さまざまなデータを収集・整理・統合した後に行うデータ分析は、現場の勘に頼らないデータドリブン経営を行ううえで大変重要です。物流業界においても、自社の抱える課題の明確化、在庫管理の最適化を目的としたデータ分析が進んでいます。
本記事では、物流におけるデータ分析と活用の重要性を、メリットや事例を踏まえて解説します。自社の物流を最適化する方法としてご覧ください。
目次
物流業界の2024年問題で、
EC通販事業者がすべき3つの対策とは?
1物流にデータ分析・活用が必要な理由
物流現場では、スタッフが商品の在庫数・発送日などのデータを記録しているケースが多く、この膨大なデータを分析・活用することで、余剰在庫や不良在庫のような、重要な課題の改善につながる可能性があるため、データ分析は重要視されています。
最近では、物流現場のデータを自動で収集・管理できるITシステムが登場しており、
ビッグデータ分析によって最適な在庫管理が実現できるため、多くのEC通販事業者や物流会社が活用しています。
2物流におけるデータ分析・活用のメリット
物流現場のさまざまなデータを分析・活用することで、以下のメリットがあります。
- より正確な在庫の需要予測ができる
- 倉庫管理を効率化できる
- 配送業務を効率化できる
より正確な在庫の需要予測ができる
商品が発送されるまでの期間や販売個数の推移などのデータを分析することで、より正確な在庫需要の予測が可能です。データの傾向から、需要が大きく変動する時期を把握できると、その時期に合わせて商品の製造数量・在庫数量を事前に調整することが可能になります。
在庫を過剰に増やしすぎて余剰在庫や不良在庫を抱えてしまうことが大きな課題となっている場合は、物流データを分析・活用し、在庫管理の最適化を目指す取り組みが必要です。
倉庫管理を効率化できる
データを一元管理することで、在庫状況を可視化した倉庫管理の効率化が可能です。
たとえば、商品の保管場所をシステム上で検索できると、ピッキング作業時に商品を探す手間が省けます。
物流データを一元管理するためにはデータの読み取り作業が必要ですが、バーコードリーダーやRFIDなどを利用することで、素早くデータの読み取りが可能になります。最近では、画像認識AIで入庫する商品を認識し、自動でロケーション管理ができるシステムなどもあり、データの読み取り技術も進化しています。
配送業務を効率化できる
配送業務においても、以下のようなシステムでデータを分析・活用することでより効率的な作業を実現できます。
たとえば、輸配送管理システム(TMS:Transport Management System)は、配送量・配送先・輸送経路などのデータをもとに、最も効率的な配車数と配送経路を算出します。
配送量に関しては、倉庫管理システム(WMS:Warehouse Management System)と連携し、データ入力作業を不要とすることも可能です。
さらに輸送トラックにIoTデバイスを搭載することで、リアルタイムの配送状況(荷物の積載情報や配送場所、配送時刻など)のデータを収集できます。
これらのビッグデータを分析することで、より最適な輸送ルート・計画を提案することが可能になるだけでなく、トラブルが発生した場合も迅速に対応できるメリットがあります。
物流業界の2024年問題で、
EC通販事業者がすべき3つの対策とは?
3物流におけるデータ分析・活用事例
物流現場では、BIツールを活用して業務効率化を図る事例が多くあります。
BIツールとは、企業が持つさまざまなデータを分析・可視化できるソフトウェアで、経営判断や業務効率化に役立てることが可能です。
ここでは、以下のデータ分析・BIツールを活用した業務効率化の事例を紹介します。
- WMS(倉庫管理システム)
- 物流量予測システム
WMS(倉庫管理システム)
WMS(倉庫管理システム)とは、倉庫への貨物・資材・商品の入出庫データを一元管理できるシステムです。リアルタイムで在庫数や保管場所を確認でき、棚卸からピッキング作業までスムーズに行うことができます。
また、WMSに蓄積したビッグデータを分析し、在庫の需要予測の精度を上げることもできるため、物流会社だけでなくEC通販事業者も注目するデータ活用方法です。
物流量予測システム
物流量予測システムとは、物流会社に蓄積された配送データをもとに、AIが物流量を予測するシステムです。たとえば、ヤマト運輸は過去4年分の荷物の集荷・配送データをもとに、機械学習のアルゴリズムを用いて全国の配送センターで「いつ、どのくらい配送業務が発生するか」を予測するシステムを導入しました。
物流データの分析により事前に配送業務量を把握することができると、ドライバーと輸送トラックを適切に配置することができるようになります。
4物流におけるデータ分析・活用のポイント
物流現場でデータを分析・活用する際のポイント2点を解説します。
- 目的を明確にする
- 継続的に実施する
目的を明確にする
目的が定まらないまま、ただ漠然とデータを収集するだけでは、効果的な分析・活用をすることはできません。大量のデータ収集に時間をかけただけで終わってしまうことがないように、「どんな目的でデータ分析を行うか」を明確にすることが重要です。目的を明確にできると、収集するべきデータの範囲も明確になるため、適切な分析・活用が可能になります。
継続的に実施する
分析データをもとした施策は、実施しただけでは効果は測れません。効果測定をするためには、施策の前と後のデータを比較しながら具体的な変化を確認することが重要です。
その後も分析を継続的に進めることで、現状を常に把握しながらデータドリブンな意思決定・経営判断をすることが可能になります。また、市場やトレンドの変化を敏感に察知し、新しい施策も開始しやすくなります。
このように、データ分析は1回で終わりではなく、PDCAサイクルを回すことで高い効果を発揮します。
物流業界の2024年問題で、
EC通販事業者がすべき3つの対策とは?
5まとめ:物流現場にデータ分析を積極的に取り入れよう
分析データは自社の問題点を把握し、具体的な改善策を提案する場面や、経営判断の場面において重要な判断材料になります。
物流現場においては、商品の入出庫や配送状況など、現場に蓄積されたビックデータを分析することで、より正確な需要予測や在庫管理、業務効率化が可能になるため、データ分析の重要性はますます高まっています。
取り組みが可能な部分から、積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。
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