4. 発送作業
在庫を確保した後は、消費者からキャンセル依頼が来ていなければ、発送作業に移ります。
発送作業は、注文と照らし合わせながらピッキングし、検品・梱包をして配送業者に引き渡すまでの一連の作業です。商品の不備を含め、消費者に届けて問題ない状態かどうかを丁寧に確認してから梱包します。
企業の規模によっては、発送作業は受注処理担当者ではなく、倉庫スタッフが行うこともあります。その場合、初めて作業する倉庫スタッフが戸惑わないよう、煩雑な工程を省くことが重要です。作業を標準化するため、手順や注意事項はマニュアルで共有するといいでしょう。
5. 売上処理
商品の発送が完了したら、企業ごとに定めている売上計上基準に沿って、売上を計上します。売上計上のタイミングは、商品を出荷した時点、消費者が商品を受け取った時点など、企業によってさまざまです。
6. キャンセル・問い合わせ対応
受注処理業務には、消費者都合でのキャンセル・返品の受付とそれに伴う返金対応、問い合わせ対応といったイレギュラー業務も含まれます。キャンセル処理を行うパターンとしては、以下の3つが考えられます。
- 消費者から依頼があった場合
- 期日までに入金がなく、確認の連絡をしても未入金が続く場合
- 欠品で在庫が手元にない場合
いずれにせよ、処理を後回しにすると売上管理が煩雑になり、消費者の信頼を失うことにもつながるため、自社で決めた期限に従って速やかに受注・決済のキャンセル処理をしなければなりません。
消費者からの入金を確認した後にキャンセル依頼が来た際は、発送してしまうと商品の回収手続きが煩雑になります。発送処理の有無を確認し、未発送の状態であれば速やかにキャンセル処理をすることが重要です。
ECの受注担当者・顧客対応担当者が抱える
お悩み “あるある”5選と解決策
3受注処理の効率化が必要な理由
受注処理に分類される業務は多岐にわたり、正確性と迅速性が求められるという点で、負担の大きな作業だといえます。
さらに、注文内容が複雑だったり、欠品やキャンセルによって特別な対応が必要になったりすると、担当者にとって過剰な負担が発生してしまう可能性もあります。このような業務では、どうしても人的ミスが発生するリスクを避けることはできません。
さらに受注処理は、EC通販事業において消費者と企業の接点を担う業務であり、顧客満足度を左右するという意味でも重要です。そのため、EC通販事業者としては、受注処理に関わる担当者の作業を減らして効率化を図り、ミスをできる限り減らす必要があるのです。
4受注処理を効率化する方法
受注処理を効率化するには、金銭的な負担がかからないものを含め、さまざまな方法が考えられます。よく行われている方法としては、下記の3つが挙げられます。
- 業務フローを見直す
- 受注管理システムを導入する
- アウトソーシングを活用する
業務フローを見直す
受注処理の効率化のために最初に行うべき施策は、現行の業務フローの見直しです。
ミスが発生している、もしくは担当者が負担を感じている場合、業務フローに何らかのボトルネックがあると考えられます。フロー全体を見直し、すべての作業を洗い出して一つひとつを見直し、不必要な作業をピックアップしましょう。
例えば、下記のような特徴がある作業が見つかったら、改善が必要です。
<改善が必要な作業の特徴>
- ミスが多発している
- 必要以上の連絡やチェックが行われている
- 部署間の連携にタイムラグがある
- 作業が属人化している
これらについて、「うまくいっていない理由」を検討し、理想の業務フローを描き、担当者全員で共有しましょう。受注処理は仕組み化できる部分も多いため、業務フローを見直すだけで大きく業務効率が改善するケースもあります。
受注管理システムを導入する
受注管理システムは、受注管理から在庫管理、入金・請求管理、出荷管理まで、煩雑な受注処理を自動化できるシステムです。注文内容と在庫の照合や納期の回答、出荷指示といった作業をシステムに任せ、トラブルやイレギュラーへの対応に人員を集中できるようになるため、業務が効率化して正確性が上がります。
アウトソーシングを活用する
受注処理は、物流業務を専門に行う代行会社にアウトソーシングすることも可能です。
煩雑な作業を一任できるだけでなく、プロの手による高い業務品質が実現するのもアウトソーシングならではのメリットです。中には、問い合わせ対応など、イレギュラー業務も一貫して請け負う代行会社もあります。
社内で受注処理を担当する人員を最小限に抑えることにより、コア業務に集中できる人員配置が可能になります。アウトソーシングには、導入に際してそれなりの費用がかかることや、ノウハウが社内に蓄積しないといった注意点もありますが、受注処理はアウトソーシングを利用し続けると割り切って考えれば、メリットが上回る可能性が高くなります。
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お悩み “あるある”5選と解決策
5受注管理システム・アウトソーシング導入で失敗しないためのポイント
受注処理のフローは企業によって異なるため、導入に適した受注管理システムやアウトソーシングもそれぞれ異なります。
導入を決めたら前述したように、自社の業務フローを見直すことから始めましょう。自社の業務フローにおける問題点が不明瞭だと、システムやアウトソーシングを導入する目的や求める機能が曖昧になり、失敗につながる可能性が高いからです。
また、システム導入に関しては、せっかく導入しても既存の社内システムと連携できなければ、作業が二度手間になり最大限の効率化ができません。導入前に、既存システムとの連携についても確認しておかなければなりません。
6まとめ:受注処理はシステムやアウトソーシングで効率化へ
ECサイトの受注処理は多岐にわたり、注文が増えるほど人的ミスが増える可能性が高まります。信頼できる代行会社への委託やシステム化をすることで、ミスを軽減して担当者をコア業務に集中させることができます。その結果、顧客満足度が向上し、リピート増加へとつながります。
受注処理の見直しを検討している場合は、EC通販のバックヤード業務に豊富な実績があるスクロール360にご相談ください。受注処理の代行はもちろん、物流代行やEC運営支援も含め、さまざまな課題に合わせた最適な解決策をご提供します。
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