路線便とは、複数の荷主の商品をまとめて積載して輸送するサービスのことで、より低価格で商品を輸送できることが特長です。
しかし、活用方法を間違えると高額になるリスクがあるため注意が必要です。
本記事では路線便について、チャーター便との違いやメリット、料金の相場を詳しく解説します。路線便の活用方法を知ることで高効率な輸送を実現できるため、ぜひご覧ください。
目次
1路線便とは?
路線便とは、1台のトラックに複数の荷主の商品を積載し、決められた拠点とルートを経由して商品を輸送するサービスのことです。
「貨物自動車運送事業法」によると、路線便は「特別積合せ貨物運送」に分類され、第2条6項で以下のとおりに定義されています。
「特別積合せ貨物運送」とは、一般貨物自動車運送事業として行う運送のうち、営業所その他の事業場において集貨された貨物の仕分を行い、集荷された貨物を積み合わせて他の事業場に運送し、当該他の事業場において運送された貨物の配達に必要な仕分を行うものであって、これらの事業場の間における当該積合せ貨物の運送を定期的に行うものをいう。
(引用:平成元年法律第八十三号 貨物自動車運送事業法|e-Gov法律検索)
路線便の仕組み
路線便は拠点を経由する「中継輸送(リレー輸送)」を採用しており、以下の流れで商品を輸送することで作業が効率化され、運送会社は低価格での輸送を実現しています。
- 荷主による持ち込みや集荷により拠点Aにて、荷物を集約
- 拠点Aで商品をエリア別に仕分けし、お届け先最寄りの拠点Bへ輸送
- 拠点Bで商品を住所ごとに仕分けし、お届け先へ配送
- お届け先に商品が到着
なお、路線便は複数の荷主の商品を混載していることから「混載便」とも呼ばれています。
チャーター便・宅配便との違い
輸送方法の種類には他に「チャーター便」と「宅配便」があり、それぞれ路線便とは以下のように異なるため、目的やコストに応じて輸送方法を選ぶことが大切です。
種類 | 輸送方法 | コスト | 利用シーン |
---|---|---|---|
路線便 | 拠点経由 (法人向け) |
少量の商品を輸送する場合安い | ・輸送コストを抑えたい時 ・小口で輸送したい時 ・宅配便で扱えない商品を輸送する時 |
チャーター便 | トラックを1台分貸し切り、目的地まで直接輸送 (法人向け) |
割高になりやすいが、大ロットの場合はコストを抑えられる | ・到着日時を細かく指定したい時 ・路線便では取り扱えない商品を輸送する時 ・破損しやすい商品を輸送する時 |
宅配便 | 拠点経由 (主に個人向け・法人も可) |
少量の商品を輸送する場合安い | ・EC通販事業者が消費者に商品を配送する時 ・サイズの小さい商品を輸送する時 |
2路線便の料金相場
路線便の料金相場は以下の要素で決まります。
- 輸送距離
- 商品の重量やサイズ
- 輸送地域
- 配送時間
それぞれの要素に基づいた料金の相場は以下のとおりです。重量が大きく、輸送距離が長くなるほど、料金が高くなることがわかります。
重量(kg) | 距離50㎞の料金(円) | 距離100㎞の料金(円) | 距離200㎞の料金(円) | 距離300㎞の料金(円) | 距離400㎞の料金(円) | 距離500㎞の料金(円) |
---|---|---|---|---|---|---|
20 | 1,600~1,720 | 1,600~1,800 | 1,700~1,800 | 1,700~1,800 | 1,800~2,000 | 1,800~2,000 |
40 | 1,900~2,200 | 1,900~2,200 | 2,100~2,300 | 2,200~2,400 | 2,400~2,600 | 2,400~2,600 |
60 | 2,000~2,300 | 2,100~2,400 | 2,300~2,500 | 2,500~2,800 | 2,700~3,000 | 2,800~3,100 |
100 | 2,600~3,000 | 2,860~3,100 | 3,100~3,600 | 3,500~3,900 | 3,800~4,300 | 4,100~4,700 |
200 | 3,900~4,710 | 4,200~5,100 | 5,000~5,900 | 5,700~6,600 | 6,400~7,400 | 7,000~7,900 |
300 | 5,400~6,550 | 5,800~6,900 | 7,000~8,300 | 8,100~9,400 | 9,200~10,500 | 10,200~11,500 |
400 | 6,800~8,400 | 7,400~9,000 | 9,100~10,700 | 10,600~12,300 | 12,000~13,700 | 13,400~15,200 |
500 | 8,200~10,100 | 8,900~10,900 | 11,000~13,000 | 13,000~15,100 | 14,800~16,900 | 16,500~18,600 |
