3定管理とは、「必要な備品や在庫を決められた場所に置き、いつでも誰でも取り出せる状態にしておく」という物の整頓の考え方の1つです。物流現場ではこの3定管理を徹底することで、業務の効率化や生産性の向上が期待できます。
本記事では、3定管理の目的や進め方、メリットや改善が必要なケースを紹介します。
目次
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13定管理とは
3定管理とは、「定位」「定品」「定量」の3つの定(てい)の管理を意味し、在庫や備品の管理の5Sのうち「整頓」を実行するための重要な考え方です。
整理 | 不要な物を捨て、備品や在庫を必要最低限に整理する |
---|---|
整頓 | 備品や在庫を手に取りやすいように表示して並べる |
清掃 | 定期的に清掃を行い、備品や在庫の数・状態を点検する |
清潔 | 備品や在庫の状態をきれいに維持する |
しつけ | 整理・整頓・清掃・清潔の習慣をつける |
3定管理を行うと、在庫や備品の管理および使用がスムーズになるため、物流現場の作業効率や生産性の向上が期待できます。
定位(定位置)とは
「定位(定位置)」とは、備品や在庫の置く場所を定めることを指し、必要な物がどこにあるのか誰が見てもわかるようにすることです。
写真やラベルなどによる細かい表示とともに、エリアや棚ごとに何が置かれているのかがわかるように、エリアマップや棚割表の作成も合わせて検討しましょう。
定品とは
「定品」とは、定位に置く品目を定めることを指します。 備品や在庫の取り出しやすさを考えて、以下のように適切な場所に配置することが大切です。
【定品の考え方】
- 出荷頻度の高い在庫は、棚の手前に配置する
- 使用頻度の高い備品は、取り出しやすい高さや位置に配置する
- 同じ分類の物は近い場所にまとめて配置する
定量とは
それぞれの適切な量を定めることを指します。定量を定めることで、どれだけ物の数が減っているか把握できるようになるため、在庫発注や備品補充の際に、適切な数を一定に保つことができるようになります。
23定管理の目的
3定管理の目的は、主に以下の2つが挙げられます。
- 物流現場の業務効率化
- 適切な在庫管理
物流現場の業務効率化
3定管理によって備品や在庫をスムーズに見つけられるようになると、探す時間と手間が減り、業務の効率化が期待できます。
適切な在庫管理
在庫の量を視覚的に確認できることで、在庫不足の状態を未然に防ぎ、適切な在庫管理に役立ちます。また、定位・定品・定量により備品の紛失なども防止できます。
33定管理のメリット
3定管理の主なメリットは、以下の2つが挙げられます。
- 作業効率が向上する
- 紛失に気付きやすくなる
作業効率が向上する
3定管理によって作業に使う備品の位置が一目でわかるようになっていると、すぐに取り出し、(作業後は)迷わずしまうことができるため、作業効率が高まります。誰でも覚えやすくなっているため、教育の手間も省くことが可能です。
これを在庫管理に応用すると、ピッキングの手間と時間を削減することができます。3定管理によって物流現場の作業効率が上がることで、全体的な生産性の向上も期待できます。
紛失に気付きやすくなる
物流現場では、カッターやハサミといった道具の紛失は大問題です。万が一、顧客宛ての荷物に紛れるなどの異物混入が発生した場合は、大きなトラブルに繋がる可能性があります。
3定管理を行うことで、このような異物混入や紛失のトラブルを未然に防ぐことが可能です。
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43定管理の進め方
3定管理は、以下4つの手順で進めます。
- 定位(定位置)を決める
- 定品をする
- 定量を決める
- 定期的にチェックする
1. 定位(定位置)を決める
まずは、物を置く場所である定位を決めます。この段階では何を置くかは決めずに、スペースの確保に努めましょう。スペースを確保した場合は、床にテープなどを貼って定位だと明確にわかるようにします。必要に応じて、備品棚や専用の収納を設置します。
その後スペースを掃除して、物を置く準備をしましょう。
2. 定品をする
定位が決まったら、スペースに何を置くのか定品をします。使用頻度の高い物は、取り出しやすい高さや棚の手前に置くなど工夫を凝らしましょう。作業で使う備品は作業者の意見を聞き、使いやすさを考慮します。
例えば、ハサミやカッターを箱の中にまとめて入れておくと、数を確認する手間が増え、一目で把握できません。そのため、ハサミやカッター1つ1つの置き場所を確保し、見える化することが大切です。
定品とあわせて物の置き方のルールも定め、ルールを周知するためにも、エリアマップや棚割表、写真やラベルを活用して、誰もがわかるように表示しましょう。
3. 定量を決める
