流通とは、生産者から消費者に商品が届くまでの一連の流れです。
EC通販業界や物流業界ではよく耳にする言葉ですが、流通の役割を正しく理解できていない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、流通の意味や役割、種類などをわかりやすく解説します。流通業務に携わる方は知っておきたい内容のため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1流通とは?
流通とは、消費者と生産者の間を取り持ち、商品やサービスを生産者から消費者へ円滑に移動させる流れのことです。
どのような商品も生産されて消費者に届くまで、倉庫での保管や、小売店への卸し、代金の支払いと、さまざまな過程を経ます。
この生産者から消費者間に発生する一連の流れが「流通」です。
今まで消費者は実店舗を介して生産者から商品を購入するのが主流でしたが、近年はEC通販市場の拡大により、生産者から消費者に直接流通が行われるケースも増えています。
流通はなぜ必要?
流通は消費者に商品を届けるために必要不可欠です。
すべての商品は、生産地と消費地の距離や、生産から消費までの時間差が存在し、流通ではその距離や時間差を埋めるために出荷や梱包、輸送などの業務を行います。つまり、流通の一連の流れがあって、初めて生産者から消費者へ商品が行き渡ります。
2流通の4つの機能とは
流通の機能は以下の4つです。
- 商流
- 物流
- 金流
- 情報流
流通は大きく「物流」と「商流」に分けられることが多いですが、最近ではさまざまな商取引が行われていることから、より細分化した「金流」と「情報流」も重要視されています。
ここからは、流通の4つの機能を詳しく解説します。
商流|商品の所有権の流れ
商流とは、生産者と消費者間で発生する商取引の流れです。
生産者と卸売業者、卸売業者と消費者それぞれの間で売買が成立すると、代金と引き換えにその商品の所有権が移ります。この代金や所有権の流れが「商流」です。
ただ、商品と所有権は必ずしも同じ動きではなく、小売店が商品を仕入先から預かる「委託仕入」のように動きが異なる場合もあります。
物流|商品そのものの流れ
物流とは、生産者から消費者へ商品が届く「モノそのもの」の流れです。
物流業務は商品を運ぶ「運用・輸送」だけでなく、以下の業務を指します。
- 運用・輸送
- 保管
- 包装
- 情報
- 流通加工
- 荷役
また輸送業務を担う運送会社と物流会社では、業務の対応範囲が異なります。
運送会社はトラックや船などで荷物を運ぶ役割に特化しているため、保管や梱包には対応していません。それに対し、物流会社は保管や流通加工、情報処理などモノが流れる一連の役割を担っています。
金流|お金の流れ
金流とは、原材料の仕入れから消費者へ商品が届くまでに発生する金銭の流れです。商流や物流は生産者から消費者へと流れますが、金流は消費者から生産者へと流れます。
商流は代金の支払いが完了してから発生するため、金流は商流の一部とも言えますが、必ずしも同じタイミングで発生するわけではありません。たとえば、月に一度、当月の納品分がまとめて支払われる「売掛」や、生産者と販売者で支払日が決められている場合は動きが異なります。
情報流|情報の流れ
情報流とは、生産者から消費者へ商品が届くまでの情報の流れです。情報流では、生産者から消費者へ商品の生産地・原材料などの情報を提供し、購入を促進します。
また、消費者から生産者へ決済に関する与信情報を求めることもあり、決済会社が与信チェックを行い、販売して問題ないか判断をします。情報流は他の機能と異なり、生産者と消費者の双方向に発生することが特徴です。
3流通が担う3つの役割とは?
流通が担う役割は、生産者と消費者間で生まれるさまざまなギャップを埋めることです。ここでは、流通が担う3つの役割をわかりやすく紹介します。
- 人のギャップを埋める
- 距離のギャップを埋める
- 時間のギャップを埋める
人のギャップを埋める
人のギャップとは、生産者と消費者間に発生する所有権や情報の隔たりです。どのような商品も生産者と消費者が異なるため、所有権や情報のギャップが発生します。このような人のギャップを埋めることが、流通の中でも「商流」と呼ばれる機能です。
具体的には、小売店と消費者間における商品と代金の交換や、商品の生産地・原材料、消費者の決済情報の提示などが挙げられます
距離のギャップを埋める
距離のギャップとは、生産者と消費者間の物理的な隔たりです。生産者と消費者が異なる場合、必ず距離のギャップが発生します。このような距離のギャップを埋めることが、流通の中でも「物流」と呼ばれる機能です。具体的には、トラックや飛行機による配送が挙げられます。
時間のギャップを埋める
時間的なギャップとは、生産する時期と消費する時期の隔たりです。商品の中には、季節やキャンペーンによって販売時期が異なり、生産時期と販売時期が異なるものがあります。
このような時間のギャップを埋めることが、流通の中でも「物流」と呼ばれる機能です。具体的には、倉庫や物流センターでの保管が挙げられます。
4流通の一連の流れ
人、距離、時間のギャップを埋めるため、実際に流通ではどのようなことを行うのでしょうか。ここでは、流通の流れを詳しく紹介します。
- 代金と引き換えに所有権が渡る(売買)
- 配送業者が商品を運ぶ(運送)
- 自社倉庫や貸倉庫に商品を入庫する(保管)
代金と引き換えに所有権が渡る(売買)