3路線便のメリット
チャーター便より優れている路線便のメリットとしては以下の3つが挙げられます。
- 輸送コストが低い
- 全国に輸送できる
- 小ロットでの輸送に適している
輸送コストが低い
路線便は重量やサイズで料金が決まるため、小口で商品を輸送する時には低コストで抑えることができます。チャーター便のようにトラック1台分を借りる必要がないため、1回の輸送で多額の費用を支払う必要がありません。
たとえば段ボール120個分の積載許容がある2tトラックで、半分以下の50個の段ボールを運ぶ場合、チャーター便だと空きスペースが生まれてしまうため無駄なコストがかかります。
このように大量の商品を輸送する必要があったとしても、チャーター便ではなく路線便がおすすめです。
全国に輸送できる
大手運送会社の路線便では物流センターや事業所など多くの拠点をもっているため、さまざまな地域への輸送が可能です。その運送会社が拠点を持っていない地域以外であっても、他の運送会社と提携している場合は全地域に対応できます。
チャーター便でも場所を細かく指定して輸送することはできますが、小口の場合は高額になるため路線便を利用しましょう。
小ロットでの輸送に適している
小ロットの生産をしている商品や輸送頻度の少ない商品の場合は、路線便がおすすめです。ただし、路線便は混載されている他の荷主の商品と接触して破損するリスクがあるため、少量でも破損しやすい商品を輸送する場合は適していません。
4路線便のデメリット
路線便は活用方法を間違えてしまうと反対にデメリットになる場合があるため、以下の3つを把握して輸送方法の選択を間違えないようにしましょう。
- 配達時間の調整が難しい
- 輸送トラブルが起こりやすい
- 大ロットでの輸送に適さない
配達時間の調整が難しい
路線便は配送ルートが決められており、他の荷主の荷物と一緒に輸送されるため配送時間を細かく指定できません。個人向けの宅配便のように「午前中」「12時~14時」とおおよその時間指定での輸送のみ対応しています。
また、直接目的地まで輸送されるチャーター便と異なり、路線便は拠点を経由するため輸送に時間がかかります。さらに荷下ろしや積載でトラブルが発生する可能性などを考慮し、納品に遅れがないようにするために計画を立てて輸送することが大切です。
輸送トラブルが起こりやすい
路線便はチャーター便と比べて商品が届くまでにさまざまな工程があり、以下のようなトラブルが起きるリスクがあります。
- 他の荷物との接触により破損
- 荷下ろしや積載時に作業スタッフが誤って商品を落とす
- 仕分け先を間違えて誤出荷する
- 同時刻に同じ荷主から受注依頼のあった商品が別々の日時に届く
これにより、破損した商品が輸送先に届くことや誤出荷により納期に遅れるリスクがあります。EC通販事業者の場合は消費者からの信頼低下につながるため、運送会社の選定は慎重に行いましょう。
大ロットでの輸送に適さない
路線便は小ロットの輸送に向いていますが、大ロットには適していません。路線便は商品の重量やサイズが大きくなるほど高額になるため、チャーター便よりコストが高くなる場合があるためです。
大量生産をしている商品の場合は、商品を満杯まで積載できるチャーター便の活用をおすすめします。トラックを1台貸し切ることは高額だと思われがちですが、商品1個あたりの輸送コストに換算した場合、路線便よりも安くなることがあります。
路線便かチャーター便どちらの方が安くなるかを確認するためにも、事前に運送会社に見積もりを依頼して金額を比較しましょう。
5路線便が利用されているシーン
路線便を活用したい方は、以下のシーンで活用することをおすすめします。
- 商品の輸送を急ぐ必要がなく、輸送コストを抑えたい時
- 宅配便では対応できない商品を輸送する時
- 特定の地域に商品を輸送したい時
路線便はチャーター便より配達に時間がかかりますが、低コストで輸送できるため急ぎで納品する必要がない時に最適です。
また、宅配便よりもサイズや重量、対応できる商品の種類の自由度が高いことから、宅配便で運べない商品を送る際も活用することができます。路線便は法人向けサービスですが、宅配便で配達できない商品がある場合には消費者向けの商品であっても路線便の活用が有効です。
EC通販事業者の場合は全国各地に商品を輸送できるよう、営業所が多数ある運送会社を選ぶことをおすすめします。
6まとめ:輸送したい商品に応じて路線便を利用しましょう
路線便は少量の商品を低コストで輸送する際に活用できるサービスで、全国各地に商品を輸送できることからEC通販事業者の方におすすめです。急ぎで商品を輸送する必要がない場合や宅配便では対応できない商品を運ぶ場合に活用しましょう。
ただし、商品を大量に輸送する際はチャーター便の方が低価格に抑えられる可能性があるため、一度運送会社に見積もりを依頼してから輸送方法を選定しましょう。
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