定量を決める際は、物の量の増減が一目でわかるようにします。管理しやすい適切な量を定めることで、3定管理の効果が最大限に発揮されます。
備品の場合は、作業人数や使用頻度に合わせて調節しましょう。
4. 定期的にチェックする
3定管理の環境が整ったら、適切に管理できているかを定期的にチェックします。
まずは事前に定めた定位・定品・定量によって、作業者にとって使いやすい環境が構築されているかを確認し、問題がある場合は見直します。
見直した後は、再度、適切に管理できているかを確認しましょう。
物は入れ替わることもあるため、時間の経過とともに変更が必要です。3定管理のチェックを継続して行い、流動的な物流現場を常に整頓された状態にできるように努めましょう。
53定管理のポイント
3定管理をうまく行うためには、以下4つのポイントを押さえることが大切です。
- 誰が見てもわかるように工夫する
- 物のまとまりを持たせる
- 必要最低限の物量に留める
- 定期的にルールを更新する
誰が見てもわかるように工夫する
定位を決めた際は、どこに何が置いてあるか、写真やラベルを活用して誰が見ても「どこが定位なのか」わかるように表示しておくことが大切です。そのためには、エリアマップや棚割表を作成し、具体的な場所を表示するようにしましょう。
表示には大きく「場所」「位置」「品目」の3種類があり、すべて表示することで、誰が見ても順次にわかる倉庫現場を構築できます。
物のまとまりを持たせる
作業の流れや、物の分類にまとまりを持たせることで、作業効率の向上が期待できます。
例えば商品の場合は、さまざまな種類が物流倉庫に保管されているため、同じカテゴリごとにまとまりを持たせて在庫管理をします。備品も同様で、ピッキング作業に使うハンディや台車などは、同じ場所に置いておくべきです。
必要最低限の物量に留める
定量を決める際、必要以上の予備を置くと、3定管理の効果が薄れてしまいます。これを防ぐためにも以下のように、物の特性に応じて定量を決めましょう。
- 作業人数に合わせて決める
- 作業頻度に合わせて決める
- (消耗品の場合)日数ごとに決める
定期的にルールを更新する
物流現場では、保管する在庫の量や種類が流動的になるため、倉庫内のレイアウト変更も多々あります。その都度、定位や定量は変わるため、更新や改善が必要です。ルールを更新した場合は、周知徹底も必須です。
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63定管理が必要なケース
3定管理で改善が必要なケースは、主に以下の3つが挙げられます。
- 在庫・備品を探すのに時間がかかる
- 倉庫内が乱雑になっている
- 在庫・備品の紛失が多い
1. 在庫・備品を探すのに時間がかかる
在庫や備品を見つけ出すことに時間がとられている物流現場は、作業効率が低い可能性があります。少しの時間でも積み重なると膨大な損失になるため、改善が必要です。在庫や備品の定位を明確にして、誰もがすぐに見つけられるように管理することが必要です。
2. 倉庫内が乱雑になっている
倉庫内のレイアウトが乱雑になっていると適切な動線を確保できず、人や物の移動に支障をきたしている可能性があります。また在庫管理が煩雑になっていると、余剰在庫や在庫不足、紛失のリスクも高まります。
大きなトラブルや損失に繋がる前に3定管理を徹底して、整頓することが必要です。
3. 在庫・備品の紛失が多い
日頃から在庫や備品の紛失が多い物流現場では、物を適切に管理できていないことから、異物混入や紛失による大きなトラブルが発生するリスクが高い状況といえます。日常的に物が紛失する環境下では盗難も起きやすくなるため、早急な改善が必要です。
紛失の多い物からでも定位を決め、3定管理を始めてみましょう。
補足:自社で対応が難しい際はアウトソーシング
前述のケースでは3定管理による改善が必要ですが、自社のリソース不足やノウハウ不足により、実行に移すことが難しい場合も少なくありません。その場合は、アウトソーシングサービスを利用して物流業務を委託することも1つの方法です。
物流のプロに委託することで、3定管理を含めた在庫管理だけでなく、物流業務全体の品質向上にも繋がります。
7まとめ:3定管理を徹底して生産性を向上させよう
3定管理を徹底することで、物流現場の作業効率や生産性の向上が見込めます。
3定管理で整備された現場では、物を探す手間や時間が省けるとともに、適切な在庫管理や紛失防止もできるため、トラブルの防止にも効果的です。
自社で3定管理の実行が難しい場合は、アウトソーシングサービスの検討も1つの方法です。
当社では、長年の実績から培った知見とノウハウを活かし、業界トップクラスの物流サービスを提供しております。在庫管理にお困りでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。
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