人のギャップを埋めるのが、代金と所有権の交換、いわゆる「売買」です。
代金を支払う代わりに所有権を消費者へ移動させることで隔たりを無くします。
また売買では、情報の共有も必須です。生産者は商品に関する情報を熟知しているのに対し、消費者は商品の存在すら知らない場合もあります。情報のギャップを埋めるためには、生産者は商品に関する情報を、流通過程で広告や宣伝によって情報伝達するのが効果的です。
配送業者が商品を運ぶ(運送)
距離のギャップを埋めるのが、配送業者によって商品が運ばれる、いわゆる「運送」です。
配送業者によって生産者から販売者・消費者に商品を届けることで、場所の隔たりを無くします。
また、距離のギャップを縮めるには、倉庫や物流センターを複数拠点に設けることも効果的です。複数拠点で商品を管理することで、注文を受けた後、最短距離から発送することができるため、最短期間、最短コストで届けることができます。
自社倉庫や貸倉庫に商品を入庫する(保管)
時間のギャップを埋めるのが、自社倉庫や貸し倉庫で商品を一時的に管理する、いわゆる「保管」です。消費者に届くまで適切な管理のもと品質や在庫を保つことで、時間の隔たりを無くします。
保管業務はただ商品をストックしておくだけでなく、消費者が必要としている商品を、必要なタイミングで出荷することが大切です。適切な保管が行われないと、倉庫内で不良品が発生したり、出荷遅延が発生したりと、消費者の信用を失いかねません。正しく商品のロケーション管理をすることはもちろん、適切な温度帯や環境で商品を保管することが重要です。
5流通のすべてのギャップを自社で埋めるのは困難
流通は、人、距離、時間のギャップすべてを埋める役割を持ちますが、近年のECシフトの加速やEC通販市場の急速な拡大により、十分に対応できていないEC通販事業者も少なくありません。
また、物流は「品質」「発送の正確さ」「速さ」が求められ、ひとつでも欠けると顧客満足度の低下やクレームにもつながります。物流品質を維持するためにリソースやコストが物流業務に集中し、商品開発や企画などのコア業務が疎かになってしまうケースも珍しくありません。物流業務の過度な負担は、多くのEC通販事業者が抱える大きな課題となっています。
流通のアウトソーシングもひとつの手段
自社で流通業務を行うことに限界を感じているEC通販事業者は、アウトソーシングを検討してみてはいかがでしょうか。
流通のアウトソーシングとは、専門業者に輸送や在庫管理など、流通にまつわる業務を委託することで、自社に専門知識やノウハウがなくても高品質でスピーディーなサービスを提供できるようになります。
中でも近年「3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)」と呼ばれる、荷主やメーカーの物流業務を第三者が包括的に代行する業態が重要視されるようになりました。3PLは物流業務の効率化だけでなく、物流戦略の立案など課題解決の役割も担ってくれるため、委託によって事業拡大を実現した企業も増えています。
6流通をアウトソーシングするメリット
流通をアウトソーシングすることで、以下の3つのメリットがあります。
- 業務効率化と品質向上
- コストの最適化
- 事業成長
ここでは、流通機能の1つである「物流」にフォーカスして詳しくご紹介します。
業務効率化と品質向上
流通機能の1つである物流をアウトソーシングすることで、業務効率化につながります。
3PL企業は、入庫から出庫業務において豊富な知識とノウハウを蓄積し、EC通販事業者それぞれの商材や販売計画に合わせて最適な方法で業務を進めます。そのため、以下のような物流業務の効率化が可能です。
- 誤出荷の削減
- 品質の向上
- 出荷スピードの向上
また、自社における物流業務の工数が減るため、人材を販路拡大やプロモーションなどのコア業務に配置できます。
コストの最適化
流通機能の1つである物流をアウトソーシングすることで、コスト削減にもつながります。
自社で物流を行う場合、閑散期でも繁忙期に合わせて人材を確保したり、倉庫の保管・作業スペースを確保したり、コストを最適化できません。物流をアウトソーシングすることで、物流にかかる設備費や人件費などの固定費を変動費化できるため、出荷ボリュームに合わせた最適なコストで運用できます。
事業成長
流通機能の1つである物流をアウトソーシングすることで、事業成長を加速できるメリットがあります。
自社で物流業務を行うと、リソースやキャパシティーに限りがあるため、対応できる出荷件数に限界があります。一方、波動対応が可能な物流企業には急な出荷増にも対応できる環境が整っているため、販売制限をかけることなく売上を伸ばすことが可能です。
また、プロのノウハウにより在庫管理が正しく行われるため、在庫過多や欠品による機会損失のリスクも防ぐことができます。
7まとめ:流通とは生産者と消費者間のギャップを埋めること
流通とは、生産者から消費者に商品が届くまでの一連の流れということが分かりました。
流通機能のうち、どの部分が自社の課題になっているのか正しく認識し、改善していきましょう。当社では流通機能の1つである物流に精通し、長年の実績から豊富な知識とノウハウを蓄積しています。物流に課題を感じていましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
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